nakumelo’s blog

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佐藤太一郎企画その16「未来の今日」レポ&感想

  佐藤太一郎さん。新喜劇の座員さんとして活動しておられますが、元々は高校時代から演劇を続けておられて、新喜劇入団前には劇団員として活動もされていたことのある生粋の演劇人。 演劇にかける情熱も並々ならぬものがあります。
  そんな太一郎さんが主催となって行われる、新喜劇とはまた違ったスタンスのお芝居が観れる「佐藤太一郎企画」の第十六回公演「未来の今日」を観劇してきました。ちなみに「未来」と書いて「あした」と読みます。かっこいい!
この作品には新喜劇座員のレイちゃんや「茂造の美しき謎」に出演されていた春山翔さん、しずるの村上さん(この方は今回のお話の脚本も担当!)、プリマ旦那の野村さん、さらにはインパルス堤下さんも出演されています。

  
今回の会場は恵比寿にある「エコー劇場」という、ビルの2階にある小劇場なのですが、小劇場ゆえにうれしいことも。
 
入ってすぐのロビーではオリジナルグッズの販売がされていたのですが、ちょうど私がタオルを買っているとき、奥からスッと長身の男性が出てきたと思ったら、なんとなんと太一郎さんご本人だったのです(n゚Ο゚n)ワァァァ  
販売されているオリジナルTシャツを着用されていて「これオリジナルなんでよろしくお願いしまーす!ちなみにこの物販の売上が今日の打ち上げの資金になりまーす!」と話しておられました(笑)
  めっさドキドキしながら握手をお願いしたら快くギュッと力強く握っていただいて、さらにあとからやっぱし我慢できなくなって写真もお願いしてしまいました。どちらもほんとうに快く笑顔で対応していただきました。太一郎さんは小顔で細身でスタイル抜群で自分のチンチクリン加減(身長150cmのチビで顔パンパン)が際立ちました……(  ;∀;)ウッウッ
太一郎さん、開演ギリギリまでひとりひとりのお客さんに気さくに声をかけてらして、NGK祇園花月以上にとにかく距離が近いのがすごいなーって思いました。
  ちなみにロビーにはお祝いのお花が飾ってあったのですが、ドラマで共演されたご縁から、堤下さん宛へジャニーズWEST藤井流星くんからのフラワーアレンジメントも届いていました!

  チケットを取ったのが公演4日前のため最後列の席でしたが、それでもオペラグラス無しで充分観れるほど距離が近かかったです。なお既にセットは用意されており、ちゃぶ台に座布団ふたつ、冷蔵庫にレンジというどこにでもあるような、生活感溢れるアパートの一室でした。
  本編が始まる前、太一郎さんとレイちゃんが出てきて、前説で会場を盛り上げてくれました。満員御礼の会場の中にはこれまでの「佐藤太一郎企画」十六回すべて観劇済みという常連さんも何人かいらして、そんな方々へレイちゃんからプレゼント!「なんと、太一郎さんのマイナンバーを教えちゃいまーす!」
「アカンで!!俺の個人情報ーー!!」
みたいなやり取りもありました(笑)レイちゃん東京でもノリノリで、「そこのお姉さま、♪ダイナマイトなBODYでもひんがーない」なんてお客さんとも絡んでました。愉快な子だな(´ヽ`*)

  本編が始まると、ステージに表れたのはポスターと同じように頭を抱えただでさえ大きな目を大きく見開いている太一郎さん。その傍らにはグラサンにスーツといういかにも怪しい風貌の春山さんが。どうやら二人ともある使命を持っているらしいのですが………

  暗転し、次に舞台に現れたのは役者志望のアイカワ(村上さん)とそのルームメイトのフルサワ(レイちゃん)。舞台に設置された一室はこの二人が住んでいる部屋なのです。フルサワにはメミちゃんという片想いの相手がいて猛アタックをかけているのですが、なかなか上手くいかないようです。

  と、そこに突然「よかった!!間に合った!!」とやって来たのが太一郎さん。なんとこの太一郎さん、  「未来から来たアイカワ」だというのです!!  顔立ちやスタイルや声色が違うのは「瀕死の危機に直面した状態でタイムスリップをすると出る突然変異」みたいなものらしいです。

