nakumelo’s blog

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佐藤太一郎企画その19「風のピンチヒッター’17」レポ①

  太一郎さんが新喜劇入団前に所属していた劇団「ランニングシアターダッシュ」の看板作品「風のピンチヒッター」。
  かつて太一郎さんは新宿の小劇場でこの作品を観たことがきっかけでその劇団に入団することを決意したほど、思い入れの強い作品なんだとか。
  そんな思い出の名作をこの度NGKで2DAYSで上演することに!!

  で、私といえば、お芝居を観ることはこの佐藤太一郎企画のおかげですっかり大好きになったけど、スポーツに関しては、運動音痴なうえ中学では美術部で高校では文芸部という超文化系で育ち、そのなかでも野球や甲子園に関しては、その高校が元女子高の流れを受け継いでいて共学になってもなお野球部そのものが存在しないというところだったものだから、はっきり申し上げて野球とは接点も興味もゼロでここまでやってきました。大人になった今もたまにラジオでやってるナイターを仕事作業中聞き流すぐらいです。
  それでも太一郎さんがやってくださるなら……と、期待と不安を持ち合わせて7月5日の公演へ行って参りました。

  二階席までぎっしり埋まったNGKで、いよいよその幕が上がると、舞台には野球のグラウンドを表現するため後方にフェンスが設置されており、中央には太一郎さんが立ち、第一声を放ちます。


   「私は今、夢の場所に立っている」


  この台詞を、満員のNGKの客席という景色を目の前に放った太一郎さん。太一郎さんの夢の場所の一部に、私もなれたんだと、もうこのときで既に嬉しさで胸がいっぱいになれました。

  そして舞台の上での「夢の場所」とは、太一郎さん演じる「ミナミ」が幼い頃から憧れていた、そして彼のように野球を愛する者なら一度はそこを訪れたいと願うであろう、あの聖地。

  そんなミナミの頭のなかに浮かぶのは、高校時代のあの夏の日々。そしてあのとき確かに吹いていた風……



   物語はミナミが兵庫県から、大阪のどこかにある「府立第三高校」__通称「三高」に転校してきたところから始まります。
  遅刻したため慌てて走るミナミは、向かいからやって来た、同じくこの日転校してきたキタカゼ(石田直也さん)とぶつかってしまい、このときお互い被っていた野球帽が脱げ、謝罪をしたあと立ち去るときお互いの野球帽を取り違えて気づかずにそのまま被ってしまいます。これが騒動のはじまりとなってしまうのです。

  野球が大好きなミナミは、入部をさせてもらおうと早速野球部を訪ねます。しかしこの三高野球部はただでさえ弱小なうえ最近では皆やる気がなく練習をサボり気味、監督からも見放され、今では真面目に練習に参加しているのはキャプテンのイサム(森崎正弘さん)と1年生のコゴロウ(山咲和也さん)のみという有り様。そんなふたりぼっちで練習しているところへミナミがキタカゼの帽子を被ったままやって来たからさあ大変。その帽子に燦然と輝く「一(漢数字で1)」  の文字を見つけ、「やった!!伝説のピッチャーが来てくれた!救世主が来た!!」と大喜びするイサムとコゴロウ。

  実はキタカゼがかつていた一高は学力も運動も超一流の名門公立高で、当然野球も強く、さらにキタカゼはそこのエースピッチャーだったのです。そのエースが転校してきた噂が流れており、イサムとコゴロウは入部を心待ちにしていたのですが、帽子のせいでミナミをキタカゼと勘違いしている模様。すぐにその勘違いに気づいたものの、二人が盛り上がっているうえに野球部には入りたいのでなかなか言い出せないミナミ。ミナミ自身は野球は大好きでも、ボールを打つことも投げることもさらには走ることも苦手な超運動音痴。バレるのは時間の問題です。

  (どうしよう……本当のことを言ったら入部させてもらえないだろうし……だからって僕が投げたらすぐその実力がバレてしまう……あーー!!神様!!助けてーー!!)


