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佐藤太一郎企画その20 「グッド・コマーシャル」レポ①

   今年3回目の佐藤太一郎企画は、なんとルミネでの東京公演!!ずっとアンケートに「関東でもやってください」と頼んできてよかった!!
  演目は企画のなかでも屈指の名作と言われている「グッド・コマーシャル」!!なにかと世間をお騒がせのキングコング西野亮廣氏作の小説が原案のお芝居だそうです。

   舞台の上には既にセットが出来上がっており、そこはかなり年季の入った和室。上手には小さな窓付き。畳の上にはいくつか段ボールが置かれており、壁には「アメリ」や「ロボコップ」といった名作映画のポスターとともに、なんとも意味深な言葉の掛け軸が……
 
  【縛られてからが勝負】
   【叩かれても笑い続けろ】
    【その痛みを体に刻み込め!】

   ……部屋主はドMなのかな?と一抹の不安を感じながら、部屋入り口である下手の上を見つめると、なんと輪の形に結ばれたロープが天井からぶら下がってる!!あの形は、そう、あの行為をするための……


  開演と共に舞台は暗くなり、そのロープだけがぼんやりした光に吊るされると、そこにやって来たのは太一郎さん演じる、この部屋主の木下。とあるテレビ番組製作の下請け会社でADとして激務をこなしている青年。
  木下は思い詰めた顔で椅子の上に立ち上がり、例のあのロープの輪に自身の首をかけようとします。が、直前で「これ絶対苦しいもん!!」と諦め、それならナイフで…と腕に刺そうとしますが、やはり「絶対痛いもん!!」と断念。でももう生き地獄にはいたくない。悩む木下。

   そのとき、突然部屋に入ってくるニット帽とサングラスの男(プリマ旦那・野村さん)。彼の手には……ピストル!!
  驚く木下に、大人しくするよう促すと、グラサン男は窓を開け、外に向かって叫びます。

  「おいよく聞け!!俺はここの住人を人質に取った!!このピストルがあれば一発でこいつはあっという間にあの世行きや!!」

  なんとグラサン男の正体は強盗!!木下は人質になってしまったのです!!……が、あるワードを聞いて目を輝かせる木下。さらに窓の外に向かって叫ぶ強盗。

  「身代金一千万と逃走用のバイク用意せぇ!!でないとこいつを殺す!!」

  「おねがいしまっす!!」

  「!?  Σ(゚ヽ゚)」


  人質からの思いがけない反応に慌てて窓を閉め、振り返り木下を見つめる強盗。木下の目には怯えや恐怖はなく、キラキラと希望に満ちており、強盗の手にあるピストルを見つめます。

  「……そのピストルで撃ってくれたら、僕は、苦しまずあっという間に死ねるんですよね?よかった、これでやっと死ねる……さぁ!!一発ぶち抜いちゃってください!!」

   人質の斜め上過ぎるリクエストに強盗は大混乱。部屋を見回すと、あの輪っか状に括られたロープ、そして果物を剥くためではない目的で置かれたナイフを発見。さらにテーブルには一枚の紙があり、そこにはこんな文面が……

  【先立つ不幸をお許しください】


  やっとこの人質がよりによって自殺志願者だと理解する強盗。どうやら殺すつもりなど最初からなかったようで、いくらなんでもそりゃだめだと木下を説得しますが、木下は聞き入れず「お願いだから殺してください!!」と懇願するばかり。
  仕方なく強盗は取引を持ちかけます。「お前を楽に死なせてやるために、お前も俺の言うことを聞いてくれないか?」と。承諾する木下。

  一先ずは外にいる警官に①強盗に人質に取られた②人質は身代金一千万と逃走用のバイクを要求している③要求に答えないと人質である自分は殺される、ということを伝えてくれと指示する強盗。張り切る木下。①と②は無事に言えたものの、③の最後で「僕は殺してもらえません!」と余計なワードを言ってしまったがために台無しに。ぶちギレる強盗。しょげる木下。 

   そもそもなんでお前そんなに死にたいわけ?と強盗は聞き出します。
部屋に飾られた名画のポスターからもわかるように、映画が大好きな木下は、映画監督を夢見ていました。監督となって、その一言で役者もスタッフも一斉に動き出して物語が始まる「アクション!!」という魔法の呪文を唱えてみたかった、と言うのです。
   そしてそのための勉強として映像製作に携わる会社に入ったのですが、実際にはTV局からの孫請けのような形の仕事ばかりで、特に下っ端の木下は長年ADとして毎日毎日、本人曰く「馬車馬のように」働かされていたのです。昼夜を問わない激務による疲れと、いつまでたっても夢に近づくことのできない絶望感から、ついには自殺願望が芽生えてしまったのでした。
  

  そんな木下は今度は強盗に、なぜこんな大がかりな事件を起こしたのかと聞きます。強盗は元々は普通の生活を送っていた一般人でしたが、元々文章を書くのが好きだったので、ふとした思い付きから小説を執筆。出版社へ応募したところ、編集部から連絡が来て、本を出版することに。   
  しかしそれは本人名義ではなく、有名なある作家の名前を借りて。つまりゴーストライター契約を持ちかけられたのでした。
  その作家と作品名を聞き驚く木下。なんとその作品は増刷を重ね何万部も飛ぶように売れ、実写映画化も決定している今話題の大ヒット作なのです。よく見るとセットの本棚にその本が並べられているのを後から発見し、細かいところまで良くできているなぁと感心しました。
   しかし契約時に交わした取り決めにより、本来執筆した強盗が貰える印税は「初版の」売上の数%。なのでどんなに増刷しても映画化となっても印税も手柄も有名作家のもの。そうとは思わず大金が入り込むと思い込んで浮かれてギャンブルに明け暮れ、気づけば一千万円という多額の借金を抱え、ここまできたら死ぬ気でやってやろうとこの計画を立て実行したのでした。

