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佐藤太一郎企画その17「THE END’16」レポ

  「ランニングマイム」てご存じですか?    文字通り「ランニングやマラソンで走っているように見せるパントマイム」なんですが、ただの足踏みじゃないんです。足を伸ばし方、腕の振り方、表情。時に正面向きから横並びへ、前から後ろへ行きまた前へ……のように演者の体を動かすといった数々の工夫を凝らすことにより、カメラワークが一切無い舞台上でも臨場感たっぷりにマラソンをしている場面を表現できます。ただしこれを演じる為にはそれこそ本物のマラソンを完走出来るほどの相当な体力が必要。
 
  そんなランニングマイムで全編お送りするという前代未聞のお芝居・佐藤太一郎企画その17「THE END’16」を観て参りました!今回はNGKのお隣に設立されたYES THEATERという地下劇場。

  私が観劇したのは初日公演なのですが見事に満席。でも平日の夜ということで、仕事や学校を終えてから来る人もいるのか、なかなか受付が間に合わず、少し時間が押していました。まだかなぁ~なんてぼんやり席で待っていると、後方からやたらでっかい「あ~~郵便物ないかなぁ~~このままじゃ配達できひん~~」と嘆く声が聞こえてきました。郵便局員の格好をしたキタノの大冒険さん(すごい名前だな…)でした。始まるまでの間、注意事項やウェーブ、観客のみんなで自分が住んでいる地域の郵便番号を言い合う(当然揃わない)など、会場を盛り上げてくれました。やがて白ジャージに白髪混じりの太一郎さんも舞台へ出てくると、会場からは拍手と歓声が!再度注意事項を伝えると、いよいよ舞台が始まります!


  舞台中央で布団を眠る太一郎さん。薄い幕の向こうでは、ひたむきに走る一人の少年。どうやらこれは夢の中。どうしても乗りたい電車があり、それに向かって走り、やっとホームまで来たそのとき、駅員に呼び止められて……というところで、けたたましく目覚まし時計のベルが鳴り、太一郎さん演じる日暮(60歳)は目が覚めます。時刻は早朝4時。
  するとそこには謎の男が。日暮の守護霊と名乗るその男(森崎正弘さん)によれば、日暮はあと12時間後の夕方4時にこの世を去る運命とのこと。今日は午後1時からは日暮にとって大事なマラソン大会が開催されることになっています。それなら悔いなく完走してみせる!と意気込んで、日暮は出掛けていきます。

OP演出で、それまでかかっていた薄い幕に「THE END’16」の文字が光で浮かび上がり、そのあと太一郎さんが走って登場!ランニングマイムをしながら走る太一郎さんに並走して、名前を書いたボードを持った役者さんがやはりランニングマイムをしており、まるでアニメやドラマのOP映像のような迫力!!他の役者さんも自分の名前を書いたボードを持って現れて走って、めちゃくちゃかっこよかったです。

   さて、マラソン前に行う日暮の仕事は、新聞配達。中学生の頃から今は亡きここの所長の立春(奥田卓さん)にお世話になり、脚力はここで鍛えられたのです。また、「新聞は刷りたての温かさを届けるために一分一秒早く届けろ!」という情熱的な志も受け継いでいました。ちなみに現所長は新喜劇座員の「とんちゃん」こと吉岡友見ちゃんが演じる美春なのですが、ほんとにあの所長さんの娘?てぐらいのーんびりな口調で笑わせてくれました。

   ウォーミングアップも兼ね、一件一件に心を込めながら人生最期の新聞配達をする日暮。その最中、ふとしたことから二人の中学生女子と出会います。ひとりは陸上部の長距離エース選手で、このあとのマラソン大会にも優勝候補で出場予定の夏美(上野みどりさん)。もうひとりは落ちこぼれ長距離ランナーで、マラソン大会にも出場予定だけどコーチからもまったく相手にされていない千秋(中島舞香さん)。そしてこの二人が所属する陸上部のコーチは、かつての日暮のライバル・暁(ドヰタイジさん)でした。 どうせキミなんか出るだけ無駄だよ、と鼻で笑われる千秋を庇い、必ず俺たちは完走してみせる!と意気込む日暮。さらに、暁にも、「本当の決着を着けるために、ちゃんとお前も出場せぇよ!」と勝負を挑みます。
  さらに、ドジが災いしてこれまでまともな写真を撮れていないスポーツカメラマンの吹雪(四方香菜さん)も日暮に心を打たれ、彼のゴールシーンを必ずカメラに収めると誓うのでした。

  ところどころで、日暮の少年時代の回想が入ります。 両親を亡くし、立春にお世話になりながら新聞配達を手伝う中学時代の日暮(山本誠大さん)は、今とは違い毎日を憂鬱に過ごす孤独で無愛想な少年。そんな彼に「いっしょに陸上部でマラソンをやろう」と誘ったのが、当時の陸上部顧問である小春(鮫島幸恵ちゃん)でした。最初こそ強引な勧誘に嫌々付き合っていた日暮でしたが、小春に憧れる気持ちと走ることで得る楽しさと爽やかさを知り、マラソンへのめり込んでいきました。この陸上部に若き日の暁(中山貴裕さん)も所属しており、大会では常に一位のエース。とにかく完走を目指す日暮は暁にとってはうっとおしい存在ではありましたが、どこか気になる存在でもありました。
  回想していくうちに、日暮に片想いしていたハイテンションカメラ女子の冬子(塩尻綾香さん)が吹雪の母親であることや、あの守護霊が酔っぱらいなどに扮して時々様子を見に来ていてくれたことなどの事実もわかってきました。

  年老いた小春は現在は丘の上の病院にいるので、日暮は大会までの空き時間に千秋と吹雪を連れて、電車に乗って小春先生へ会いに行くことに

ところで、ここまですべてのシーンで、背景のハリボテが出てくることはありません。小道具も基本は目覚まし時計・新聞・タスキ・カメラなど必要最低限のみ。あとは音楽とナレーション、そしてパントマイムや役者さんの表情などの演技によって「ここは中学校なんだな」「あぁ今電車に乗っているんだ」などが表現されます。映像のように編集ができず、限られた舞台という空間だからこそ、そしてなにより、役者さんたちの熱意と演技力があるからこそできる表現の仕方なんだと思いました。
ガラスの仮面」でマヤが体育倉庫に有るわずかなものと演技力によって、倉庫内を見事にベネチアの街に変えたあの名シーンのようでした!!

  病院に着くと、車イスに乗った小春先生がおり、そこで日暮は40年前に起きた事実を知ります。
  中学卒業後もマラソンと新聞配達を続けていた日暮は、先生の自宅にも毎朝新聞を届けていました。しかしある日、実家の都合で遠い町に引っ越すことになった先生。その先生の引っ越す当日の朝、餞としていつものように新聞を届けた日暮。しかし新聞が風にさらわれ、交差点まで落ちたそれを拾おうとした日暮はあやうく車に牽かれそうになり、それを先生は咄嗟に庇ってくれたのです。そしてこの事故がきっかけで、先生は視力を失ってしまったのでした。そして日暮にはその事実を告げずに町を去ったのです。冒頭の発車間近の電車に向かうあの夢はどうやらこのときの「先生に新聞を渡せなかった」思い出というか、後悔のメタファーだったようです。
  がっくりとうなだれ謝罪と後悔の言葉を述べる現代の日暮に対し、先生は優しく頭を撫でてくれました。そして、「目には見えなくてもあなたの足音はわかるから」と大会に向けて励まします。小春先生は20代の役も80代の役も幸恵ちゃんが演じていましたが、ハツラツとした元気な20代も、体こそ弱々しくても優しく凛とした80代も見事に演じわけていました。

 
  一方、暁もまた、大きな決断を迫られていました。中学以降もトップランナーを維持していた暁でしたが、極端なまでに「一位以外はムダ」という考えの彼は、誰かに越されるぐらいなら勝ち逃げするほうがましと、まだまだ体が充分動かせるうちに現役引退をしてしまったのでした。しかし、変わらぬ日暮の情熱に心動かされ、ふたたびスパイクを手に取り、スタート地点へ向かいます。

   午後2時になり、それぞれが様々な想いを抱え、たくさんの人が見守るなか、ついにマラソン大会がスタート!!夏美と暁はグングン進んでいくなか、日暮と千秋はあっという間に最後尾へ。それでも二人は諦めず時間内完走を目指します。やがて暁を抜きそうになる夏美。一番弟子に全力疾走で抜かれることで、暁は、清々しい気持ちでやっとトップへの呪縛から離れることが出来ました。その後は日暮とほぼ同じぐらいの位置まで遅れをとった暁ですが、「ギョロ目!」「細目!」「バーカバーカ !!」「なんじゃいクソッタレ!!」とお互いに軽口を叩きながら、けれどどこか楽しそうに走ってゴールを目指します。