  「よんだかーーい!?」


  ミナミの心の叫びに応えてやってきたのは、草冠に白い衣を纏った、ゆたかさん演じるドリルの神様 !!この日の日替りゲストです。ここからしばらくミナミの心と脳内で、彼とドリル神の会話が繰り広げられます(その間、他の出演者は皆動きが止まっているという演出)。

  このピンチをなんとかしてほしい!と懇願するミナミに対しドリルの神様は、「とりあえず君は口が臭いからそこをなんとかしよう」と的はずれなうえ失礼すぎるアドバイスしかくれないうえに、そのことを指摘すると逆ギレする始末。「神様をバカにした罰だ!!」と神様が肩掛けバッグから取り出したのは、お馴染みマキザッパ!!ミナミの脇や乳首を攻撃していきますが彼が反応する度に「それ俺のーー!!俺がそっちーー!!」と妙な執着心を見せるのでした。普段あんなに「すな!」とか「脇やめろ!」と言ってるのに……(笑)


  結局ドリルの神様は賑やかすだけ賑やかし、ミナミのピンチは救ってもらえず。ボールを投げると相手にすら届かないポンコツコントロール具合に「体調が悪いのか」「手加減しないでくださいよ」など心配されてしまうほど。結局すぐに「この大きな目玉の転校生は最近転校してきた一高エースとは別人」ということが判明してしまうのでした。とはいえ部員不足もありひとまず入部はできたのでした。

しかしこの間違ったまま流れた噂が功を奏したのか、それまでサボりがちだった部員たちが「一高エースが来てくれたなら甲子園出場も夢ではないかも!!」と戻ってきたり、さらにはそれまで不在だった野球部顧問兼監督として元剣道部顧問のサカモト(鮫島幸恵ちゃん)が就任することに。
  男勝りなうえ興奮するとその名と同じ武士のように土佐弁を話す、愛らしい見た目と豪快な性格のギャップが強烈なサカモト。剣道は達人級でも野球に至っては「投げて打ったら走る」という超基本ルールくらいしか知らない彼女の就任に戸惑う野球部一同。

  そんなとき三高野球部にとって甲子園どころかトーナメント戦出場すら危うくなる危機が!
  
   野球部マネージャーのリョウコ(辻凪子さん)が突然他校の生徒に襲われ、そのときナイフを使って庇ってくれた三高生徒がいたのですが、この瞬間をカメラに撮られてしまったのです。この事件、実は「一高エースが転校先の三高野球部へ入部した」というガセを信じた、一高と並ぶ野球の名門でこの近辺ではお金持ち学校としても有名な私立星上高校の野球部監督オキタ(青木威さん)とそのマネージャーで星上の理事長の娘でもあるトクガワ(田川徳子さん)の仕業。
 
  そしてその写真を高野連に流されたくなければと出された条件は「三高野球部に新しく入部した転校生を退部させること」__恐らくキタカゼを追い出すための作戦なのでしょうが、実際に入部した転校生はへなちょこミナミ。「入部した転校生には代わりないし、トーナメント出れなくなるのはまずいからとりあえず退部してくれない?」なんて言われてしまい、またまた大ピンチ!!

  オキタの名を聞き激怒するサカモトと、すぐさまトクガワとコンタクトを取りに行くキタカゼ。実はオキタはキタカゼの実兄でもあり、サカモトにとってはかつては「野球も剣道もスポーツは勝ち負けではなく同じ目標を持つ仲間との繋がりを通して成長できるもの」と説いてくれた同じ一高出身の先輩だったのですが、月日が経ち赴任した星上野球部の名を守ることに固辞していくうちに「勝利にしか価値はなくそれが達成出来ない者は排除。そして手段は選ぶな」という冷酷かつときには暴力まで振るうような暴君顧問となってしまいました。
  この軍隊のような異常な厳しさに物申すためサカモトと直接対決することを決意。「勝負するためにはまず相手と同じ土俵に立たねば」とサカモトはルールもろくにわからない野球部の顧問となったのでした。

  そんなサカモトは件の騒動でナイフを振りかざしたという三高でいちばん喧嘩が強く悪い噂も絶えないヤンキーのサイゴウ(内木場圭佑さん)の元へ。 ナイフをダーツのように素早く確実に投げるその技術を、野球のピッチャーとして活かさないか?との提案をします。馬鹿馬鹿しいと鼻で笑ってその場を去ろうとしますが、「父上の仇を、野球で取ってみないか?」と言われ、目の色が変わるサイゴウ。

  一方、キタカゼはトクガワに会い、三高野球部へ入部した転校生は自分ではないこと、そして「自分はもうどの学校へ行ったとしても野球はやらないんだ」ということを伝え、問題の写真を返してもらいます。身体的な問題は特になさそうなキタカゼが野球をやらない理由を、どうやらトクガワはよく知っているようで……


  さらにさらに野球部一の頭脳派で成績も学年上位の優等生でもあるトシミツ(井路端健一さん)は、PTA会長を務める超教育熱心な母親(吉岡友見ちゃん)から「成績が落ちるから野球はさせません!!」と部活参加を厳しく禁じられてしまい……

  弱小なうえ、次々問題が発生する三高野球部、そしてミナミは、無事甲子園へ向けたトーナメントへ参加できるのでしょうか!?続きます!!相変わらず遅くてごめん!!