   木下もその作品は読み終えており、特にラストシーンの「長い旅から帰ってきた主人公に母親がいつもと変わらず夕飯を振る舞ってくれる」ところがたまらなく好きだと本当の作者である強盗に興奮ぎみに感想を述べます。しかし作者曰く「あの作家が勝手にカットしやがったけど、本当はもう少し長いラストシーンだった」とのこと。
  
  その夕食を終えたあと、主人公は母親が自分がいない間も毎日一人分多く、つまり家出をした自分の分も夕飯を作ってくれていたことを知ります。それを受けて母親に「もう自分は大人なんだから自分の食事くらいなんとか出来る。無理して一人分多く作る必要ないよ」と話しますが、母親は笑ってこう答えます。
    
「お母さんが作っていたのは“一人分多く”じゃなくて、“家族全員分”なの。だから必要ないことないのよ」

そこに強盗作者は「この世に必要のない人間などいない。必ずなにかを成し遂げ果たすためにこの世に生まれ存在している」というメッセージを込めたのでした。

  気づくと木下は俯き、体を震わせていました。そして顔をあげると、その大きな瞳からは滝のような涙が!!(ほんとに太一郎さん涙流してるのがよく見えた)  大好きな作品の本当の作者からのメッセージに心を打たれ、死ぬことをやめしっかり夢に向き合って生きる!!きっといつか「アクション!!」と叫んでみせる!!と決心します。それを聞いて安心する小説家強盗。いい作品書いて良かったね!


  生きる希望を取り戻してくれたお礼に木下が強盗小説家に渡したのは一枚の紙。仕事で大量買いした宝くじがあり、そのなかに当選した枚数はいくつあるか数えておけと命じられたようなのです。
  そのなかに一枚、見事当選したものがあり、その金額は……

 
  「さすがに一等ではないんですが、一千万円はあるはずです!これよかったら受け取ってください!!」

   ……なんで早く出さないの、
それ!!! (゚皿゚)


  いよいよ人質をとってまで強盗した理由がなくなったゴーストライター小説家の顔は真っ青!!表には待機する警官や野次馬が大勢おり、さらにはテレビ中継まで始まってしまいました。
  さらに警察は、いつまでたっても動きを見せない犯人に業を煮やし、ある人物にすべてを託すことを計画していました。


  この密室から、果たして強盗小説家は脱出できるのでしょうか!?続きます!!
 


 

 

7・8・9月観劇レポ


お久しぶりです!今回は夏から秋にかけての観劇レポをダイジェストでお送りいたします。

【7月→FILL-IN~娘のバンドに親が出る~】

   新喜劇が誇るスーパー座長の内場さんが外部舞台の主演に!しかも東京でやる!!そんでもってドラムまで演奏しちゃう!!  そんな気になることだらけのこの舞台に普段はチーム辻本推しの私も行ってみることに!というのもゴールデンウィークに行われた東京グランド花月に内場さん推しの友人に誘われ、古きよき伝統を重んじる正統派のチーム内場公演にすっかり魅了されていたのでした(笑)
 
  勘当した娘が突然の事故死、しかし涙も悲しみも湧かない仕事人間の幸吉が、ひょんなことから娘のルーツを探る旅に。そこで娘が仲間とバンドを組み、ドラマーとして活動していたことを知る。さらにさらに、そのバンド仲間の一人から焚き付けられ、自分が娘の代わりにドラマーとしてバンドへ加入することに!!

   仕事以外は無気力&無関心なダメダメ親父なのに、どこか憎めないのはやはり内場さんが持つ「程よく力の抜けたオーラ」がそうさせるのか、気づけば幸吉の不器用ながらも懸命にドラムを学ぶ姿に目が離せなくなっていきます。
  仕事一筋の幸吉にとって、「人生の『主食』である仕事以外のすべての物事は無用で無意味なもの」とまで極端な考えだったのですが、このバンド加入をきっかけに「音楽は人生における、楽しみや出会いを増やしてくれるような『おかず』のようなもの」ということを学んでいきます。
  この「おかず」という表現が大変面白いもので、実はドラムの演奏方法のひとつの通称でもあるのです。さらにこの「おかず」という演奏方法の別名がなんと「フィルイン」!!さらにさらに「FILL-IN」は訳すると元々は「埋め合わせる」という意味!!つまり「FILL-IN」とは「ドラムを通して娘との空白時間とバンドのドラムパートを埋め合わせて、さらには人生のおかず的要素を学ぶ」という意味がこのタイトルに込められているのですから原作者の後藤大王の発想力には脱帽です。

  バンド演奏をする大舞台で力強く、そして流れるようなリズムでドラムを叩き、そのドラムセットを通して仲間と見る景色に、「こんな楽しい世界を知った自分の娘は幸せな人生だったんだ!!」と同じ景色を見られたことで心からの幸福を感じる幸吉。それに合わせるように一体になる会場。
  しかし、演奏が終わったあとに待っていたのは「同じ景色は見られても、もう娘と自分がこの同じ瞬間を生きることは出来ない。なぜなら娘は死んだから」というとっくに訪れていたはずなのに忘れていた残酷な現実。幸吉は妻に抱き抱えられ、バンドメンバーに見守られながら、今は亡き娘の名前を呼び続け、子供のように泣きじゃくったのでした。
  
  程よい力加減で、しかし目線や表情にまでひとつひとつ丁寧に神経を行き届かせて表現する演技はさすがスーパー座長。3ヶ月ほどでドラム演奏を習得する集中力の高さも、本番前日リハが当たり前の新喜劇で鍛えたものかと思われます。

  そんな内場さん、この記事を書いている10月現在、朝ドラ「わろてんか」の出演が決まっています。今年は新喜劇の舞台を飛び出し、映画やドラマや外部舞台など演技のお仕事が増えた内場さん。活躍の幅が増えるのは嬉しいことです。とはいえ、落ち着いたらまた新喜劇の本公演にも戻ってきてね!まだまだ新喜劇には内場さんの存在が必要なのです!!