  15時55分、マラソン大会と、日暮の生涯の終了時間まであと5分。夏美は暁の期待に応え見事トップ。そこから遅れたとはいえ暁も既にゴールしており、あとは日暮と千秋のみ。配達所の仲間や看護師さんに連れられた小春先生も不安そうに二人のゴールを待ちます。
  日暮より一足先に千秋がゴールしようとしたそのとき、日暮がお守替わりに渡していた赤いハチマキが風で飛ばされ、交差点の真ん中へ。なんとこの交差点は小春先生の事故が起こったまさにあの場所!!そしてハチマキを拾おうとした千秋に向かって、やはりタイミング悪く車が走ってきます!!
  あの日の思い出がフラッシュバックし、足を止める日暮。その一瞬時が止まり、守護霊が「どうなさいますか?あと少しでゴールですし、タイムリミットも迫っておりますが」と尋ねてきます。


「そんなん、決まっとるやろ……!!」


  日暮はあの日の小春先生のように、自分が千秋の前に立ち、庇う日暮。車との衝突によるダメージで体は限界寸前のボロボロのなか、あとほんの数センチまで迫ったゴールまで這いつくばります。そして、それを固唾を飲んで見守る人々。

最後の力を振り絞り、日暮がゴールへ手を伸ばした、そのとき、けたたましく鳴り響く目覚まし時計のベル。午後4時となり、無情にもマラソン大会と日暮の生涯は終了時間となってしまったのでした。


  残念やったなーと苦笑いする日暮の魂に、守護霊は新聞を渡します。明日発行されるそれには日暮が最期に遭遇した事故に関する記事が書かれていました。

  実はあのとき、倒れた瞬間、手はしっかりとゴールラインを越えていたこと、つまり「完走していた」という事実が記載されており、それはその瞬間を約束通り吹雪がカメラで撮っていたことにより判明。記事にはその写真が使われていました。
  この日暮のマラソンに捧げた情熱を伝える熱い記事は、明日の朝には刷りたてのあたたかい状態で配達所の仲間によって配達され、各家庭に届けられるのです。
  目標を達成できたことと、それを多くの人に伝えられたことで、満足した日暮は、守護霊に導かれ天国へ向い、清々しい気持ちで人生の幕引き__THE ENDとなったのでした。


  本編が終わるとお約束で出演者の方々が一斉に舞台に出てくる「カーテンコール」がありますが、あまりにも拍手が鳴りやまずなんと3回も行われました!別の日にはスタンディングオーベーションもあったそうです!!
  これでもかというほど熱く熱く暑苦しさすら感じるまっすぐすぎる情熱的な舞台でした。けれど見終わったあとには、さわやかで清々しくほっと優しい気分になり、それまで悩んでいたことがぱっと晴れてなんだかなんとでもなりそうだ!と前向きになりました。

  なんでもこの「THE END」は太一郎さんが新喜劇入団前に所属していた劇団の人気作で、今回はそれのリメイク公演だったそうです(だから今回は「’16」の表記がある)。
  そしてその後、太一郎さんご本人のFacebookにより、この「佐藤太一郎企画」は1~2年ほどお休み__「助走期間」に入ることが発表されました。もっともっと新喜劇を通して、役者さんとして演技力や知名度を高めてから、改めて挑戦してみたいとのことです。
私は今回のこの公演で佐藤太一郎企画は3回目の鑑賞で、どの公演からもたくさんの希望ややる気をもらってきました。その企画がしばらく見れないのは寂しいですが、助走のあとは必ず全力疾走してくださるはずなので、楽しみに待ちながら、新喜劇座員さんとしての太一郎さんを応援していこうと思っています。

  今回、多忙が重なり、すぐにレポが仕上げられず悩むことも多かったですが、日暮が最後までゴールを信じて突っ走ったように、どんなに遅くなっても必ず自分なりの形で完成させようと決意し、ここまでこれました!
長くなりましたが、最後までお付き合いありがとうございます!


 
 


 

舶来寄席新喜劇東京公演レポ

  新喜劇と世界中の名パフォーマーによる手品や演芸が見れる「舶来寄席」。今年はなんとアキさん・茂しゃんのチームが、東京でも公演を開催!!ジャニーズの舞台でも多数使われているグローブ座での初日公演に行って参りました。

  ジャニヲタ歴10年以上ながら、グローブ座へ行くのは初めてだった私。まず到着して目に入ったのは、6月後半から行われる丸ちゃん主演の「マクベス」の大きな看板。その麗しさにジャニヲタ兼任の者としては「あぁなんて凛々しいのかしら…」とうっとり眺めていました。
  グローブ座がジャニーズが権利を持っていることは知っていました。そしてジャニーズのタレントでも集客力のあると見込まれた人材しかあそこを使うことが出来ません。だからあそこでアキさんがリーダーとなって新喜劇を行うと聞いたとき、ものすごい革命的なことが起きた!!と大騒ぎしていました。吉本のタレントさんがここで公演をするなんて!!
 

  しかし今回は開演前にふたつ、不安な要素がありました。
  ひとつは、NGKのときとキャストの入れ替えがあり、関西のオリジナル座員さんは茂しゃん・アキさんの他は森田さんと伊賀さんだけであるということ。
  もうひとつは、私と友人が座った席は右端だったのですが、機材が置いてあるため、下手にお土産屋さん・中央にラーメン屋台がスタンバイされているのはわかったのですが、上手側の一部分が見えなかったのです。始まる前に席を立って中央の辺りへ行ってみると、上手側にはアイスクリーム屋さんがあるようでした。「アイスクリーム屋さんでなにかお話が展開してもわからないよね……」と困惑していると、後ろから「えーーここなら二階席のほうがよかったかもー」なんていう声が聞こえてきてしまい、ますますしょんぼりしてしまいました。
それでも「あの方たちならだいじょうぶ。やってくれる。」と一筋の希望がありました。これまでたくさん笑顔と希望をくれた新喜劇。きっと今日もそれは変わらないと、信じられる気持ちも無くしてはいませんでした。

  
本編が始まる5分ほど前、伊賀さんとインポッシブル・蛭川さんが前説で出てきました。そのとたんに会場は歓声と拍手に包まれました。特に伊賀さんは関東でも知名度抜群らしく「しんかんせーーん!!」という掛け声があちこちから聞こえるほど(笑)  これだけで随分安心しました。

  前説のあと、舞台が暗転し、  いつもの「ホンワカパッパ♪」をヒップホップ風にアレンジした曲が流れ、舞台中央には森田さんが登場。森田さんもまた、「青春時代」やNGKの公演でも活躍が目立ってきているためか、登場したとたんに歓声に包まれました。

  森田さんは公園でラーメン屋台を営んでいるのですが、閑古鳥が鳴いていました。その公園へ着物をアレンジしたようなかっこよくて華やかな服を着た集団(西島巧輔さんとRYTHEM COLLECTIONの皆さん)がやってきました。彼らは大学の映画研究会のメンバーとのこと。そこに「たすけてーー!!」と叫んで走ってくる蛭川さん。どうやら誰かに追われているようです。そして現れたのがアキさん演じるアキコさん!!片手に茶色の物体を持ち、それを押し付けようとみんなを追いかけまわし、しばらくの間舞台中を駆け回っていました。ちなみに、その茶色の物体はアキコさんお気にいりのスパッツだと後に判明(笑)

  アキコさんはこの近所の老人ホームで働いており、お年寄りをお散歩へ連れてきたとのこと。そのお年寄りたち、ケンじぃ(アキさんの相方・ケンさん)やいそじぃ(ISSOPさん)をはじめ、ヨボヨボで背中の曲がったおじいちゃんばかり。しかもいそじぃに至っては点滴している始末。そんないそじぃの孫のトシ(こまつさん)やヘルパーのゆりちゃんもいっしょです。
  「あら?茂じぃは?茂じぃまたひとりでどっか行っちゃったのかしら!?」とアキコさんが言い、森田さんが意味ありげに舞台中央にかばんをセットすると……いつもなら上手から登場が多いのに、なんと今回は下手から茂造登場!!!お約束でかばんを蹴っ飛ばしたら、なんと上手にある機材の上に乗っかってしまうハプニングがwww NGK祇園なら壁をスルッと飛び越えるんですけどね(笑)

  森田さんも交えてみんなで遊ぶことになったのですが、おじいちゃんたちはとにかくマイペース。ジェスチャーゲームをやろうとすると、森田さんがするジェスチャーすべてが「腰痛持ち」だの「心筋梗塞」だの病気関連のものに見えてしまったり、爆笑すると座ってる椅子ごとぶっ倒れてしまったり、挙げ句いそじぃはその拍子に大事な点滴が外れてしまったりもうメッチャクチャ!でもこの点滴、不思議なもので直接刺さなくてもチューブを握っているだけでも、なんならそのチューブを握っている人と手を握っているだけでも効果があるようです。アキコさん曰く「点滴は気持ちだから!!」(笑)
そんなおじいちゃんたちを、比較的まだ背筋もピンとしていて若いほうの茂造は「クソジジィどもめ!」と罵倒しますが、すぐにアキコさんに「そんなこと言わないの!茂じぃだってじゅーぶんクソジジィなんだから!」とたしなめられます。さらっとひどいな (゚ヽ゚)  そんな茂造はジェスチャーゲームの回答でさらっと「ファンキー〇藤」と渦中の人物の名前を出す始末。絶好調ですwww 