 


 



 

「茂造の絆」レポ 感想など

   ここからは感想・考察なんかを書いていきます。


   閉幕し、ロビーで合流した友人と泣きながら感想を話しましたが、もう「すごい、すごいね…」としか言えなかった。今はやっと落ち着けたので色んな言葉が出てくるのですが、このときの興奮と感動だと単純に「すごい」しか出てこなかった。
  
「感動した」「色々考えさせられた」………そんな言葉でも空々しくなってしまうほど、清らかで洗練された空間。それは茂しゃんが先頭に立ち、座員さんや役者さん、スタッフさんを鼓舞し、彼らがそれに全力で応えたことによる賜物。それを見ることが出来た自分はとても幸せだと思えました。

 

  茂しゃんはある雑誌のインタビューで、今回のこのお話の舞台を酒蔵にしたのは「お酒はその日の気温や気候に左右される。みんなの気持ちがひとつにならないと美味しいお酒は作れない」「色んなものを背負った人たちが集まって、ここに来てよかったって思える場所だと思う。その家族みたいな絆の生まれる雰囲気が好きだから」と話していました。
  そしてそれは、茂しゃんが仲間たちと共に作り上げて毎日のように立っている「舞台」も同じことが言えると思いました。

  
 

  今回は閉幕後にサプライズがあり、お客さんが通る道に開幕前にはなかったあるフォトスポットができています。そこに写っているのは、青空の澄み渡る沖縄で、アロハシャツを着て笑顔を向けている辻本酒造のメンバー達。もちろんナオトもいっしょです。

  これに関しては「茂造の叶わなかった夢」なのか「時間がかかっても茂造夫婦とニノミヤが出所し、ナオトもまた会えるようになって叶えられた夢」なのか、色んな捉え方が出来るな、と思いました。かなり悲しいお別れのまま本編は終わってしまったので、そこで救いを見いだすのもアリだと思います。
 
茂造がおじいちゃんになった今でもナオトとは会えているのかな?弁護士になったアンナが茂造夫婦やニノミヤの弁護をしてくれたのかな?ヨウスケとサチコもナオトのような子供が出来たかな?と想像するのも楽しいな、と思いました。


   この記事を書いているときに、ふと関ジャニ∞の「イエロー・パンジー・ストリート」という歌を思い出し、改めて歌詞を見たら(こちらです→http://sp.uta-net.com/search/kashi.php?TID=111869 )、ぜひこうなってほしいと思えました。観劇直後は切なく寂しい気分でホテルでもなかなか寝付けず、お別れ系の歌ばかり聞いていましたが、千秋楽になった今ならこの歌がいちばんぴったりだと思いました。


   「いつかこの場所でもう一度逢えたら きっとそれもHappiness!」

  「不安や悲しみの前で うつむいてるなら いつでも駆けつけよう」

   「君と僕を繋いだ線がどんな色だって きっと大切な運命に違いない」


  

 
 


 

  





  

「茂造の絆」レポ 後編

  茂造と妻ユリコの一人息子・ナオト。
 
  基本的に明るく無邪気で、勉強もスポーツも得意なのですが、常に青いジャージ・怒られると「許してやったらどーや」と言う・落ち込むサチコに「人間は顔じゃないよ」と励まそうとして「人間“の”顔じゃないよ」ととんでもない発言をする・ウザい相手には「ヒィッ!! (゚皿゚)」と叫んでビンタする……など、一幕の茂造と言動がリンクするところが多々あります。
  茂造夫妻はこのナオトを大変かわいがり、酒蔵の仲間と共に大切に大切に育てていました。


   そんなある日、夫妻が二人でのんびり談笑していると、フジオカ(吉田佳さん)という男が二人を訪ねてやって来ます。フジオカを見るなり青ざめる夫妻。

  そしてフジオカはかつて隣人であったこの夫妻に「ねぇ、俺の子供、どこにいるのか知りません?」と意味ありげに尋ねてくるのです。
  なんでもこのフジオカには5年ほど前の冬の日に忽然と姿を消した幼い息子がいて、ほぼ同時期に茂造夫妻も突然引っ越してしまったのだとか……

