nakumelo’s blog

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佐藤太一郎企画その19「風のピンチヒッター’17」レポ①

  太一郎さんが新喜劇入団前に所属していた劇団「ランニングシアターダッシュ」の看板作品「風のピンチヒッター」。
  かつて太一郎さんは新宿の小劇場でこの作品を観たことがきっかけでその劇団に入団することを決意したほど、思い入れの強い作品なんだとか。
  そんな思い出の名作をこの度NGKで2DAYSで上演することに!!

  で、私といえば、お芝居を観ることはこの佐藤太一郎企画のおかげですっかり大好きになったけど、スポーツに関しては、運動音痴なうえ中学では美術部で高校では文芸部という超文化系で育ち、そのなかでも野球や甲子園に関しては、その高校が元女子高の流れを受け継いでいて共学になってもなお野球部そのものが存在しないというところだったものだから、はっきり申し上げて野球とは接点も興味もゼロでここまでやってきました。大人になった今もたまにラジオでやってるナイターを仕事作業中聞き流すぐらいです。
  それでも太一郎さんがやってくださるなら……と、期待と不安を持ち合わせて7月5日の公演へ行って参りました。

  二階席までぎっしり埋まったNGKで、いよいよその幕が上がると、舞台には野球のグラウンドを表現するため後方にフェンスが設置されており、中央には太一郎さんが立ち、第一声を放ちます。


   「私は今、夢の場所に立っている」


  この台詞を、満員のNGKの客席という景色を目の前に放った太一郎さん。太一郎さんの夢の場所の一部に、私もなれたんだと、もうこのときで既に嬉しさで胸がいっぱいになれました。

  そして舞台の上での「夢の場所」とは、太一郎さん演じる「ミナミ」が幼い頃から憧れていた、そして彼のように野球を愛する者なら一度はそこを訪れたいと願うであろう、あの聖地。

  そんなミナミの頭のなかに浮かぶのは、高校時代のあの夏の日々。そしてあのとき確かに吹いていた風……



   物語はミナミが兵庫県から、大阪のどこかにある「府立第三高校」__通称「三高」に転校してきたところから始まります。
  遅刻したため慌てて走るミナミは、向かいからやって来た、同じくこの日転校してきたキタカゼ(石田直也さん)とぶつかってしまい、このときお互い被っていた野球帽が脱げ、謝罪をしたあと立ち去るときお互いの野球帽を取り違えて気づかずにそのまま被ってしまいます。これが騒動のはじまりとなってしまうのです。

  野球が大好きなミナミは、入部をさせてもらおうと早速野球部を訪ねます。しかしこの三高野球部はただでさえ弱小なうえ最近では皆やる気がなく練習をサボり気味、監督からも見放され、今では真面目に練習に参加しているのはキャプテンのイサム(森崎正弘さん)と1年生のコゴロウ(山咲和也さん)のみという有り様。そんなふたりぼっちで練習しているところへミナミがキタカゼの帽子を被ったままやって来たからさあ大変。その帽子に燦然と輝く「一(漢数字で1)」  の文字を見つけ、「やった!!伝説のピッチャーが来てくれた!救世主が来た!!」と大喜びするイサムとコゴロウ。

  実はキタカゼがかつていた一高は学力も運動も超一流の名門公立高で、当然野球も強く、さらにキタカゼはそこのエースピッチャーだったのです。そのエースが転校してきた噂が流れており、イサムとコゴロウは入部を心待ちにしていたのですが、帽子のせいでミナミをキタカゼと勘違いしている模様。すぐにその勘違いに気づいたものの、二人が盛り上がっているうえに野球部には入りたいのでなかなか言い出せないミナミ。ミナミ自身は野球は大好きでも、ボールを打つことも投げることもさらには走ることも苦手な超運動音痴。バレるのは時間の問題です。

  (どうしよう……本当のことを言ったら入部させてもらえないだろうし……だからって僕が投げたらすぐその実力がバレてしまう……あーー!!神様!!助けてーー!!)