   そんななか、森田さんの借金を取り立てにヤクザがやってきます。ヤクザには兄貴分(山本吉貴さん)のほかにふたりの弟分がいるのですが、それがあの「本能寺の変」でおなじみのエグスプロージョン!!会場からは女性のキャーー!ていう歓声が聞こえました。
  そんなヤクザたちを撃退しようとアキコさんが一歩前へ出ると、音楽がかかり、「かかってこい!」とアキコさんが拳を振り上げると、それにビビったのかエグスプロージョンが「すいませーん!」と頭を下げるとおなじみのあの「いーよぉ~」のフレーズが!そしてそのまま「すいませーん!」「いーよぉ~」がリズミカルにリミックスされたカッコいいダンスコラボへ!YouTubeで予告配信されていたのは予習で見ておきましたが、やはり生は迫力が違います。そしてそれを躍り終わるとどうにか追い返すことが出来ました。

  しかしまだまだトラブルは続きます。今度はがっくりと落ち込んだケンジ(伊賀さん)がやってきます。このケンジ、実はケンじぃの息子。ですが親子の間には確執があるようで、ぎくしゃくした雰囲気が漂います。
ケンジはイベント会社に勤めており、この公園で開催されるヒーローショーの企画を任されていたのですが、取引先に騙され、肝心のヒーローたちが出れないことに!!現場に来ていた上司(赤松新さん)と社長(遠藤かおるさん)はカンカン。ケンジをクビにしようとしますが、そこへケンじぃが割って入り「息子の不祥事は私がなんとかするから許してください!」と庇います。かつてシングルファーザーで多忙のため幼いケンジにかまってやれず仲違いしてしまった償いを、ケンじぃなりにしたいと考えていたのでした。
そんなケンじぃの想いを汲んで、アキコさんや茂造をはじめとするおじいちゃんたち、トシやゆりちゃんも力を貸すことに。

  だいじょうぶかなぁ……と森田さんやケンジが不安げに見守るなか、いよいよアキコさんとおじいちゃんたちによるヒーローショーが始まりました。楽しくお掃除するアキコさんの前に、たくさんの荷物を抱えた茂造が。茂造の荷物を持つのをお手伝いして優しいアキコさん……と思いきや、なんと鞄から茂造の財布を盗み出す悪党!それに気づいた茂造は成敗しようと仲間のおじいちゃんたちと色違いのスカーフを巻き、ヒーロー戦隊となって立ち向かいます。アキさん十八番の本格的な殺陣はやっぱりかっこいい!! 
おじいちゃん戦隊がアキコさんをやっつけると今度はトシとゆりちゃんによるライブショー。トシ役のこまつさんはエンタメ新喜劇のときのように片手でピアノ・もう片手でトランペットという超絶演奏テクを披露し、さらにそこに今回はゆりちゃんのパワフルな歌声が加わりました。後で調べてみたら、ゆりちゃんはあの「ハモネプ」出演経験もあったようです (゚ε゚)ワォ!
  最後はいそじぃがリーダーとなり、ヒーロー体操なるダンスを披露。先程まで背中が曲がってたり点滴を点けていたとは思えないほどハツラツとそしてダイナミックでアクロバティックなダンスが次々飛び出します。途中から冒頭に登場したRHYTHM COLLECTIONの皆さんも合流し、大きな扇子や長い棒、ヌンチャク等も用いた武術も交えたアクションを披露。さらにさらに最後の方では茂造もサイドステップでダンスに参加(笑)。最後には皆でキメポーズ!!次の瞬間、会場からは大きな大きな拍手と歓声が!!それもかなり長い時間、1分以上続きました!!それほどまでに観客とステージが一体となった熱気溢れるパフォーマンスでした。
  お話の方は、ショーはもちろん大成功し、ケンジとケンじぃ親子の間にもわだかまりが解け、めでたしめでたしというところで終了。

  もしかしたら東京の、しかも他社の事務所管轄の劇場で、私がぼんやり感じていたよりずっとずっと、リーダーのアキさんには見えないプレッシャーがあったんじゃないかな、とも思います。でも、これまでアキさんが水玉れっぷう隊として、そして、新喜劇座員としてやってきたことは、場所が変わっても通用する大きな武器であり、常に挑戦と精進を続けるアキさんに力を貸してくれる茂しゃんやISSOPさん、ダンサーやパフォーマーの方との絆も再確認出来ました。そこから生まれる熱気が、観客を見事に魅了していくんだな、と思えました。アキさんがこの吉本が力を入れている舶来寄席新喜劇のリーダーに抜擢され、さらに東京公演も任された理由はこういうところにあるんだと思います。

  前回の記事に書きましたように、この日の帰りに残念ながらとても不快な想いをしましたが、こんな風に素敵でキラキラしたステージを見せてくれて、その瞬間のために一分一秒を大切にして精進してくださる方がいるとこの身をもって知っているから、その方々の作る空間へ行くためには一度の不快な想いには負けないぞ!とすぐに思い直すことが出来ました。新喜劇のステージを見るたびに、私はやっぱりものすごい勇気とか希望をもらえているんです。
 
  またこうやって東京で新喜劇が来てくれるように!そして私のように大きなパワーをもらえる人がひとりでも多く生まれるように、影ながら支えていきたいなと思いました!

痴漢“疑惑”案件に遭遇した話

「痴漢」というと、真っ先に思い浮かぶのは、「満員電車で身動き取れない状態でおしりを触られる」というようなシーンだと思います。

  しかし、どうやら、満員状態ではなくむしろガラガラの車内でも、座っていたとしても、起こるときは起こるようです。それも、直接手で触れるのではなく、足や腕などであくまでも「自然に揺れてしまったんですよ」的な様子を醸し出しながら。
  仮にそれがほんとのほんとに「偶然」だったとしても、何度も何度もそんなことが起きたらそら疑われるし何より不快です。知らない人と、ほんの一瞬布越しとはいえ、肌を触れあわせているのですから。

  ここでは、私が遭遇した、そういった「新手の痴漢疑惑」をお伝えしていこうと思います。



  それは、舶来寄席が終わり、新宿駅から地元最寄り駅まで一本で走る某ローカル線で帰宅しようとしたときです。このローカル線、停車駅のひとつで人身事故があり、その影響で10分ほど遅れていました。本数の少ない路線のため、やっと電車が来たときにはぎゅうぎゅう詰めの満員状態でした。

  どうにか乗れて、奥まで追いやられ、チビ故に吊り革に届かないため、ひたすら足を踏ん張って耐えていました。このとき見事に男性に周りを囲まれましたが、なんの不快も感じませんでした。自分がそうだったように、誰もが「とにかく倒れないように」と揺れに必死で耐えていたり、器用な人はスマホをいじったり本を読んだりしていました。私なんか眼中になかったのです。

  ある程度大きな街の駅や乗り換えのある駅で人が降りていき、5駅目ぐらいでやっと座ることができました。その席はその車両の中ではいちばん奥で、すぐ斜め前には隣の車両へ行ける扉のある壁際の席でした。
 
  そこに座ってスマホをいじっていると、ふと私の目の前にグレーのしまのスーツの、50代ぐらいのサラリーマンが立っていました。サラリーマンは私の真上の網棚に荷物を置くと、何故か両手で吊り革を持って、隣の車両へのドアに背中をくっつけて立っていました。このときは「同じ立っているのでも壁にもたれていたほうが楽だからな」とぼんやり思っていました。でも今思うと、なんで空いてきたこの車両で、このポジションを選んでいたのだろうと怪しく感じています。

電車が再び走り出したとき、なんだか様子がおかしくなってきました。電車の揺れより遥かに大袈裟にサラリーマンの体が上下に揺れ、サラリーマンの足と私の足が妙に当たるのです。それも何回も。
  満員状態のときは、遅れを取り戻そうとしてるのか、いつもよりやや速く運転されており、それこそ何度も何度も揺れましたが、このときの速度はかなり落ち着いていました。なのに何故かこのおっさんはやたら揺れて私の方へ体が触れてくるのです。このときの私はキュロットとハイソックスで露出している部分はせいぜい膝小僧くらいでしたが、それでもその膝小僧におっさんのズボン越しに肌が触れてくるとゾゾゾッと不快なしびれを全身に感じました。

  吊り革を持っている腕越しにおっさんの目が見えました。目をつむっているようにも見えますが、薄目をあけてこちらを見ているような気もしました。おっさんと目があったとき私が一瞬感じたのは、小中の頃何度か出会ったいじめっこたちの、ねちっこく人を小馬鹿にしたような、そして「次はどうしてやろうか」とこちらを伺うような、あの視線でした。負けるもんか、と私はその目を反らさずにらみ返しました。