   ひたすら「知らない」「帰ってください」と追い出そうとする夫妻。その声を聞いて酒蔵の仲間も心配そうに様子を見に来ます。
 
  そんなとき学校から帰ってくるナオト。さらに青ざめる夫妻。どうにかフジオカから離れさせようと奥へ引っ込めさせようとしますが、隙をついてフジオカがナオトの背後のジャージを掴むと、背中が現れ、そこにはなんとも痛々しい紫色の多数のアザが……

   「見つけた……俺の、躾の、証拠……」

「……あれが躾?よく言えたもんだな!!自分が何をしたのかわかっているのか!?もう帰れ!!あの子には近づくな!!お前は父親なんかじゃないっ!!」


   茂造のただならぬ怒りに何かを感じとり、応戦し追い出す酒蔵の仲間たち。どうにかフジオカはその場を離れましたが、間違いなく何かを確信し、企んでいる様子。

   一体何があったのか?と尋ねる酒蔵の仲間たち。ナオトが完全に奥へ引っ込んだのを確認すると、茂造がついに真実を明かします。


   「ナオトは……本当は俺たちの子供じゃない。元々は、あいつの……フジオカの子供なんだ」



  かつては他所の町で暮らしていた茂造夫妻は、毎日のようにフジオカがまだ物心もつかない2歳の我が子に「躾」と称して暴力をふるい、怒号を浴びせる声、そしてそれによって激しく泣き叫ぶ幼児の声を聞いていて、なんとかしてあげられないだろうかと考えていました。
   冬のとても寒さの厳しいある日、
その子供が裸で外に放り出されているのを発見し、保護。そして、そのままフジオカに見つからないようにして、子供を連れて夫婦は茂造の実家であるこの酒蔵へ逃げてきた。その後、その子供にナオトと名付け、5年間我が子として大切に育ててきたのです。
  

  どんなにみんなと楽しく過ごしていても、心のどこかで、フジオカに見つかる日が来ないことを祈り、怯えていた茂造。ついにその日が来てしまった……と嘆きますが、それでも酒蔵の仲間たちは、「あの子は間違いなく蔵元と奥さんの子供です。みんなで守りましょう」と励まします。

  さらに同じく辻本酒造に生き別れた我が子がいるという情報を聞きつけ、フジオカの妻(島居 香奈さん)、つまりナオトの実母もやって来ます。彼女は夫の暴力に耐えきれず、幼い我が子を残して逃げてきてしまったことを悔やんでおり、現在は大手企業の社長と再婚していました。
   一目会いたい、そして出来たら自分と今の夫が引き取って、会社の跡取りにしたいと懇願する実母に茂造は「今さらなんだ!!絶対あの子は渡さない!!」と激しく拒絶。


  その直後、ぐったりとして倒れているナオトが発見され、すぐにマツダ父親の経営する病院へ。

  そしてマツダの父による診断は、あまりにも残酷なもの。ナオトには重大な疾患があり、今すぐにでも手術が必要とのこと。そしてその手術に必要なものは……「輸血」
  しかしナオトの血液型はかなり珍しいタイプのものらしく、養父母の茂造やユリコ、さらに酒蔵のメンバーで一致する者はいません。

  文字通り血の繋がりの無いことを実感させられ、悩む茂造。さらに追い討ちをかける真実が、たまたまその場に居合わせたナオトの実母により聞かされます。


  「ひとり、その血液型と同じタイプの人間を知っています……フジオカです」

  
愛しているのに、血の繋がりがないから、助けてあげられない茂造。
  愛してはいないのに、血の繋がりがあるから助けることが出来るフジオカ。
 
   そのあまりにも不条理な事実を知った茂造は、不本意ながらもフジオカを呼び出し、事情を話し、フジオカの命令で土下座をしさらには頭を踏みつけられながらもじっと耐え、ついには多額の金銭を支払うことも約束し、どうにか血液供給を承諾されました。

すべては、愛するナオトを、守るために。



  季節は春から夏へ。
  ナオトは見事手術を成功させ、お父さんとまたキャッチボールが出来るほどに快復。「これから毎日キャッチボールしような」と茂造も嬉しそう。

   そんなときまたやって来たフジオカ。命の恩人であるということとナオトに秘密をばらすことをネタに多額の金を要求してきます。
  茂造たちが困惑していると、一度は奥へ引っ込んだナオトが「おとうちゃんをいじめるな!」と小さい体ながらにフジオカに立ち向かっていきます。その絆の深さに苛立ったフジオカは、ナオトの胸ぐらを掴み、真実を話そうとします。必死で止めようとする茂造たち。なんとかナオトに聞かれないよう耳元を塞ごうとするユリコ。