  タイムスリップ、というとかなり遠い遠い未来からやって来たというイメージがありますが、この「未来」のアイカワがやってきたのは、いちばん近い未来__「明日」から来たのだというのです。 現代にタイムマシンはないのにそんなのおかしいよ!と「今日」のアイカワとフルサワはなかなか信じてくれません。
  と、そこへやって来たのが先程「明日」のアイカワといっしょにいたスーツとグラサンの男。フジマキと名乗るこの男は遥か未来よりアイカワの子孫である「ニシザキ・ギンザ」という人物から、先祖で唯一の男性であるアイカワの未来、ひいては自分たち子孫の未来を守るよう依頼された「タイムスリップの専門家」なのです。
  フジマキやニシザキがいる時代では、タイムマシーンが開発され、タイムスリップはフジマキのように国家資格を持つインストラクターと供に、「歴史を大きく変えないよう、一生に一度」という決まりのもと、民間人も行えるようになっているのです(なおフジマキのようなインストラクターは仕事のため特例で回数無制限で行ける)。ちなみにその遠い未来ではiPhoneは指輪のような形で、ニシザキ「ギンザ」のように地下鉄の名前を付けるのが主流になっているようです。フジマキも下の名前は「ミドウスジ」でした。私がNGKに行くとき大変お世話になっているあの地下鉄です。 
 

さて、そこまでして「明日」のアイカワと子孫のニシザキが変えたい「今日」のアイカワの明日___それは、「今日このあとメミちゃんと会う」という予定を回避すること!!!なんとフルサワを差し置いて、このあとアイカワはメミちゃんと会い、彼女の相談に乗り、そのまま雰囲気で一夜を共にしてしまうのです。そしてそのせいで翌日ストーカーと化したメミちゃんの元カレから刺され、命を奪われてしまうとのこと。
 
  ニシザキ・ギンザはアイカワの妹筋の子孫なのですが、これが原因なのかアイカワ家の男の遺伝子が極端に少なくなっているとのこと。そのため未来を変えにやって来たのですが、どうもギンザはそそっかしい性格なのか、刺される前ではなく刺された当日__つまり「明日」へタイムスリップしてしまったのです。法律によりタイムスリップが出来る権限を失ったギンザは、「明日」のアイカワをフジマキに託し、メミちゃんと会う当日へとタイムスリップさせたのでした。

 
   ……だいぶややこしくなってきたんですが、「ドラえもん」で先祖であるのび太の運命を変えるために、子孫のセワシくんがドラえもんを送り込んだ、的なあの展開に似てますかね。


  それを傍で聞いていたフルサワは横恋慕されることに激怒しますが、顔は馴染みのある「今日」のアイカワが、行動としては既にメミちゃんと関係が出来ている「明日」のアイカワが憎いので、どちらに怒りを向けていいのかわからず、アイカワ同士はフルサワに殴られたくないのでお互いに責任を擦り付ける始末。
そんな様子を黙って見ていたフジマキですが、指輪型iPhoneからある連絡を受けると奇声を発して地団駄を踏んでテンパりだします。フジマキの部下で供にギンザをタイムスリップさせたタザキが、なんとすでに一度タイムスリップをしているギンザを再びこの「今日」の世界へ連れてきてしまったとのこと。重大な法律違反の手助けを直属の部下が起こしてしまったショックでフジマキは気絶し、寝室へ運ばれていきました。やがてやたらハイテンションで生真面目、かつ靴を左右違うものを履いてきてしまうようなアイカワの子孫ギンザ(野村さん)本人もやってきて、ますます大騒ぎになります。  私が知ってる限り、左右違う靴を履いてきたなんて関ジャニ∞の横山さんぐらいですがね……
 
  ところでこの作品、やたら「一夜を供に」という台詞が出てくるんです。ざっと会場を見回したところ、私も含めて9割方が成人済みもしくは理科・社会・保健体育の履修は済ませている世代のようですので、これがなんの意味をもたらすのかはもちろんわかってたと思います。
  「明日」のアイカワ役の太一郎さんが、なぜメミちゃんとその「一夜を供に」に至ったかをギンザへ話すシーンがあるのですが、「メミちゃんから元カレがしつこいって相談受けてさ、カラオケで二人っきりになって……夜も更けて……終電もなくなって……そうなると、ほら、お互いもう大人の、男と女でさ……」と話す太一郎さんの仕草とか声とか……なんとなく生々しくてドキドキしちゃいました (*゚ε゚;)


  そんなことをしているうちに、事態が急変。元凶であるメミちゃん、なんと元カレからしつこくメールが来ていて困っているので、早く来てほしいとLINEが来ます。メミちゃんもほっとけないしでも刺されて死にたくないし……と悩んでいると、ルール違反を犯したタザキ(堤下さん)がやって来ます。タザキは本来「綾野剛みたいなイケメン」と説明があったのですが、そこにいるのは……ふくよかすぎる体型の男性。実はタザキもまた、「明日」のアイカワのように「タイムスリップをしたことによる突然変異」が起きてしまったのです。その体型を自ら「このだらしない腹!!薄い髪!!」と貶す堤下さん、顔が真っ赤になるほど叫んでいました(笑)