  【8月→きょうと新喜劇】

  森にぃが定期的に開催しているこの公演、ずっと気になっていたのですが第六回目にしてついに初参戦!!
 
  これまでは「元祇園の芸妓・のぶ代」や「京都の坊主・ノブリン」などオリジナルキャラで物語が進行しましたが、今回はチーム辻本の本公演で今やすっかりお馴染みの「緑スーツのヤクザ・森田」で登場!!このヤクザ森田が兄貴分の黄色スーツのイケメンヤクザ・アキさんと共に借金取りと麻薬密売現場の取り押さえに奮闘する物語になっておりました。
  ゲストには京都出身の大御所・くるよ師匠も登場!!パステルカラーでモコモコしたわたあめみたいなお衣装で登場し、なんとこれは今回初めてお披露目した新作!これには森にぃも大感激!!
  お話も、京都にちなんだ地名やお寺がキーワードとして出てきたり、冒頭さらっと触れた部分が実は……な伏線になっていたりと、丁寧に練り込んで作り上げたものとなっていました。あの緑のカッパヤクザさんなかなかやりますぞ、といつも彼をいじくり倒すあの青ジャージのおじいさんにも見せたかったほどです(笑)
  やっぱり森にぃは頭の回転はかなり早いし発想も豊かなんだなぁと実感。

  個人的に驚いたのは刑事役のレイちゃんがうっかり重要な小道具であるケータイを忘れたとき、たまたまテーブルに前から置いてあった別のケータイ(その前に出た演者が持ち帰り忘れたもの)をうまーいこと使ってそのシーンを切り抜けたこと。カーテンコールでネタばらしされるまで、わりと前のほうの席なのに気づかないほど自然にこなしていました!!こういうのは場数を踏んでないと出来ないアドリブですものね。さすがです。
  あと同じく刑事役のゆり蚊ちゃん、チェンバル語ネタで思い出しました。よく「爆笑レッドカーペット」とか出ていましたね!  (゚皿゚)ガッグワッガッギャッ!!←(チェンバル語でおもしろかったよ!のつもり 笑)

 
  【9月→エンタメ新喜劇】

   NGT改装前の最後の日、エンタメ新喜劇に行って参りました。
  相変わらず大人気なこの公演は3DAYSなうえDVD化も決定!
  お話の内容としては、アキさんが映像に残して初めての人にも心に残るようにという願いからか、ほぼ第二弾のリバイバルのような内容でした。確かにメッセージ性がものすごく強い作品なんですよね、これ(ストーリーなど詳しくはこちら→http://nakumelo.hatenablog.com/entry/2016/02/25/110635) 。相変わらず動きはダイナミックかつパワフルで、でも見せるところや伝えたいことはしっかり演技で見せてあたたかい気持ちにもさせてくれました。

  終演間際には桑原レジェンドがどんどんと進化を続けるアキさんを讃え、そんなアキさんを見出だし名コンビとして新喜劇の舞台を盛り上げている茂しゃんへ向けての賞賛のお言葉をいただきました。
  
  最近の新喜劇はなんだかめまぐるしく環境が激変し、正直ついていけないかもと思った瞬間も多々ありました。
  そんななかでも茂しゃんやアキさんはマイペースで変わらずに現場主義で、特に茂しゃんが芸能生活30周年の今年は各地の色んな会場で公演をしてくれました。関東にもコントSPを含めたら今までよりずっとずっと来てくれるようになりました。
  そういう地道で基本を忘れない活動を認めてくださる方がいて、しかも舞台でしっかりとファンに向けて言葉にしてくださったことは、とても救いになりましたし、こちらまで誇らしくなりました。
 
 
  恒例の閉幕後の写真撮影会は、DVD予約の特典として行われました。もちろんDVD欲しかったので予約して参加!!
アキさんと写真撮影後、握手をしたとき思いきってずっと言いたかったことをお伝えしたのですが、あのザワザワしたなかで私のたどたどしい声と言葉を、わざわざ体ごと傾けて耳を近づけて聞いてくださったこと、そしてそれに対して笑顔で「ありがとう」と答えてくださったこと、本当に嬉しかったです。

  「アキさん、絶対、座長になってください!!」とこのときお願いしたことが実現するその日を、私は、どんなに時間がかかっても待っています。





 









 

 

 
 

佐藤太一郎企画その19「風のピンチヒッター’17」レポ④(ラスト)


   チンタラレポもやっと最後!夏休みの宿題がいまだに終わらない子供の気持ちがこの歳になってわかりました……ここからはカーテンコールの様子などを。


  閉幕後は拍手が鳴りやまぬうえに、やがて拍手だけではなく、徐々に立ち上がる観客が続出し、ついにはほぼ全席が立ちあがり拍手を送るという「スタンディングオーベーション」状態に!!前列から振りかえって見たときのその光景は圧巻でした。