  と、そのとき電車が次の駅に停まり、降りていった人がいたので、私の斜め前の席がひとつ空きました。睨み付けていたのが功を奏したのか、ほんとに単純に疲れていたから休みたかったのか、おっさんは網棚の荷物を残したままその席へ座り、目をつむって寝ているような仕草をしてしました。

   怖い。今は離れているけど決して遠くはない距離だし、しかもおっさんの荷物はまだ私の真上の網棚に置きっぱなし。私はもうしばらく乗らなければならないし、これからこの電車はどんどん乗客が減っていく。もしまた目の前に立たれたり、隣に座られたりしたら……そして、さっきよりもっとひどいボティータッチをされたら……そう考えるととにかく怖くて早く安全な場所へ避難せねば!と思い、先ほどまでおっさんがもたれていたドアに手をかけ、車両を移動しました。
  自意識過剰と言われても被害妄想と言われてもいい。もう私はこの人と同じ空間にいて一分一秒関わりたくない。この場合は「逃げるが勝ち」という格言がいちばんぴったりだと思いました。

  こちらの車両も空いていたのですぐ座ることができ、そこでTwitterで先程の出来事を報告。するとフォロワーさんから「私も似たようなのやられたことある!!」や「逃げて大正解!!」といったリプライをいただきました。
  帰宅後に調べてみたところ、「これはわざと?それとも偶然?」というような痴漢疑惑案件はわりと多いようです。「直接触れなければセーフ」という認識のもと行われている痴漢も、ここ最近増加しているとのことでした。

  自分がそのような疑惑案件に遭遇したことで色々考えて出した結論は次の3つでした。


  ①今されている行為が“痴漢か偶然か”の真実より“自分が今不快かどうか”を大事にする

②とにかく早く逃げる

③痴漢は誰でもターゲットになりうる=自分が特別痴漢されやすい=悪い と思わない。堂々としていていい。


①に関しては、物的証拠や記録もないので、残念ながら立証は難しく、また、真っ向勝負で声をあげて訴えたところで相手も何をしてくるかわかりません。それならもう自分がどう感じたかを大事にし、自意識過剰とか被害妄想とか言われようと「直接的であれ間接的であれ体に触れられて自分が不快なら痴漢」と、暴論かもしれませんが考えてもいいのかなと思いました。これが痴漢以外の出来事でも、たとえ悪気がなくても相手に不快を与えたらそれでアウトて場面、たくさんありますもんね。

そして②はシンプル・イズ・ベスト。“真実か偶然か”を争って戦うのではなく“この不快を少しでも減らすにはどうしたらいいか”。それなら簡単です。逃げる。避難です。もちろん満員電車なら難しいかもしれませんが、必ずどこかにチャンスはあります。隣の人へ助けを求めてもいい。とにかく一刻も早く一ミリでも長くそいつから離れましょう。私のようなガラガラ状態でやられてるならなおさらさっさと逃げるべきです。追いかけられたらもうそれは痴漢どころじゃないから鉄道警察へ飛び込みましょう。

  ③に関しては、やはりこういう事案に遭遇すると「自分に隙があったからなのか」「おしゃれをしてフェミニンな格好だったのが悪いのか」「眼鏡をかけていたからおとなしそうに見えていたからか」など色々考えてしまいました。が、これまでこんなことなかったんだから、こちらがなにか狙われやすいことをしていたから悪いということはないはずと思い直しました。
  よく「露出していると痴漢に遭いやすい」だの「いやいや清楚系のほうが大人しそうに見えて危ない」だの様々な意見を目にしますが、たぶん痴漢にしたら「そこにいる女なら誰でもいい」て感じな気がします。やられるときはジャージだろうとすっぴんだろうとやられるんじゃないかなぁ、なんて思ってます。
  それならもう「また遭遇するんじゃないか」なんてビクビクせずに、堂々と乗っていればいいと思うことにしました。おしゃれだってしたいし眼鏡はかけなきゃ何にも見えないぐらい視力悪いし、なにより電車乗らなきゃ新喜劇にもお買い物にも行けないし。

  
  この記事を書くにあたり、男性と女性で意見が真っ向対立して毎日のようにネットで議論が白熱しており、自分もわざわざその中へ入るような話題を書いていいのかどうか炎上や晒しを恐れましたが、自分の気持ちや考えを整理するため、そして、やっぱり嫌なものは嫌だったので、その気持ちを素直に書きました。

まさじさんのこと

  新喜劇座員の安井まさじさんが、6月26日の特別公演をもって新喜劇を退団、そして今後は故郷である熊本で芸人活動をしていくと発表がありました。

  正直、ものすごく寂しいです。

まさじさんは私が贔屓にしているチーム辻本公演にも頻繁に出演されていました。体を張ったり奇声を発したりする一発ギャグも、ほのぼのとした優しい雰囲気も、明るい笑顔も、気づけば私は好きになっていました。演技や回しもキレがあり、ご自身が座長となって行われた「新喜劇2026」でも熊本弁を使った新キャラで大変盛り上がったと聞いています。間違いなく、10年後の新喜劇を支えることが大きく期待された優秀で人気のある座員さんでした。

  まさじさんが退団してまで故郷で活動することを決めた理由は、まだご本人からの詳しい発言はありませんが、やはり4月の熊本の震災が大きく関わっていると思います。まさじさんのご実家やご家族は無事だったそうですが、これを期に「なにかあったときにすぐ家族のそばにいられるように」と思ったのではないかな、と私は推測しました。実際、311の震災のとき、万一に備えてもっと家族のそばにいられるようにと転職や引っ越しを決断した人もたくさんいました。
  まさじさんの熊本愛も前々から知っていました。熊本弁を活かした新キャラだけでなく、くまモンとのコラボ新喜劇や、熊本での特別公演のときはいつも以上にイキイキしていました。震災が起きたあとも、共演している座員さんに協力を仰ぎ、NGK入口で募金活動を行っていました。   
ふるさとのために、家族のために、自分が今出来ることはなんだろう?それを一ヶ月の間に何度も何度も迷い悩んだ末にまさじさんなりに決めた答えなんだと信じています。


  Twitterでは彼の名前を検索すると、退団を惜しみ悲しむ声がたくさん挙がっていました。私も寂しくて寂しくて、あらゆる卒業ソングがまさじさんのことを歌っているように聞こえてしまうほど……
NGK祇園へ行けばいつだって会える。そんな安心できる距離感があと一ヶ月弱でなくなってしまう。
 
  様々な事情で新喜劇を辞めていかれる座員さんは多いと聞きますが、その大半がいつのまにか出なくなってフェードアウトしてしまうなか、多くの人気・ベテラン座員も出演しなおかつファンに改めて旅立ちの挨拶が出来て、見送ってもらえる場所と時間を作ってもらえたあたりからも、まさじさんがたくさんの人に愛されたことや彼もまた新喜劇を愛し真剣に取り組んでいたことが伺えます。


  希望の光は、地元熊本に帰ったあとはピンの芸人さんとして活動されるということ。吉本はその土地のローカル番組やイベントを中心に活動していく地域密着型の「都道府県住みます芸人」という制度もあるほどなので、熊本及び九州地方でも活躍の場はたくさんあると思います。
新喜劇で学んだことを活かして、傷ついたふるさとで、ひとりでも多くの方の笑顔を取り戻す。それが新しいまさじさんの夢であり使命なのかもしれません。そして、彼ならそれを叶えることは不可能ではないとさえ確信出来ます。

   元々、NGK祇園にも頻繁に行けない関東在住の私ですが、関西よりもっともっと遠い熊本へ渡るまさじさんとこれでお別れとは思っていません。必ず、また、どこかで、まさじさんが笑顔で頑張っている姿を見られると、そして、直に会えると信じています。そのときはまたたくさんたくさん笑わせてもらいます。

 
  きっとまた、あの声が聞ける日が来るはず。


  「キョエェェーー!!」

「茂造の青春時代!」レポ&感想

   GW祇園花月恒例行事。茂造の過去へ戻り、そのルーツを探る、普段の新喜劇とは一味違うガチの人情芝居「茂造」シリーズ。8回目の今回は「茂造の青春時代!」

  茂造役である茂しゃん(てこれは私が勝手に呼んでるんだけど)こと辻本茂雄座長さんが、吉本に入社する前はプロの競輪選手を目指しており、わざわざ越境入学をしてまで自転車競技部の強豪・和歌山北高へ入学、キャプテンとして国体出場をしたほどの優秀な選手であったものの、両足に腫瘍が見つかり断念せざるを得なかったというかなり過酷な半生があったのは有名な話ですが、今年はいよいよこの実話にスポットが当たるようでした。実際、ポスターでは茂造が自転車を漕いでいるのですが、その首から下は実際高校生のときインターハイに出たときの茂しゃんの写真と合成したそうです。がっちりした脚はまさにアスリートそのものでした。


  今年は誕生日に合わせて2日目の27日公演へ、前回のようにセンターとはいきませんでしたが最前列で観賞することができました!



