nakumelo’s blog

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他の名で呼ばれようと、薔薇の花の芳しい香りは変わらない

内場勝則辻本茂雄吉本新喜劇座長を勇退。60周年に向けて新体制へ】


 

  ついにこの日が来てしまいましたね。ファンになった日から、覚悟はしていたのですが。


「この人がトップに君臨する姿は、そう長くは見られない。関東で生まれ育った私は知るのが遅すぎた。だからこそ今のうちに目に焼き付けておかなくては」と。


  今年は新喜劇60周年に加え、平成最後でもあり、さらに茂しゃん個人は新喜劇入団30周年・座長就任20周年という恐ろしく区切りのよいタイミングでもあり、なんとなーく何かが起きそうな予感がしてました。


  とにかくまずは「ありがとう」と「おつかれさま」を言いたいです。
 
長い間、良くも悪くも矢面に立ち続 け、しかもこのお二人は新喜劇存続の危機であった「やめよッカナ?キャンペーン」でその先頭に立つよう命ぜられて、本当に本当に大変だったと思います。
現に私は茂しゃんに関して、称賛と同じくらい批判も多く見聞きしました。ステージの良し悪しはどうやっても最後は「座長」にかかっている。そんな役目を20年も……制限されることもやらなくてはならないことも膨大だったはず。よくぞここまで続けてこられた。
 
  茂しゃんが私を新喜劇へ導いてくださったおかげで、笑顔や夢や出会いなど、たくさんたくさん大切なものをいただきました。それまで小さな島にも似ていた私の世界は、この5年でどんどん陸続きになっていきました。やりたいことやれることがどんどん増えていきました。人生が少しずつ新しい色に染まってより輝いていきました。すごいエネルギーを与えてくださったんだと改めて思いました。




  覚悟はしていても、こういうとき身体は正直です。

  実はタイミング的に月一のモノが来てまして、それにともなう独特の腹痛が徐々に来ていました。それはもう毎月のことなので、腹部を暖めたり痛み止めの薬を飲んだりして対策していました。
  いつもならこれだけで大抵やり過ごせるのに、座長勇退のニュースを聞いたとたん激痛が走り、ホッカイロもバファリンも見事に役に立たなくなりました。
 
  幸いこの日仕事が休みだったので、もう一度念のため薬を飲んで横になっていました。
そうするとふいにポロッと涙が溢れて、スーッと頬をつたっていき、それを服の袖で擦ってはまた一粒溢れて……が続きました。人ってほんとに悲しいときは声をあげて泣くのではなく、一粒一粒涙がしとしと流れるのだと実感。

 
  後悔しないようにこの約5年間、できる限り劇場に通い続けたつもりではありますが、こうはっきり「終わりです」と言われると「もっと見ておけば……もっと気持ちを伝えておけば……」という想いはゼロではありません。
  この両座長は2月いっぱいで座長としての任務は完了し、新喜劇が60年前に誕生した3月1日には特別イベントでおそらくご挨拶をしてから、ベテラン座員としての活動へ移ります。
  実際茂しゃんはすでにバタヤンさんや藍ちゃんのチーム公演で出演することは決定しており、「客演なんて珍しいな」なんて話題になっていました。今思えばフラグの一つでしたね。


  残念ながら予定も立て込んでおり、かなりの無理をしないと最終座長公演も新体制発足イベントも駆けつけることは不可能であり、昨年東京グランド花月で観たチーム辻本公演が、私が最後に見た座長としての茂しゃんの姿となります。
今思えばあのとき今まで以上の神がかった爆笑や拍手、観客との一体感は、もうすでにこの時期に会社から今回の話が出ていたのかもしれないななんて今なら思ってしまいます。
(そのときの簡単なレポがこちら→http://nakumelo.hatenablog.com/entry/2019/01/10/193116


なので次にもし例年通りGWに祇園で特別公演があれば(こういった特別公演や地方公演などでは座長を務めることもあると明言されています)、そのときはもうすでにベテラン座員としての茂しゃんとなっているのですね。

  でも、それでいいとも思っている自分がいます。ベテラン枠の座員さんは座長やリーダーと同じように公演日程発表の最初のうちから名前が挙がります。それを見つけて茂しゃんを目当てに行くのもいいんじゃないかと。その茂しゃんを通してこれまであまり見れなかった座員さんや座長さんやリーダーさんのチーム公演を見れたら、そこでそれまで知らなかった魅力に気づけたら、もっと楽しく新喜劇を観れるようになるかなとも思うのです。
  実際、アキさん・太一郎さん・森にぃは茂しゃんを介して知り、それぞれの主催公演へ行くほどファンになれたので、そういう座員さんがもっと増えたら楽しいだろうなと思います。

 
何度か茂しゃんが他座長やリーダーの公演で脇を固めていたのを見たことはありますが、確かな存在感は衰えることなく間違いなく観客を惹き付けていました。なんなら茂造とのギャップでちょっとドキドキしたぐらいです(笑)


  ただ、いわゆる通常の公演での「茂造」としてはかなりレアキャラになるんじゃないかなぁと思っています。茂造はどうしても主役向きのキャラなので、脇を固めるというより完全にメインを食ってしまいかねないので、しばしお別れかもしれません。でもあのおじいちゃんはとってもたくましいので、きっとまたどこかで会えると信じています。

 

  発表のあった4日の夜は寝付けず、ふと手に取った漫画があり、そちらはミュージカル界のお話ということもあり、「ロミオとジュリエット」のこんな台詞が引用されていました。



【名前がなんだというの?
あの美しい薔薇の花が他の名前で呼ばれようと、芳しい香りは変わらない。
あなたの名がモンタギュー家のロミオでなくても、あなたの素晴らしさはなにも変わらない】



あの有名な「どうしてあなたはロミオなの?」に続くのがこの台詞なんだそうです。


ここでいう「名前」とはその人の呼び名そのものだけでなく、その人の持つ肩書きや家柄、職業なども含まれています。
  その人の持つ立場や役職が変わっても失くなっても、その人自身が持つ魅力や実力、性質は変わらないという例えを示した名言です。


「座長」という名前が失くなっても、あの方の持つ薔薇の花のような華やかさも気高さも凛々しさも変わらない。きっとまたたくさんの人々を惹き付けて、笑顔を与えてくれるはず。

  そんな願いを込めて、今回の記事のタイトルにも、このセリフから引用させていただきました。