  そしてその光景を、NGKの舞台という、主人公ミナミでいう甲子園と同様の「夢の舞台」で見れた太一郎さんは満面の笑みを浮かべながら、大きな瞳からはうっすら涙が……NGKを2日間満席にするというのは私が想像するよりもずっとずっと大変で、太一郎さん曰く「支配人に殺されやしないかとビクビクしてた」とのこと(笑)  それでもプレッシャーをはねのけ、見事に目標を達成し、奇跡を間に合わせて全力投球した太一郎さんは、やっぱりミナミそのものだなと思いました。

  太一郎さんの計らいで、この作品の作・演出を担当し、太一郎さんがかつて所属していた劇団の主催という大塚さんも舞台へ登場!「あの作品がこんな大きく伝統ある舞台で出来るなんて嬉しい」と話してくれました。太一郎さんがこの作品の初演を観たときは新宿の小劇場での公演だったそうです。

  公演が終わると出演者の方たちがあちこちに並んでいて、なかには公演での演技を見てファンになった観客たちと写真撮影や握手をしている方もいました。彼らのほとんどは太一郎さんが見出だした「今後の関西演劇界を背負うであろう人材」たちなので、これを自信にまたそれぞれの活動を精力的にこなしていくんだろうなと思います。実際、これを書いている今、リョウコ役の辻さんは短編映画のコンクールでグランプリと最優秀女優賞を受賞し、トクガワ役の田川さんも単独イベントを大成功させています!!すごいよーー!!
トシミツ役の井路端さんは「茂造の絆」にも出てらしたので、友人と一緒にご挨拶させていただきました。

  そして我らが太一郎さんには、一番大きな列が。疲れも見せず、一人一人と笑顔で気さくに応じる太一郎さん。今回、私はその優しさに甘え、あることをお願いすることに……

  長い列に並び、いよいよ私の番。

  「お疲れ様でした。あの、ちょっと、わがままなんですが、お願いが……」
「なんだい?(ニコニコ)」
「あ、あの、これを持っていただきたいんです……」

  そして私が取り出したのは、出発前に地元のガチャガチャで見つけてきた、マンボウの人形。実はこれ、両サイドをぎゅっと握ると目玉が飛び出て、太一郎さんの目とそっくりになるという……(笑)
失礼&無礼にもほどがあるこんな要求にも快く応えてくださり、しっかり目を見開いて見事にそっくりな表情でいっしょに写真を撮ってくださいました(  ;∀;)ホントニホントニスミマセン

  あと、列に並んでいる最中にどこがで見たことのあるお兄さんがいるな、と思ったら、レイちゃんでした!太一郎さんと仲よしなので観に来ていたようです。見かけることが出来てラッキーでした♪


  太一郎さんの企画は、それまでの私の中にあった演劇の「難解で複雑でセンスと学のある人が楽しむ芸術」という思い込みをぶっ壊し、「見せ方次第で様々な場面や情景を見せてくれて、老若男女が楽しめるエンターテイメント」に変えてくれました。
  今回、NGKの舞台の上は紛れもなくグラウンドで、そこをみんなが駆け抜けて、風も吹いていた。こんな風に見せることが出来るんだ、標高数センチのあの舞台の上は、別世界になるんだ、お芝居って、演劇って、すごいんだ……と改めてその魅力と面白さを教えていただきました。
 

  そして早速太一郎さんは次の企画に向けて動き出しています。次回は記念すべき20回目!楽しみです!今度こそもっと早くレポが書けたらいいな……(笑)





  




 




 

佐藤太一郎企画その19「風のピンチヒッター’17」レポ③

  すったもんだありましたが、ついにやって来た予選大会! 鼻息荒い三高ナインと、それを冷笑しながら見つめるオキタとトクガワ。

  試合が開始されますがやはり実力の差は歴然。あっという間に点差が開き、ついに「ここで三高が負けたら最後までやっても逆転の可能性はほぼないから途中で試合やめるよ」というところまで来てしまいます(そんな無慈悲なルールがあるなんて!!)。
  ここで打たれたら終わり、という場面にバッターを任されたのは、お金持ちのお坊っちゃん長嶋茂雄信者でもあるシンサク(キタノの大冒険さん)。普段の練習でも決してナイスとは言えないバッティングを披露してきた彼。しかし彼と三高ナインたちの強い想いが、長嶋氏の魂を呼び込んだ?のか、なんとラスト3球目でヒットを飛ばすミラクル発生!!

  そして今度は守備側になると、新進気鋭の問題児エース・サイゴウが父親譲りのナイスピッチングを思う存分披露。次々に星上の選手たちを空振り三振へ導きます。そのいい流れを受けて、三高ナインも絶好調!さらに、イサムが両目とも2という驚異の良視力で、無意識に次の作戦を口パクしてしまう癖があるオキタの口元を読み取るという妙技によって相手の裏をかきまくり、いつのまにやら一点獲得どころかぐんぐん点差が迫っていく!!
  準備体操くらいの気持ちで余裕をかましていたオキタやトクガワをはじめとする星上は焦りまくり、それゆえにどんどん動きが鈍くなり、そのたびに罵声と鉄拳を浴びせるオキタ。それを見てドン引きする三高ナインと観客。

  それでもなお「勝利」にのみこだわり続けるオキタは、ついにスポーツマンシップすら捨てて三高を妨害。「隠し玉」というルール違反でこそないもののかなりセコい技を繰り出したり、サイゴウに対して父親のことを持ち出して野次ってきたりなど卑怯なことばかりしてきます。