  【以下、ネタバレ注意】





  第一幕はお馴染み新喜劇。
茂造が旅館のアルバイト初日から遅刻し、鞄を蹴り飛ばし、階段からお客を滑り落とす。 その旅館では秘密の恋と地上げ屋による脅しなどトラブルが続出し、それを茂造がおちょくりながらも解決していく、というよくある茂造新喜劇の流れ。
  鍵となるのは茂造に旅館アルバイトを紹介したアキさん演じるアキコさんから度々発せられる今は亡き「シュウジ兄ちゃん」というワード。このシュウジ(アキさん二役)は昔、漁師をしながら、夢を追う若者の為に彼らが集う下宿アパート「山茶花荘」を経営していたのですが、そこに住んでいた若者のひとりが、若き日の茂造でした。


  第二幕はそんな茂造が過ごした山茶花荘での仲間たちとの青春時代の思い出を振り返ります。
  ちなみにこの頃の茂造は短ランにボンタン、リーゼントというわかりやすい昭和のヤンキースタイル。高校生とは思えない貫禄を身に付けていました(笑)


   山茶花荘には競輪選手を目指す茂造と、茂造の妹で歌手志望のナオミ(塩島さん)、ダンサー志望のフミエ(たまよさん)やマサコ(ニャンコさん)をはじめとする女の子たち(恵美ちゃん・景子ちゃん・OSAKA翔GANGSの皆さん)、家政婦でみんなのお母さん的存在のエツコ(島居さん)とその息子のリク(詩くん)、そして少女たちのダンス講師をしているニューハーフのアンナ(伊賀さん)がいっしょに住んでいました。

  伊賀さんのニューハーフ役にはひたすら驚愕でした…!!ニューハーフといえば昨年がまさにショーパブを舞台にしたお話でしたが、彼はボーイの役だったので、まさか今年女装に挑戦するとは!  髪をカツラではなくわざわざ金髪に染めたほどのガチの気合いで挑んでいました。また、ナオミ役の塩月さんは二幕冒頭のオーディションシーンではエンダー♪でお馴染みの「I Will Always Love You」を歌う場面があったのですが、元タカラジェンヌということでその歌唱力は抜群!!力強く遠くまで響く美しい歌声を聞かせてくれました。

物語の途中で、シュウジの友人でアンナの元カレであるゲンタ(要冷蔵さん)と、ゲンタの借金の取り立てに来た金融業者のサカガミ(森田さん)が現れます。ひょんなことからアンナとヨリを戻したゲンタと、エツコの凛々しい美しさに惚れたサカガミも、シュウジの元で漁師業をしながら山茶花荘で暮らすことになりました。
 

  賑やかでアットホームな山茶花荘での暮らしですが、夢を追う道のりは険しく、何度もオーディションに落選したり、心無い言葉をかけられたり、ナオミに至っては焦るあまりインチキディレクターに騙されて大金を奪われそうになるほど。仲間が落ち込み、夢を諦めようとするたびに、茂造は力強く励ますのでした。  そして茂造も、仲間たちに支えられながら、新聞配達やシュウジの漁師の手伝いをし、競輪の練習に日夜励んでいました。両親を事故で亡くした茂造にとって、競輪選手になって賞金を稼ぐということは、ナオミの夢のサポートや山茶花荘の仲間への励みになるという意味でも、重要なものでした。


  そんな茂造には、ミキという小学生のときからの幼なじみがいました。茂造はミキに想いを寄せており、ミキもまた茂造のことが好きでした。山茶花荘のメンバーにサポートされ、茂造が告白し、恋人同士になったふたり。やがてミキのお腹には、茂造とミキの愛の結晶が……
ミキの父親(あいはらたかしさん)は大激怒・大反対しますが、「競輪選手になって必ずミキを幸せにする」という約束をし、さらに10代でリクを生んだエツコの後押しもあり、とにかくこれからの茂造の態度と行動次第ということに落ち着きました。
ちなみにミキ役の村崎真彩さんは茂しゃんも出ていた「あさが来た」で加野銀行の女子行員・ツル役もしていました!支配人と行員がここでは同級生で恋人同士ってなんだか不思議(笑)

  そんな夏のある日、山茶花荘に大事件が。
エツコの元旦那でリクの父親である男性(入木さん)が山茶花荘へやって来ます。一見物腰柔らかそうですが、実はエツコやリクに暴力をふるっていたDV男。支配されていた記憶が甦り、過呼吸になるエツコ。シュウジをはじめ山茶花荘のメンバーは追い返そうとします。するとDV旦那がぶちギレ、灯油をぶちまけて火をつけようとしたり、鉄パイプを振り回してきます。愛するエツコを守るためサカガミは、元ヤクザでありながら、あえて暴力を使わずにシュウジとともに追い出そうと体を張ります。

その混乱の最中、なんとDV旦那が振り回した鉄パイプが茂造の脚を直撃!!競輪選手の命ともいえる脚に大ダメージを与えられ、その痛みに座り込む茂造。「俺の脚が……!!」
という絶叫と共に舞台が暗くなり、場面は一気に緊迫します。


  ナオミと共に病院へ向かった茂造。検査の結果、幸いにも鉄パイプによるダメージは打撲だけで済み、やがて治るとのこと。しかし、念のため撮ったレントゲンで、衝撃の事実が判明。医師(井路端さん)によりそれが告げられます。

  茂造の両脚にはまだ小さいながらも腫瘍があり、この腫瘍を今のうちに取り除かなければ後々大きな障害となること。腰骨を脚の骨へ移植する大手術が必要なこと。その後、一年先を見越したリハビリが必要なこと。そして、なにより残酷な事実が。

  「日常生活なら問題なく送れますが、手術をした脚はかなり弱まりますし、再発の可能性も充分ある。従って、重い競技用自転車のペダルを漕いでスピードを競うような競輪は………もう、できません」


競輪__茂造にとっては、幼い頃からの大きな夢。青春のすべて。生きる希望。人生の意味そのもの。それが、不可抗力により、出来なくなった。医師にしがみつき、なんとか治してくれと懇願する茂造。首を横に振り続ける医師。ただそれを見守ることしかできないナオミ。やがてがっくりとうなだれ、呆然と立ち尽くす茂造にスポットライトがあたり、その絶望に満ちた表情と重い光を放つ瞳がより明確に映し出されていきました。


季節は夏から冬へ移り変わっていきます。手術を終え、歩けるようになった茂造ですが、競輪が出来なくなったことですっかり堕落し、リハビリや新聞配達をサボって暴走族の仲間に入ってバイクを乗り回すように。茂造とナオミの両親は暴走族のバイクが原因で事故に遭って亡くなったのに同じようなことをするなんて、と怒りに震えるナオミ。その様子を見ていたミキの父も大激怒し、お腹の大きなミキを連れて帰ってしまいました。

  「俺はこれからどうしたらいいんや!?今の俺にはなんにもない……答えを教えてくれよ!!誰か、答えを教えてくれよ!!!」と嘆く茂造。どう声をかけていいかわからない周囲。そのとき、シュウジが静かに語ります。

「俺もダンサーを目指して挫折した過去があるから、気持ちはわかる。でもな、現実を受け入れなきゃいけないんだ。答えは自分で探さなきゃならないんだ。サザンカ花言葉の“困難に打ち勝つ”のように、この山茶花荘にいるお前やみんなにはどんな困難があっても負けずに乗り越えてほしいんだ」
 
ナオミが茂造との思い出の曲「翼をください」を口ずさむと、やがて周りも触発され、全員で茂造へ向かって歌います。それでもなお前を向けずにいる茂造がひとりで佇んでいると、今度はミキがやってきて、茂造の思い出を語ります。

  子供の頃、近所のスポーツサイクルを持っている友達よりも、お母さんのお下がりのママチャリで誰よりも早く走った茂造。そのママチャリで淡路島を一周したこともあるぐらい、自転車が大好きだった茂造。中野浩一さんの三連覇をテレビで見て、それに憧れて本格的に競輪選手を目指した茂造………そして自分が、そんな茂造が大好きであること。ずっと応援しているということ。お腹のなかの赤ちゃんも、そんなお父さんの茂造を応援しているということ……

  シュウジや山茶花荘のメンバー、そしてミキの力強くあたたかい言葉により、そして、まだ見ぬ赤ちゃんの存在の大きさにより、茂造は少しずつですが前を向き、リハビリにも積極的に取り組むようになりました。  やがて赤ちゃんも無事に生まれ、茂造は病院の待合室で一人静かに語り始めます。

  「俺は競輪が出来なくなって、もう俺にはなにもない、人生もこれで終わりだって思った。死んだほうがましだとも本気で思った。でもそれは違ったんだ。現実をどんなに辛くても受け入れて、前を向いて生きていれば、夢は何回だって見つけられるし、何度だって追いかけられる!!」


  月日が流れ、ナオミとダンサー志望の女の子たちは、チームを組んで「翼をください」を歌とダンスで華麗に表現し、見事オーディションで優勝。そして茂造は………

「どうもー辻本でーす」
「サカガミでーす」
「二人合わせて三角公園USAでーす」

そこにいたのは、お揃いの「USA」と書いてあるTシャツを着て、漫才コンビとして活動する茂造とサカガミ。このときになって私はやっとやっと思い出したのです。茂しゃんが新喜劇入団前に組んでいた漫才コンビ「三角公園USA」の相方さんのお名前が「阪上」さんだったことに……!!!