  「よんだかーーい!?」


  ミナミの心の叫びに応えてやってきたのは、草冠に白い衣を纏った、ゆたかさん演じるドリルの神様 !!この日の日替りゲストです。ここからしばらくミナミの心と脳内で、彼とドリル神の会話が繰り広げられます(その間、他の出演者は皆動きが止まっているという演出)。

  このピンチをなんとかしてほしい!と懇願するミナミに対しドリルの神様は、「とりあえず君は口が臭いからそこをなんとかしよう」と的はずれなうえ失礼すぎるアドバイスしかくれないうえに、そのことを指摘すると逆ギレする始末。「神様をバカにした罰だ!!」と神様が肩掛けバッグから取り出したのは、お馴染みマキザッパ!!ミナミの脇や乳首を攻撃していきますが彼が反応する度に「それ俺のーー!!俺がそっちーー!!」と妙な執着心を見せるのでした。普段あんなに「すな!」とか「脇やめろ!」と言ってるのに……(笑)


  結局ドリルの神様は賑やかすだけ賑やかし、ミナミのピンチは救ってもらえず。ボールを投げると相手にすら届かないポンコツコントロール具合に「体調が悪いのか」「手加減しないでくださいよ」など心配されてしまうほど。結局すぐに「この大きな目玉の転校生は最近転校してきた一高エースとは別人」ということが判明してしまうのでした。とはいえ部員不足もありひとまず入部はできたのでした。

しかしこの間違ったまま流れた噂が功を奏したのか、それまでサボりがちだった部員たちが「一高エースが来てくれたなら甲子園出場も夢ではないかも!!」と戻ってきたり、さらにはそれまで不在だった野球部顧問兼監督として元剣道部顧問のサカモト(鮫島幸恵ちゃん)が就任することに。
  男勝りなうえ興奮するとその名と同じ武士のように土佐弁を話す、愛らしい見た目と豪快な性格のギャップが強烈なサカモト。剣道は達人級でも野球に至っては「投げて打ったら走る」という超基本ルールくらいしか知らない彼女の就任に戸惑う野球部一同。

  そんなとき三高野球部にとって甲子園どころかトーナメント戦出場すら危うくなる危機が!
  
   野球部マネージャーのリョウコ(辻凪子さん)が突然他校の生徒に襲われ、そのときナイフを使って庇ってくれた三高生徒がいたのですが、この瞬間をカメラに撮られてしまったのです。この事件、実は「一高エースが転校先の三高野球部へ入部した」というガセを信じた、一高と並ぶ野球の名門でこの近辺ではお金持ち学校としても有名な私立星上高校の野球部監督オキタ(青木威さん)とそのマネージャーで星上の理事長の娘でもあるトクガワ(田川徳子さん)の仕業。
 
  そしてその写真を高野連に流されたくなければと出された条件は「三高野球部に新しく入部した転校生を退部させること」__恐らくキタカゼを追い出すための作戦なのでしょうが、実際に入部した転校生はへなちょこミナミ。「入部した転校生には代わりないし、トーナメント出れなくなるのはまずいからとりあえず退部してくれない?」なんて言われてしまい、またまた大ピンチ!!

  オキタの名を聞き激怒するサカモトと、すぐさまトクガワとコンタクトを取りに行くキタカゼ。実はオキタはキタカゼの実兄でもあり、サカモトにとってはかつては「野球も剣道もスポーツは勝ち負けではなく同じ目標を持つ仲間との繋がりを通して成長できるもの」と説いてくれた同じ一高出身の先輩だったのですが、月日が経ち赴任した星上野球部の名を守ることに固辞していくうちに「勝利にしか価値はなくそれが達成出来ない者は排除。そして手段は選ぶな」という冷酷かつときには暴力まで振るうような暴君顧問となってしまいました。
  この軍隊のような異常な厳しさに物申すためサカモトはオキタと直接対決することを決意。「勝負するためにはまず相手と同じ土俵に立たねば」とサカモトはルールもろくにわからない野球部の顧問となったのでした。

  そんなサカモトは件の騒動でナイフを振りかざしたという三高でいちばん喧嘩が強く悪い噂も絶えないヤンキーのサイゴウ(内木場圭佑さん)の元へ。 ナイフをダーツのように素早く確実に投げるその技術を、野球のピッチャーとして活かさないか?との提案をします。馬鹿馬鹿しいと鼻で笑ってその場を去ろうとしますが、「父上の仇を、野球で取ってみないか?」と言われ、目の色が変わるサイゴウ。

  一方、キタカゼはトクガワに会い、三高野球部へ入部した転校生は自分ではないこと、そして「自分はもうどの学校へ行ったとしても野球はやらないんだ」ということを伝え、問題の写真を返してもらいます。身体的な問題は特になさそうなキタカゼが野球をやらない理由を、どうやらトクガワはよく知っているようで……


  さらにさらに野球部一の頭脳派で成績も学年上位の優等生でもあるトシミツ(井路端健一さん)は、PTA会長を務める超教育熱心な母親(吉岡友見ちゃん)から「成績が落ちるから野球はさせません!!」と部活参加を厳しく禁じられてしまい……

  弱小なうえ、次々問題が発生する三高野球部、そしてミナミは、無事甲子園へ向けたトーナメントへ参加できるのでしょうか!?続きます!!相変わらず遅くてごめん!!