 
  それでも堂々たる投球を続けていたサイゴウですが、やがて投げるたびに顔を歪め、なにかに耐えているような素振りに。様子のおかしいサイゴウを心配するサカモトたちに、それまでずっとベンチで応援していたミナミが真実を話します。


  前日、試合を控えているため練習は早めに切り上がったのですが、補欠のミナミは試合にこそ出れなくても、少しでも上達できたらと思い、投球練習用の的の中央に10球連続当てられるようにずっと練習していました。それを居残りでやっているとき、通りがかったサイゴウがアドバイスをしつつ、10球達成の見届け人になると申し出てくれたのです。

  たどたどしく危なっかしくも、どうにか9球目まで達成したとき、やってきたのはあのトクガワ。そしてトクガワが合図すると、彼女が雇った暴漢が一斉にサイゴウに襲いかかり、ピッチャーにとって大切な腕や肩を鉄パイプで攻撃!! かつてのように暴力で振り払うにもトクガワはまたカメラを所持しており、試合出場が危うくなるのを恐れてじっと耐えたサイゴウと、なにもできずに怯えて見ていたミナミ。そしてサイゴウはミナミに、このことはメンバーやサカモトには秘密にしておけと伝えていたのです。痛め付けられたうえに連続投球によりサイゴウの肩や腕は限界寸前でした。

   サカモトがサイゴウを止め、ベンチへ入れることに。しかし補欠はミナミとキタカゼのみ。実力からして出るべきはキタカゼですが、やはりまだ踏ん切りがつかない模様。そのときミナミがフェンスの向こうで青年を発見。それはかつてキタカゼがデッドボールで怪我をさせてしまった相手。しかし彼はキタカゼに向かって笑顔で大きく手を振り続けてくれていました。許しと応援を受けたキタカゼはついにマウンドに立ちます!

   ここからはまた三高にいい風が吹き、バッターとなったキタカゼはこれまでのブランクを感じさせないほどガンガン打ちまくります。実弟の生き生きとした姿に呆然とするオキタ。盛り上がる三高ナイン。

  しかしそんなときあるアクシデントが。なんと星上の選手が投げた球がキタカゼの目元を直撃!!グラウンドに立つことが出来なくなりました。三高ナインはオキタの指示ではないかと星上に抗議しようとしますが、「きっとピッチャーの子はわざとやないんや。僕は恨まへん」と自分がかつて犯したミスだからこそわかると主張。そしてミナミに向かってあるお願いをします。

  「あとは走るだけ。次の塁まで走るだけなんや。それを、君にやってほしい。君ならできる!!」

  実際、あとの補欠はミナミだけでした。大事な大事な場面での出場決定に、戸惑い、弱気になるミナミでしたが、「お前は……ベンチ温めるために……これまで練習してきたんかぁーーッ!!!??」というサカモトの怒号と、三高ナインたちの励ましを受け、ついにグラウンドに!!

  震えながら、その時を待つミナミ。そして響き渡るバッターが球を打つ音。次の瞬間、駆け出すミナミ。その姿は父とは違い、ぎくしゃくとして決して速くはないものの、彼が走ったとき確かに風は吹いたのです。そして見事にミナミは走りきり、しっかりとベースに手が!!そしてまた、次の回では全力疾走!!父の志は、確かにミナミに受け継がれていました。

 

  そして………


  結果的には、名門星上の勝利、三高ナインの夏は早くも終わりました。それでも清々しい笑顔で互いを労う三高ナインに、オキタは皮肉混じりに「試合に勝って勝負に勝って満足か?」という言葉を吐き、それを聞いたミナミがついにガチギレ。オキタの胸ぐらを掴み「本当にあんたに勝つために俺はずっと野球を続けてやる!!」と宣言します。


   ここで舞台の照明が落とされ、ミナミとサイゴウの二人きりになり、回想しながら語っています。
  サイゴウ曰く「俺の人生は最後の最後までツイてなかった。でもこのときの夏と野球があったから、悪くない人生だったと思えた」「今は毎日親父とキャッチボールしとる。親父はまったく手加減せず豪速球投げてきよる」とのこと。明言こそされていませんが、どうやらサイゴウは若くしてこの世を去ってしまったようで……それでも楽しそうにあの夏の思い出や野球のことを語る彼を、ミナミはほほえましく見守るのでした。


  そして時は流れ、大人になったミナミは冒頭と同じように甲子園のグラウンドに立っていました__審判として!
  そして観客席には、あの夏共に汗を流し笑いあった三高の仲間たちの姿。ある者はスポーツ記者、またある者はプロ野球のオーナー、そしてまたある者は社会人野球の選手や趣味で草野球チームに所属など、皆形は違えどあの頃からずっと野球に携わって生きてきたのです。ずっと野球を好きでい続けたのです!!

   「プレイボーール!!」というミナミの掛け声と共に甲子園の試合が始まる、というところで物語は終了。最後は出演者全員で口上を述べます。

「誰かが言った
もう一度野球をしよう
誰もが頷いた
もう一度野球がしたい
その時のために
風を感じよう
その物語がはじまるまでは
風を記憶しておこう
あの夏
あの空
あの幻
風は確かに吹いていた
そして風は今も吹いている
全てはこの野球のために 」


次がほんとにほんとに最後!カーテンコール編です!!ここまできたら最後まで書くよーー!!

佐藤太一郎企画その19「風のピンチヒッター’17」レポ②


  台風5号の進路並みのチンタラ更新でごめんなさい。「風ピン」レポ続きです!