  新しい夢に向かって頑張る茂造の未来を予感させ、本編は終了。

  見ていて個人的に辛かったのは、やはり競輪選手への夢を断念し、自暴自棄になっていた茂造の姿でした。「競輪をあきらめて吉本入るまでは2年ぐらいブラブラしてたし、酒やタバコも(もちろん20歳になってから)手を出した」とは茂しゃん本人が語っていましたが、その二年の間あんな風に「何が正解なのか・何が間違いなのか・死んだほうがましだったんじゃないか」の自問自答をずっと繰り返していたんだろうな、とあの場面で実感しました。親御さんや学校の期待もすごかっただろうし、普通の高校生が送るであろう遊びや恋などの楽しみをほぼすべて犠牲にしてまで競輪に打ち込んだと聞いていますので。

 
「夢を諦めないで」と言われると「努力したって叶わない夢もあるし、その努力すら出来なくなることだってあるじゃないか。そんな簡単に言わないでよ」と反論する声があがります。
しかしその言葉の本当の意味は「どんなに辛くても現実を受け入れて、もがきながら迷いながら悩みながらも前を向いて、少しでも進めるように努力をしていけばいい。そんな自分を必ず支えて見守ってくれる人がいる。そして生きている限り夢は何度も生まれ変わって追い続けられる」ということなのかな、とこのお芝居を見ていて思いました。特に今回は何度も聞いていた茂しゃんの実際のエピソードが盛り込まれていたので、妙にリアリティーがありました。


  このお話の茂造、ひいては、演じている辻本茂雄さん自身が「前を向いて生きていく限り夢を追い続けられる時間=青春時代は終わらない」と、人生をもって証明し、そしてこれからも挑戦を続け、より確かな証明にしようとしているんだなと思いました。


  今回はさらに二幕に出た伊賀さん・アキさん・森田さんの大きな成長ぶりが著しかったです。このお三方は自身が主催の新幹線・エンタメ・きょうと新喜劇を見事完売させ大成功を納めており、その自信と経験が間違いなく実力へ繋がっているんだなと思えるような、去年からグッと広まった演技の表現と新しい魅力を見せてくれました。
  特に森田さんは、茂しゃんと満席完売を約束しており、ご自身はもちろんファンの方たちも応援動画を作ったりしてその目標達成に一致団結しているのを影ながら見守っていたので、今回のこの役はそのご褒美なのかなとも思いました。なんせ、茂しゃんが見つけた新しい夢の一歩をいっしょに踏み出した方の名前を受け継いだ重要すぎる役でしたので。頼りなさげだけどどこか憎めなくてまっすぐなあのサカガミは、森田さんだからこそ演じられたと思っています。


  そして一幕では、平山さんも出ておられました。雑誌のスクープの件で色々と噂されましたが、元気に頑張っている姿を見てホッと安心しました。真相はわからないし、ご家族とも色々話し合いをしているかと心配な部分はまだまだありますが、私がこれまで見てきた平山さんの頑張りと、これから頑張る平山さんの強さをちゃんと見て自分自身で判断していこうと思いました。

  ホテルに帰ってからも興奮がおさまらず、同じホテルに泊まる友人に部屋に来てもらい、二人でかなりアツく語りました(笑)それぐらい熱い情熱をくれる舞台でした。


  今年もたくさんの感動と希望を思い出に持って帰れました!また来年も、絶対に行きます!茂しゃんが挑戦を続ける限り、私もついていきます!!


 

佐藤太一郎企画その16「未来の今日」レポ&感想

  佐藤太一郎さん。新喜劇の座員さんとして活動しておられますが、元々は高校時代から演劇を続けておられて、新喜劇入団前には劇団員として活動もされていたことのある生粋の演劇人。 演劇にかける情熱も並々ならぬものがあります。
  そんな太一郎さんが主催となって行われる、新喜劇とはまた違ったスタンスのお芝居が観れる「佐藤太一郎企画」の第十六回公演「未来の今日」を観劇してきました。ちなみに「未来」と書いて「あした」と読みます。かっこいい!
この作品には新喜劇座員のレイちゃんや「茂造の美しき謎」に出演されていた春山翔さん、しずるの村上さん(この方は今回のお話の脚本も担当!)、プリマ旦那の野村さん、さらにはインパルス堤下さんも出演されています。

  
今回の会場は恵比寿にある「エコー劇場」という、ビルの2階にある小劇場なのですが、小劇場ゆえにうれしいことも。
 
入ってすぐのロビーではオリジナルグッズの販売がされていたのですが、ちょうど私がタオルを買っているとき、奥からスッと長身の男性が出てきたと思ったら、なんとなんと太一郎さんご本人だったのです(n゚Ο゚n)ワァァァ  
販売されているオリジナルTシャツを着用されていて「これオリジナルなんでよろしくお願いしまーす!ちなみにこの物販の売上が今日の打ち上げの資金になりまーす!」と話しておられました(笑)
  めっさドキドキしながら握手をお願いしたら快くギュッと力強く握っていただいて、さらにあとからやっぱし我慢できなくなって写真もお願いしてしまいました。どちらもほんとうに快く笑顔で対応していただきました。太一郎さんは小顔で細身でスタイル抜群で自分のチンチクリン加減(身長150cmのチビで顔パンパン)が際立ちました……(  ;∀;)ウッウッ
太一郎さん、開演ギリギリまでひとりひとりのお客さんに気さくに声をかけてらして、NGK祇園花月以上にとにかく距離が近いのがすごいなーって思いました。
  ちなみにロビーにはお祝いのお花が飾ってあったのですが、ドラマで共演されたご縁から、堤下さん宛へジャニーズWEST藤井流星くんからのフラワーアレンジメントも届いていました!

  チケットを取ったのが公演4日前のため最後列の席でしたが、それでもオペラグラス無しで充分観れるほど距離が近かかったです。なお既にセットは用意されており、ちゃぶ台に座布団ふたつ、冷蔵庫にレンジというどこにでもあるような、生活感溢れるアパートの一室でした。
  本編が始まる前、太一郎さんとレイちゃんが出てきて、前説で会場を盛り上げてくれました。満員御礼の会場の中にはこれまでの「佐藤太一郎企画」十六回すべて観劇済みという常連さんも何人かいらして、そんな方々へレイちゃんからプレゼント!「なんと、太一郎さんのマイナンバーを教えちゃいまーす!」
「アカンで!!俺の個人情報ーー!!」
みたいなやり取りもありました(笑)レイちゃん東京でもノリノリで、「そこのお姉さま、♪ダイナマイトなBODYでもひんがーない」なんてお客さんとも絡んでました。愉快な子だな(´ヽ`*)

  本編が始まると、ステージに表れたのはポスターと同じように頭を抱えただでさえ大きな目を大きく見開いている太一郎さん。その傍らにはグラサンにスーツといういかにも怪しい風貌の春山さんが。どうやら二人ともある使命を持っているらしいのですが………

  暗転し、次に舞台に現れたのは役者志望のアイカワ(村上さん)とそのルームメイトのフルサワ(レイちゃん)。舞台に設置された一室はこの二人が住んでいる部屋なのです。フルサワにはメミちゃんという片想いの相手がいて猛アタックをかけているのですが、なかなか上手くいかないようです。

  と、そこに突然「よかった!!間に合った!!」とやって来たのが太一郎さん。なんとこの太一郎さん、  「未来から来たアイカワ」だというのです!!  顔立ちやスタイルや声色が違うのは「瀕死の危機に直面した状態でタイムスリップをすると出る突然変異」みたいなものらしいです。