  タザキはなかなか冷静沈着で「二人っきりで会って一夜を供にするから刺されるのであって、フルサワさんも同行して3人で会ってそのまま解散すればいいのでは?」と、よく考えたら確かにその通り、なんで誰も思い付かなかったのかなというような解決策を提案。時を越えてさんざん大騒ぎしたメミちゃん問題はタザキの登場であっさりと解決へ向かいます。
  こうして「明日」のアイカワ、フジマキ、そしてやたら「今日」のアイカワを見つめていたり握手をじっくり交わすタザキは部屋を跡にし、部屋に残った「今日」のアイカワとフルサワがしみじみこれまでのことを思い返し、だんだん舞台が暗くなり………




 

とここで二人は重大なことに気づきます。


 
  「明日」のアイカワへ起きた突然変異の現象が起きる条件、それは「瀕死の危機に直面したタイムスリップ」。ということは、この「今日」の世界へ来たことにより、同じように突然変異が起きたタザキには命や存在が危うくなる何かがあるということ。そしてやはりその事実に気づいた「明日」のアイカワとフジマキも嫌がるタザキを連れて戻ってきました。
 

  タザキの重い口から語られた真実、それは、タザキもまた、アイカワの子孫であるということ。このあとアイカワとメミちゃんの間に起こる「一夜を供に」の結果として出来た子供。その子供から受け継がれた血縁の子孫なのですが、大元の先祖である「今日」のアイカワが「一夜を供に」を実行しなければ、その子供も生まれない。それはタザキの存在そのものが無くなることを意味していました。タザキはギンザが依頼をしてきたときからその事実に気づいていました。
  タザキはご先祖様が生き延びるならそれでいいと笑っていましたが、そんなことは出来ないと「今日」のアイカワは言います。かといってこのままでは刺されて死んでしまう……「未来」という「運命」の別れ道を前に、悩み苦しむ「今日」のアイカワ。

  と、ここで、「明日」のアイカワは、当初の予定通り、メミちゃんと会って一夜を供にしろ、と言い放ちます。そして、「今日」のアイカワ__一日前までの自分自身に語りかけます。

  「俺は失敗が怖くて、いつも一歩を踏み出せなかった。役者になりたいっていうけれど、オーディションを受けたことがない。それは落ちたときが怖いからだった。
でもだからこそ!今ここで一歩を!踏み出してくれ!!そして自分自身で“未来”を、“明日”を、作ってくれ!!こいつら子孫に胸を張って出来ることはそれだけなんだ!!」


そして舞台が暗転。
未来の自分自身からの力強い言葉に、アイカワが選んだ未来とは___






 


「やっぱ刺されたなー(笑)」とお腹に血の付いた包帯をお腹に巻いているアイカワ。結局、アイカワはメミちゃんと会って「一夜を供に」し、そしてストーカーである元カレに刺されたのでした。しかし、お腹に力を入れていたのと、フルサワがスタンバイしていたこともあり、すぐに病院へ運ばれ、死は免れました。
  ちなみになぜかフルサワも腕を怪我して三角巾を巻いていたのですが、これは「アイカワを病院へ送ったあとお腹が空いて王将へ行ったらそこの入り口ですっころんだから」とのこと。なにしてんだい。

  これで子孫であるギンザもタザキも無事だね~と一安心していると、宅配便が届きます。その宅配業者のお兄さんもまた太一郎さんが演じているため、「わーー出た!この人類一うるさい顔!!」と二人に言われていました(笑)
そんな明るい「明日」を思わせてくれるようなほのぼのしたシーンで、本編は終了。

  「未来は今日の積み重ね」なんて言葉がありますが、まさにそのとおりで、今日の困難や壁を乗り越えるため一歩踏み出すことが明日に繋がる。そしてその明日が未来を作っていく。未来は決して変えることの出来ない運命ではく、自分自身でどんどん変えていくことができるから、最後の最後までどうなるかなんかわからない。だからこそ楽しいんだよ、というような明るくあたたかいメッセージを貰えたように思えました。
  個人的には太一郎さんが本気で演劇に向き合ってがんばっているんだなということと、お話がSFで、自分もいつかこういう作品を書いてみたいと思っていたけれど苦手意識があったので、それの参考になれたということですごくいい刺激になりました。

  帰りも太一郎さん、ひとりひとりに挨拶してらっしゃいました。また、レイちゃんも知り合いの方に会うためか、ちょうど外にいたので、握手していただきました。「おぉーありがとうございます!」と舞台やテレビで見ているイメージ通りの明るい天真爛漫なオーラが溢れていました。

  まだまだ新喜劇不毛の土地である関東でもっと新喜劇という笑顔の花を咲かせるには、こういった関東での公演になるべく参加して評判をあげていくことも大切なんだろうなと思っています。なにより、私が座員の皆さんに会いたいから!