   スパルタかつ極端なまで成績主義な典型的教育ママの母親と、その母親の要求にすんなり応えて国立大にまで進んだ兄たちを持つトシミツ。実は彼はスポーツだけではなく学業も優秀な一高を受験したものの不合格。二次募集のあったこの三高へ入学したのでした。
  男勝りなサカモトですらドン引きするほどの強烈お母さんには頭が上がらず、しかも「期待に添えなかった」という落ち目があるため、いつものように論理的思考を駆使した達者な話術も使えず、命令に従い部活には寄らず塾通いをするようになるトシミツ。しかし、同じ優等生仲間で、おかっぱと眼鏡がキュートなヨシダ(四方花菜さん)がなにかとサポートをしてくれるおかげで、塾と偽って家を出て練習に参加することが出来ます。やっていくうちに、自分は自覚しているよりずっと野球が好きなんだと気づくトシミツ。このままごまかし逃げるのではなく、きちんと気持ちを伝えようと決意します。

  
  別の形で、親の大きな負の影響を受けているのがサイゴウ。実は彼の見事なナイフ投げのセンスのよさは、かつてプロ野球選手だった父親から受け継いだもの。
  父親も野球も大好きだったサイゴウを大きく変えたのは、父親に突如浮上した「八百長疑惑」。身に覚えのないその疑惑を晴らそうと父は懸命に訴えましたが、球界を追放され、マスコミから執拗に責められ、世間から叩かれ……ついに耐えきれず自ら命を絶ってしまったのでした。
  父を追い詰めた世間にも野球にも憎悪を抱き、すっかりやさぐれてしまったサイゴウでしたが、サカモトの言葉がずっと頭から離れずにいて……

 
   そして実は三高野球部には、サイゴウのようにプロ野球選手を父に持つ部員がいました。それがミナミです。
  とはいえ花形スター選手だったサイゴウの父とは違い、阪神の二軍選手だったミナミの父。しかもその後自由契約となり、この度近鉄の選手となったのでした(ミナミの転校もこのことに合わせて行われた)。
  余談ですが野球にも地理にも疎い私は長らく阪神が大阪拠点の野球団だと思っていましたが、兵庫の甲子園が本拠地なんですよね。
 
  ミナミの父はこの移籍をきっかけに、引退をすることを決意。その引退試合は息子のミナミはもちろん、キタカゼと彼に誘われたイサムも観戦。ミナミの父は最後の最後、ピンチランナーとしての出場。決して目立つポジションではないけれど、全力で走りきるその姿に、息子のミナミは父を誇らしく思うのでした。運動が苦手で気も弱く、幼い頃からいじめられ続けたミナミですが、その度にお父さんがキャッチボールをしてくれて、心が晴れ、野球が大好きになったのです。

   ミナミの父のことはキタカゼも注目しており、特に全力疾走ぶりは「ああいう野球の仕方もあるんやなって教えてくれた!すごくかっこよかった!」と絶賛するほど。
 
他にもメンバーにちょくちょくアドバイスをくれるのに、一切入部の気配がないキタカゼ。実は前の学校で、試合中に投げた球が相手選手の目元に当たるデッドボールが発生。相手は目に大怪我を負い、失明こそ免れたものの、また野球ができるほど視力が回復する可能性は低く、そのことに罪悪感を抱いたキタカゼは自分自身がプレイすることを遠ざけていました。野球が好きでやりたいという気持ちを、自ら押さえつけていたのです。


  そんなこんなで、いよいよ甲子園に向けた地区予選が始まることに。しかし神のいたずらなのか、なんと初戦が因縁の星上!!!絶対勝てるわけないと落ち込む三高野球部員。やってみなけりゃわからんだろうとサカモトが檄を飛ばしますが、それでもすでに漂う敗北ムード……

  そのとき、キャプテンのイサムがこんな提案をします。


  「ワシらが星上に勝つのは奇跡でも起きん限り無理かもしれん……それでも……せめて、一点。一点、相手から取ってみんか?いくら弱小へなちょこ野球部って言われても、それぐらいなら、できるかもしれんやろ!?このまま終るんは、悔しいんや!!」


  イサムの言葉に、うつむいていた部員たちも希望を見出だします。せめてストレート負けを避けるのなら、たった一点でも、あの星上から奪えたら……どんなに痛快か!

  トシミツは母に初めて反抗し「次の期末で学年一位を取ったら部活をやらせてくれ!!」と懇願。サイゴウは正式に入部し、早くもその驚異のスピードと命中率の投げっぷりを発揮。さらに、ずっと野球を遠ざけていたキタカゼは、ミナミの提案により「ピンチヒッター」として加わることに!!

奇跡の一点獲得に向け、それぞれ動き出します!!


 
  
 

 


 

 

佐藤太一郎企画その19「風のピンチヒッター’17」レポ①

  太一郎さんが新喜劇入団前に所属していた劇団「ランニングシアターダッシュ」の看板作品「風のピンチヒッター」。
  かつて太一郎さんは新宿の小劇場でこの作品を観たことがきっかけでその劇団に入団することを決意したほど、思い入れの強い作品なんだとか。
  そんな思い出の名作をこの度NGKで2DAYSで上演することに!!