  タイムスリップ、というとかなり遠い遠い未来からやって来たというイメージがありますが、この「未来」のアイカワがやってきたのは、いちばん近い未来__「明日」から来たのだというのです。 現代にタイムマシンはないのにそんなのおかしいよ!と「今日」のアイカワとフルサワはなかなか信じてくれません。
  と、そこへやって来たのが先程「明日」のアイカワといっしょにいたスーツとグラサンの男。フジマキと名乗るこの男は遥か未来よりアイカワの子孫である「ニシザキ・ギンザ」という人物から、先祖で唯一の男性であるアイカワの未来、ひいては自分たち子孫の未来を守るよう依頼された「タイムスリップの専門家」なのです。
  フジマキやニシザキがいる時代では、タイムマシーンが開発され、タイムスリップはフジマキのように国家資格を持つインストラクターと供に、「歴史を大きく変えないよう、一生に一度」という決まりのもと、民間人も行えるようになっているのです(なおフジマキのようなインストラクターは仕事のため特例で回数無制限で行ける)。ちなみにその遠い未来ではiPhoneは指輪のような形で、ニシザキ「ギンザ」のように地下鉄の名前を付けるのが主流になっているようです。フジマキも下の名前は「ミドウスジ」でした。私がNGKに行くとき大変お世話になっているあの地下鉄です。 
 

さて、そこまでして「明日」のアイカワと子孫のニシザキが変えたい「今日」のアイカワの明日___それは、「今日このあとメミちゃんと会う」という予定を回避すること!!!なんとフルサワを差し置いて、このあとアイカワはメミちゃんと会い、彼女の相談に乗り、そのまま雰囲気で一夜を共にしてしまうのです。そしてそのせいで翌日ストーカーと化したメミちゃんの元カレから刺され、命を奪われてしまうとのこと。
 
  ニシザキ・ギンザはアイカワの妹筋の子孫なのですが、これが原因なのかアイカワ家の男の遺伝子が極端に少なくなっているとのこと。そのため未来を変えにやって来たのですが、どうもギンザはそそっかしい性格なのか、刺される前ではなく刺された当日__つまり「明日」へタイムスリップしてしまったのです。法律によりタイムスリップが出来る権限を失ったギンザは、「明日」のアイカワをフジマキに託し、メミちゃんと会う当日へとタイムスリップさせたのでした。

 
   ……だいぶややこしくなってきたんですが、「ドラえもん」で先祖であるのび太の運命を変えるために、子孫のセワシくんがドラえもんを送り込んだ、的なあの展開に似てますかね。


  それを傍で聞いていたフルサワは横恋慕されることに激怒しますが、顔は馴染みのある「今日」のアイカワが、行動としては既にメミちゃんと関係が出来ている「明日」のアイカワが憎いので、どちらに怒りを向けていいのかわからず、アイカワ同士はフルサワに殴られたくないのでお互いに責任を擦り付ける始末。
そんな様子を黙って見ていたフジマキですが、指輪型iPhoneからある連絡を受けると奇声を発して地団駄を踏んでテンパりだします。フジマキの部下で供にギンザをタイムスリップさせたタザキが、なんとすでに一度タイムスリップをしているギンザを再びこの「今日」の世界へ連れてきてしまったとのこと。重大な法律違反の手助けを直属の部下が起こしてしまったショックでフジマキは気絶し、寝室へ運ばれていきました。やがてやたらハイテンションで生真面目、かつ靴を左右違うものを履いてきてしまうようなアイカワの子孫ギンザ(野村さん)本人もやってきて、ますます大騒ぎになります。  私が知ってる限り、左右違う靴を履いてきたなんて関ジャニ∞の横山さんぐらいですがね……
 
  ところでこの作品、やたら「一夜を供に」という台詞が出てくるんです。ざっと会場を見回したところ、私も含めて9割方が成人済みもしくは理科・社会・保健体育の履修は済ませている世代のようですので、これがなんの意味をもたらすのかはもちろんわかってたと思います。
  「明日」のアイカワ役の太一郎さんが、なぜメミちゃんとその「一夜を供に」に至ったかをギンザへ話すシーンがあるのですが、「メミちゃんから元カレがしつこいって相談受けてさ、カラオケで二人っきりになって……夜も更けて……終電もなくなって……そうなると、ほら、お互いもう大人の、男と女でさ……」と話す太一郎さんの仕草とか声とか……なんとなく生々しくてドキドキしちゃいました (*゚ε゚;)


  そんなことをしているうちに、事態が急変。元凶であるメミちゃん、なんと元カレからしつこくメールが来ていて困っているので、早く来てほしいとLINEが来ます。メミちゃんもほっとけないしでも刺されて死にたくないし……と悩んでいると、ルール違反を犯したタザキ(堤下さん)がやって来ます。タザキは本来「綾野剛みたいなイケメン」と説明があったのですが、そこにいるのは……ふくよかすぎる体型の男性。実はタザキもまた、「明日」のアイカワのように「タイムスリップをしたことによる突然変異」が起きてしまったのです。その体型を自ら「このだらしない腹!!薄い髪!!」と貶す堤下さん、顔が真っ赤になるほど叫んでいました(笑)

  タザキはなかなか冷静沈着で「二人っきりで会って一夜を供にするから刺されるのであって、フルサワさんも同行して3人で会ってそのまま解散すればいいのでは?」と、よく考えたら確かにその通り、なんで誰も思い付かなかったのかなというような解決策を提案。時を越えてさんざん大騒ぎしたメミちゃん問題はタザキの登場であっさりと解決へ向かいます。
  こうして「明日」のアイカワ、フジマキ、そしてやたら「今日」のアイカワを見つめていたり握手をじっくり交わすタザキは部屋を跡にし、部屋に残った「今日」のアイカワとフルサワがしみじみこれまでのことを思い返し、だんだん舞台が暗くなり………




 

とここで二人は重大なことに気づきます。


 
  「明日」のアイカワへ起きた突然変異の現象が起きる条件、それは「瀕死の危機に直面したタイムスリップ」。ということは、この「今日」の世界へ来たことにより、同じように突然変異が起きたタザキには命や存在が危うくなる何かがあるということ。そしてやはりその事実に気づいた「明日」のアイカワとフジマキも嫌がるタザキを連れて戻ってきました。
 

  タザキの重い口から語られた真実、それは、タザキもまた、アイカワの子孫であるということ。このあとアイカワとメミちゃんの間に起こる「一夜を供に」の結果として出来た子供。その子供から受け継がれた血縁の子孫なのですが、大元の先祖である「今日」のアイカワが「一夜を供に」を実行しなければ、その子供も生まれない。それはタザキの存在そのものが無くなることを意味していました。タザキはギンザが依頼をしてきたときからその事実に気づいていました。
  タザキはご先祖様が生き延びるならそれでいいと笑っていましたが、そんなことは出来ないと「今日」のアイカワは言います。かといってこのままでは刺されて死んでしまう……「未来」という「運命」の別れ道を前に、悩み苦しむ「今日」のアイカワ。

  と、ここで、「明日」のアイカワは、当初の予定通り、メミちゃんと会って一夜を供にしろ、と言い放ちます。そして、「今日」のアイカワ__一日前までの自分自身に語りかけます。

  「俺は失敗が怖くて、いつも一歩を踏み出せなかった。役者になりたいっていうけれど、オーディションを受けたことがない。それは落ちたときが怖いからだった。
でもだからこそ!今ここで一歩を!踏み出してくれ!!そして自分自身で“未来”を、“明日”を、作ってくれ!!こいつら子孫に胸を張って出来ることはそれだけなんだ!!」


そして舞台が暗転。
未来の自分自身からの力強い言葉に、アイカワが選んだ未来とは___






 


「やっぱ刺されたなー(笑)」とお腹に血の付いた包帯をお腹に巻いているアイカワ。結局、アイカワはメミちゃんと会って「一夜を供に」し、そしてストーカーである元カレに刺されたのでした。しかし、お腹に力を入れていたのと、フルサワがスタンバイしていたこともあり、すぐに病院へ運ばれ、死は免れました。
  ちなみになぜかフルサワも腕を怪我して三角巾を巻いていたのですが、これは「アイカワを病院へ送ったあとお腹が空いて王将へ行ったらそこの入り口ですっころんだから」とのこと。なにしてんだい。

  これで子孫であるギンザもタザキも無事だね~と一安心していると、宅配便が届きます。その宅配業者のお兄さんもまた太一郎さんが演じているため、「わーー出た!この人類一うるさい顔!!」と二人に言われていました(笑)
そんな明るい「明日」を思わせてくれるようなほのぼのしたシーンで、本編は終了。

  「未来は今日の積み重ね」なんて言葉がありますが、まさにそのとおりで、今日の困難や壁を乗り越えるため一歩踏み出すことが明日に繋がる。そしてその明日が未来を作っていく。未来は決して変えることの出来ない運命ではく、自分自身でどんどん変えていくことができるから、最後の最後までどうなるかなんかわからない。だからこそ楽しいんだよ、というような明るくあたたかいメッセージを貰えたように思えました。
  個人的には太一郎さんが本気で演劇に向き合ってがんばっているんだなということと、お話がSFで、自分もいつかこういう作品を書いてみたいと思っていたけれど苦手意識があったので、それの参考になれたということですごくいい刺激になりました。

  帰りも太一郎さん、ひとりひとりに挨拶してらっしゃいました。また、レイちゃんも知り合いの方に会うためか、ちょうど外にいたので、握手していただきました。「おぉーありがとうございます!」と舞台やテレビで見ているイメージ通りの明るい天真爛漫なオーラが溢れていました。

  まだまだ新喜劇不毛の土地である関東でもっと新喜劇という笑顔の花を咲かせるには、こういった関東での公演になるべく参加して評判をあげていくことも大切なんだろうなと思っています。なにより、私が座員の皆さんに会いたいから!