  で、私といえば、お芝居を観ることはこの佐藤太一郎企画のおかげですっかり大好きになったけど、スポーツに関しては、運動音痴なうえ中学では美術部で高校では文芸部という超文化系で育ち、そのなかでも野球や甲子園に関しては、その高校が元女子高の流れを受け継いでいて共学になってもなお野球部そのものが存在しないというところだったものだから、はっきり申し上げて野球とは接点も興味もゼロでここまでやってきました。大人になった今もたまにラジオでやってるナイターを仕事作業中聞き流すぐらいです。
  それでも太一郎さんがやってくださるなら……と、期待と不安を持ち合わせて7月5日の公演へ行って参りました。

  二階席までぎっしり埋まったNGKで、いよいよその幕が上がると、舞台には野球のグラウンドを表現するため後方にフェンスが設置されており、中央には太一郎さんが立ち、第一声を放ちます。


   「私は今、夢の場所に立っている」


  この台詞を、満員のNGKの客席という景色を目の前に放った太一郎さん。太一郎さんの夢の場所の一部に、私もなれたんだと、もうこのときで既に嬉しさで胸がいっぱいになれました。

  そして舞台の上での「夢の場所」とは、太一郎さん演じる「ミナミ」が幼い頃から憧れていた、そして彼のように野球を愛する者なら一度はそこを訪れたいと願うであろう、あの聖地。

  そんなミナミの頭のなかに浮かぶのは、高校時代のあの夏の日々。そしてあのとき確かに吹いていた風……



   物語はミナミが兵庫県から、大阪のどこかにある「府立第三高校」__通称「三高」に転校してきたところから始まります。
  遅刻したため慌てて走るミナミは、向かいからやって来た、同じくこの日転校してきたキタカゼ(石田直也さん)とぶつかってしまい、このときお互い被っていた野球帽が脱げ、謝罪をしたあと立ち去るときお互いの野球帽を取り違えて気づかずにそのまま被ってしまいます。これが騒動のはじまりとなってしまうのです。

  野球が大好きなミナミは、入部をさせてもらおうと早速野球部を訪ねます。しかしこの三高野球部はただでさえ弱小なうえ最近では皆やる気がなく練習をサボり気味、監督からも見放され、今では真面目に練習に参加しているのはキャプテンのイサム(森崎正弘さん)と1年生のコゴロウ(山咲和也さん)のみという有り様。そんなふたりぼっちで練習しているところへミナミがキタカゼの帽子を被ったままやって来たからさあ大変。その帽子に燦然と輝く「一(漢数字で1)」  の文字を見つけ、「やった!!伝説のピッチャーが来てくれた!救世主が来た!!」と大喜びするイサムとコゴロウ。

  実はキタカゼがかつていた一高は学力も運動も超一流の名門公立高で、当然野球も強く、さらにキタカゼはそこのエースピッチャーだったのです。そのエースが転校してきた噂が流れており、イサムとコゴロウは入部を心待ちにしていたのですが、帽子のせいでミナミをキタカゼと勘違いしている模様。すぐにその勘違いに気づいたものの、二人が盛り上がっているうえに野球部には入りたいのでなかなか言い出せないミナミ。ミナミ自身は野球は大好きでも、ボールを打つことも投げることもさらには走ることも苦手な超運動音痴。バレるのは時間の問題です。

  (どうしよう……本当のことを言ったら入部させてもらえないだろうし……だからって僕が投げたらすぐその実力がバレてしまう……あーー!!神様!!助けてーー!!)


  「よんだかーーい!?」


  ミナミの心の叫びに応えてやってきたのは、草冠に白い衣を纏った、ゆたかさん演じるドリルの神様 !!この日の日替りゲストです。ここからしばらくミナミの心と脳内で、彼とドリル神の会話が繰り広げられます(その間、他の出演者は皆動きが止まっているという演出)。

  このピンチをなんとかしてほしい!と懇願するミナミに対しドリルの神様は、「とりあえず君は口が臭いからそこをなんとかしよう」と的はずれなうえ失礼すぎるアドバイスしかくれないうえに、そのことを指摘すると逆ギレする始末。「神様をバカにした罰だ!!」と神様が肩掛けバッグから取り出したのは、お馴染みマキザッパ!!ミナミの脇や乳首を攻撃していきますが彼が反応する度に「それ俺のーー!!俺がそっちーー!!」と妙な執着心を見せるのでした。普段あんなに「すな!」とか「脇やめろ!」と言ってるのに……(笑)


  結局ドリルの神様は賑やかすだけ賑やかし、ミナミのピンチは救ってもらえず。ボールを投げると相手にすら届かないポンコツコントロール具合に「体調が悪いのか」「手加減しないでくださいよ」など心配されてしまうほど。結局すぐに「この大きな目玉の転校生は最近転校してきた一高エースとは別人」ということが判明してしまうのでした。とはいえ部員不足もありひとまず入部はできたのでした。

しかしこの間違ったまま流れた噂が功を奏したのか、それまでサボりがちだった部員たちが「一高エースが来てくれたなら甲子園出場も夢ではないかも!!」と戻ってきたり、さらにはそれまで不在だった野球部顧問兼監督として元剣道部顧問のサカモト(鮫島幸恵ちゃん)が就任することに。
  男勝りなうえ興奮するとその名と同じ武士のように土佐弁を話す、愛らしい見た目と豪快な性格のギャップが強烈なサカモト。剣道は達人級でも野球に至っては「投げて打ったら走る」という超基本ルールくらいしか知らない彼女の就任に戸惑う野球部一同。

  そんなとき三高野球部にとって甲子園どころかトーナメント戦出場すら危うくなる危機が!
  
   野球部マネージャーのリョウコ(辻凪子さん)が突然他校の生徒に襲われ、そのときナイフを使って庇ってくれた三高生徒がいたのですが、この瞬間をカメラに撮られてしまったのです。この事件、実は「一高エースが転校先の三高野球部へ入部した」というガセを信じた、一高と並ぶ野球の名門でこの近辺ではお金持ち学校としても有名な私立星上高校の野球部監督オキタ(青木威さん)とそのマネージャーで星上の理事長の娘でもあるトクガワ(田川徳子さん)の仕業。
 
  そしてその写真を高野連に流されたくなければと出された条件は「三高野球部に新しく入部した転校生を退部させること」__恐らくキタカゼを追い出すための作戦なのでしょうが、実際に入部した転校生はへなちょこミナミ。「入部した転校生には代わりないし、トーナメント出れなくなるのはまずいからとりあえず退部してくれない?」なんて言われてしまい、またまた大ピンチ!!

  オキタの名を聞き激怒するサカモトと、すぐさまトクガワとコンタクトを取りに行くキタカゼ。実はオキタはキタカゼの実兄でもあり、サカモトにとってはかつては「野球も剣道もスポーツは勝ち負けではなく同じ目標を持つ仲間との繋がりを通して成長できるもの」と説いてくれた同じ一高出身の先輩だったのですが、月日が経ち赴任した星上野球部の名を守ることに固辞していくうちに「勝利にしか価値はなくそれが達成出来ない者は排除。そして手段は選ぶな」という冷酷かつときには暴力まで振るうような暴君顧問となってしまいました。
  この軍隊のような異常な厳しさに物申すためサカモトはオキタと直接対決することを決意。「勝負するためにはまず相手と同じ土俵に立たねば」とサカモトはルールもろくにわからない野球部の顧問となったのでした。

  そんなサカモトは件の騒動でナイフを振りかざしたという三高でいちばん喧嘩が強く悪い噂も絶えないヤンキーのサイゴウ(内木場圭佑さん)の元へ。 ナイフをダーツのように素早く確実に投げるその技術を、野球のピッチャーとして活かさないか?との提案をします。馬鹿馬鹿しいと鼻で笑ってその場を去ろうとしますが、「父上の仇を、野球で取ってみないか?」と言われ、目の色が変わるサイゴウ。

  一方、キタカゼはトクガワに会い、三高野球部へ入部した転校生は自分ではないこと、そして「自分はもうどの学校へ行ったとしても野球はやらないんだ」ということを伝え、問題の写真を返してもらいます。身体的な問題は特になさそうなキタカゼが野球をやらない理由を、どうやらトクガワはよく知っているようで……


  さらにさらに野球部一の頭脳派で成績も学年上位の優等生でもあるトシミツ(井路端健一さん)は、PTA会長を務める超教育熱心な母親(吉岡友見ちゃん)から「成績が落ちるから野球はさせません!!」と部活参加を厳しく禁じられてしまい……

  弱小なうえ、次々問題が発生する三高野球部、そしてミナミは、無事甲子園へ向けたトーナメントへ参加できるのでしょうか!?続きます!!相変わらず遅くてごめん!!


 


 



 

「茂造の絆」レポ 感想など

   ここからは感想・考察なんかを書いていきます。


   閉幕し、ロビーで合流した友人と泣きながら感想を話しましたが、もう「すごい、すごいね…」としか言えなかった。今はやっと落ち着けたので色んな言葉が出てくるのですが、このときの興奮と感動だと単純に「すごい」しか出てこなかった。
  
「感動した」「色々考えさせられた」………そんな言葉でも空々しくなってしまうほど、清らかで洗練された空間。それは茂しゃんが先頭に立ち、座員さんや役者さん、スタッフさんを鼓舞し、彼らがそれに全力で応えたことによる賜物。それを見ることが出来た自分はとても幸せだと思えました。

 

  茂しゃんはある雑誌のインタビューで、今回のこのお話の舞台を酒蔵にしたのは「お酒はその日の気温や気候に左右される。みんなの気持ちがひとつにならないと美味しいお酒は作れない」「色んなものを背負った人たちが集まって、ここに来てよかったって思える場所だと思う。その家族みたいな絆の生まれる雰囲気が好きだから」と話していました。
  そしてそれは、茂しゃんが仲間たちと共に作り上げて毎日のように立っている「舞台」も同じことが言えると思いました。

  
 

  今回は閉幕後にサプライズがあり、お客さんが通る道に開幕前にはなかったあるフォトスポットができています。そこに写っているのは、青空の澄み渡る沖縄で、アロハシャツを着て笑顔を向けている辻本酒造のメンバー達。もちろんナオトもいっしょです。

  これに関しては「茂造の叶わなかった夢」なのか「時間がかかっても茂造夫婦とニノミヤが出所し、ナオトもまた会えるようになって叶えられた夢」なのか、色んな捉え方が出来るな、と思いました。かなり悲しいお別れのまま本編は終わってしまったので、そこで救いを見いだすのもアリだと思います。
 
茂造がおじいちゃんになった今でもナオトとは会えているのかな?弁護士になったアンナが茂造夫婦やニノミヤの弁護をしてくれたのかな?ヨウスケとサチコもナオトのような子供が出来たかな?と想像するのも楽しいな、と思いました。


   この記事を書いているときに、ふと関ジャニ∞の「イエロー・パンジー・ストリート」という歌を思い出し、改めて歌詞を見たら(こちらです→http://sp.uta-net.com/search/kashi.php?TID=111869 )、ぜひこうなってほしいと思えました。観劇直後は切なく寂しい気分でホテルでもなかなか寝付けず、お別れ系の歌ばかり聞いていましたが、千秋楽になった今ならこの歌がいちばんぴったりだと思いました。


   「いつかこの場所でもう一度逢えたら きっとそれもHappiness!」

  「不安や悲しみの前で うつむいてるなら いつでも駆けつけよう」

   「君と僕を繋いだ線がどんな色だって きっと大切な運命に違いない」