 
 


 

エンタメ新喜劇第二弾レポ 後編

前編はこちら→http://nakumelo.hatenablog.com/entry/2016/02/25/110635

   歌が大好きで日々レッスンに励むナナカと、そんな妹を大切にしかわいがる兄のトシ。両親を亡くしてから肩を寄せあって生きてきたふたりに思わぬ知らせが入ります。
 
ナナカは歌を教えてもらっているサキ先生の紹介で、著名な音楽プロデューサー・マキと対面。マキはナナカのその歌唱力に感銘を受け、ぜひ自分が現在住んでいる音楽の都ウィーンへ供に渡り、留学して本格的なレッスンを受けようと誘ってきたのです。サキ先生やあおば学園のあき恵園長も大賛成ですが、ナナカは「お兄ちゃんと離れて暮らさなくてはいけないなら夢なんて捨てる」と嫌がります。

  トシももちろん大好きな妹と離れるのは嫌で、でも夢のための背中は押してあげたくて、というジレンマで悩みます。そこへアキコさんが現れ、そっと語りかけます。

「たとえ離れて暮らしていても、二人の絆は決して途切れないでずっとずっと繋がっているよ。だって二人は、家族なんだから」

  その言葉でトシは決心を固め、ナナカに語りかけます。
  朝に起こしてくれたり、ごはんを半分こして分けあったり、自転車に乗って出掛けたり、手作りの糸電話で遊んだり………たくさんの日常の思い出があり、いつでもナナカがいて、そんなナナカが大好きだったこと。でもいちばん好きなのは、楽しそうに歌を歌い、夢のためにがんばっているナナカの姿だと、涙をこらえながら一生懸命話すトシ。そしてその手作りの糸電話の糸を外し、片方の紙コップをナナカへ手渡します。

「もうこの糸電話の糸は無くたって、僕たちは心でいつだって繋がっているよ。ずっと一緒だよ。だからがんばっておいで」

  兄の愛情溢れる言葉と、片方だけになった紙コップの糸電話をお守りに、ナナカはウィーンへ旅立つことを決意したのでした。


  トシ役の役者さん(後にすごい方だということが判明)はこれが初めての本格的な演技経験とのことで、台詞をつっかえたり噛んだりというところは多少あったものの、一言一句を涙をこらえながら妹に必死で伝える、というシーンのため、それがかえって切なさや一生懸命さがリアルに感じ取れて、じんわり心に染みていきました。実際このシーンではすすり泣く声があちこちで聞こえてきました。

  ナナカのために、あおば学園の仲間とゆたかさんや一の介マスターたちも交えて、花月公園で送別会が開かれることになりました。

いつの間にか茂造はトシを気に入ってしまい、ナナカが旅立ったらあおば学園を出て自分といっしょに暮らそう、とアプローチをしてきます。「貯金下ろして増築して部屋作るから!4Kのテレビ買うたげるから!!」とかなり本気モードです(笑)
 
そんなトシはナナカのためにピアノ演奏を披露。曲は「ぞう」。おはながながいのね♪のあれです。さらに最初は一本指で恐る恐る弾いていたので、その微妙な選曲と技術に茂造がいつも持ち歩いている杖を落としたほど。
  しかし次の瞬間、両手を大きく広げ、童謡とは思えぬほど壮大かつ拡張高いクラシック風にアレンジして「ぞう」を弾くトシ。そのテクニックに誰もが騒然とします。実はトシ役の方は、そのキーボードテクニックを活かしたネタでPONやエンタの神様などに出たこともある「こまつ」さんでした! (゚ε゚)ワォ

  そのトシのキーボード演奏も交えて、今度はアキコさんwithあおば学園ダンサーによるダンスが披露されます。前回同様、やはりクールでかっこいいダンスを見せてくれました。
前回に引き続きバレエダンサーのお兄さんも出演されていたのですが、今回はそこに元ディズニーランドダンサーの恵美ちゃんや、今年入団した金の卵8個生で現役バレリーナも兼任している松浦景子ちゃんも加わり、かなり本格的で美しいバレエが見れたのが個人的に嬉しかったです。バレエやってる人って立ち姿までほんとに綺麗!

さらにさらに腰が曲がってヨボヨボなはずのいそじぃまでもがいつのまにか背をしゃんと伸ばして、ヒューマンビートボックスやモノマネ、さらにはめちゃめちゃ高度なヒップホップダンスまで披露!!いそじぃの正体も実はかなりすごい方で、教育テレビの「ストレッチマンV」でストレッチマンオレンジとして出演されている「ISSOP(イソップ)」さんでした!!アキさんどんだけ太くて広いパイプ持ってんだよ!!!

  最後はトシが片手でキーボード、もう片手でトランペットを同時演奏という前代未聞の超絶テクニックを見せつけ、送別会は終了。その瞬間、ずっと見守ってたプロデューサー・マキが「お兄ちゃんの演奏技術も素晴らしすぎる!!ぜひ本場でもっと腕を磨いてほしい!!」と、なんと兄妹供にウィーンへの留学へスカウト!!
「ダブルベッドでいっしょに寝て毎朝トランペットでワシのこと起こしてくれるって言ってたのにーー!!」と駄々をこねてトシにまとわりつく茂造をなんとかひっぺがし、仲良し兄妹は大好きな音楽の勉強をするためいっしょに旅立って行きました。めでたしめでたし、というところで本編は終了。


カーテンコールではアキさんが、今回ゲストの石田靖さんについて話されていました。 アキさんと相方ケンさんのコンビ「水玉れっぷう隊」は約10年間東京を拠点に活動していたのですが、そのとき大変お世話になったのが石田さんだったとのこと。ルミネの劇場でも新喜劇をすることが何回かあったそうなのですが、その度に水玉さんたちは必ずチーム石田として参加しており、自由にやってみていいよ、と言われてのびのび活動出来たそうです。その結果、ネタやギャグだけにこだわらない、アクションやダンスなども取り入れた今のスタイルを確立出来た、とのこと。

「今日こうやって石田さんに出てもらって、がんばってるとこ見せられてほんとうれしい。なんか、あの、石田さんの顔見てると泣きそうで……」と挨拶したあと、言葉を詰まらせ、顔を歪め、本当に泣いてしまったアキさん。そんなアキさんを東京の恩師・石田さんと現在活動する大阪でのパートナー・茂しゃんが両脇で優しく見守っているのも印象的でした。

その変幻自在のエンターテイナーぶりで、ここ一年ほどで爆発的に人気が出たアキさん。でもその前には長い長い道のりがあり、何度も何度もつまずき傷つき悩み迷いながら、そして時に石田さんや茂しゃんや相方さんなど周りの人たちと手を取り合いながら歩んできたんだと、このとき思いました。

アキさんだけではありません。あの日あの舞台に立っていたすべての人が、みんな器用で運もいい人ばかりではない。悲しみや苦しみをどうにかして乗り越えて、悩みながらなんとか答えを探しだして、一歩でも前へ進もうとした人だけが、あそこに立って輝いていたし、これからも輝くのです。その輝きから放たれる優しさや楽しさのオーラで今回もこうしてまた笑顔を貰えるのは本当にありがたいし幸せなことです。

 
エンタメ新喜劇は既に次回公演が7月に2daysで決定しており、そのチケットの先行販売が2階ロビーで行われました。友人と供にそちらへ参加し、その後アキコさん姿のアキさんと写真撮影と握手をしていただきました。ずっと「ありがとうございます」と挨拶してくださり、握ってくださった手はあたたかく、人柄の良さが滲み出ていました。
  このときアシスタントとしていたもじゃさん・いちじまさん・高井さんとも握手をしていただいたり写真撮影をしていただいたりしました。みなさん気さくで優しくて、だからこそ絶対にこの方たちへの尊敬の想いはなくしてはいけないと思いました。

   同じく2階ロビーでは平山さんタックルさんによるチャンバラJAPANや森田さんが、祇園花月で行われる主催公演のチケットの手売りをがんばっておられました。なお公演の告知はカーテンコールの際にも行われたのですが、平山さんが一歩前に出ただけで会場からは「がんばってー!」「おちついてー!」という応援が(笑) 私もはじめて客席から「がんばれー!」と声をかけてしまいました←   あたふたしていても台詞が飛んでしまってもアドリブ弱くても、応援せずには、見守らずにはいられない不思議な魅力のある方です。


  今回もたくさんの愛や笑顔をお土産にNGKを跡にすることが出来ました!またきっと近いうちに遊びに来ると思います!!すみません!!


「い~よぉ~♪」  (笑)