  そのとき酒蔵に響く銃声。そして次の瞬間、その銃から放たれた弾はフジオカの胸へ。そして倒れるフジオカ。銃を放ったのは、日本兵時代の軍人帽を被ったニノミヤ。「お世話になりました!」と陸軍仕込みの敬礼をする彼を見て、がっくりと項垂れる茂造。自分達親子を守るため、茂造に恩義を感じているニノミヤは自ら罪を被ったのでした。
 

  その後、フジオカは病院へ搬送。重傷を負いましたが命は助かりました。そして、ニノミヤは自首をしたのでした。


   数日後、茂造は酒蔵へ実母と彼女の現在の夫である大手企業社長を呼び出しました。そしてその夫婦の前にナオトを連れてくる茂造とユリコ。この日、ナオトが着ているのはいつもの青ジャージではなく、白シャツに黒の半ズボンというきちんとした正装。わけがわからずきょとんとするナオトに、茂造は語りかけます。

  
  「あそこにいる女の人は、実はナオトのほんとうのお母さんなんだ。お母さんはナオトを産んですぐ病気になって育てられなくなっちゃったから、お父ちゃんとお母ちゃんが預かってたんだ……ずっと黙っていて、ごめんな」


  優しい嘘を交えながらも、ついに自らの口で真実を話す茂造。そして……


  「ナオトは今日から、ほんとうのお母さんと、新しいお父さんの子供になるんだよ」


  その言葉に激しく動揺するナオト。当然、ここのおうちにい続けたい、お父ちゃんとお母ちゃんとみんなで暮らしたいと訴えます。それに対して茂造は……


  「本当のことを言うと、お前は足手まといなんだ。これから仕事が忙しくなる。そのときお前がいたら邪魔なんだ。だからあちらのおうちにお世話になりなさい」


   冷たく突き放す言葉をかけるものの、目には涙が浮かんでおり、それが嘘なのは一目瞭然。ナオトは泣きじゃくりながら「いい子にしているしお手伝いもするからいさせてほしい」と訴えます。黙って背を向ける茂造。頑なに首を横に振るユリコ。それを涙を流しながら見守る酒蔵の仲間たち……
  

   「お父ちゃんのうそつきっ!!毎日キャッチボールしてくれるって言ってたのにっ!!うそつきっ!!ここにいたいっ!ここにいさせてよ!!おとうちゃんっ!!」

   「あかん!!お前はここにいたらあかん!!……早く連れていってください」


   自分を責めるナオトを連れていくよう、実母夫婦にけしかける茂造。涙を流しながら頭を下げ、実母とその夫はナオトの手を取ります。


   「おとうちゃんは、僕がいなくなって、さみしくないの?」

「………せいせいするわ」


   最後まで、嘘を貫き通す茂造。そのまま、背を向けてしまいました。そして、ついにナオトが連れていかれます。


  「おとうちゃーーん!!おかあちゃーーん!!おとうちゃーーん!!おかあちゃーーん………おとうちゃーーん!!!!」
 

  ナオトが育ての両親を呼ぶその悲しい声は、その姿が見えなくなってもなお響き続けました。耐えきれず連れ戻そうとするユリコ。そのユリコを抱き締めて制止する茂造。その大きな背中は震えていました。


  このときもう私の涙腺がかなり緩んでいて、それがナオトが茂造たちを呼び続けるところで爆発し、膝にあったタオルで目を押さえました。途中、「うっ、うっ」という声が聞こえ、なんだろうと思ったら、それは自分の嗚咽でした。生まれて初めて、演劇観賞で声を出して泣いていたのです。見回す余裕こそありませんでしたが、横や後ろからも同じような声が聞こえてきました。

  
  静まり返った酒蔵では、ユリコと酒蔵メンバーのすすり泣く声だけが響いていました。おもむろに茂造は、音楽コンテストで披露する予定の「上を向いて歩こう」を口ずさみます。


  「うえをむーいて  あーるこーう なみだが……こぼれ……ないように……おもい……だ…す……」


  歌っているうちに、ずっと堪えていた淋しさや苦しさ、そして、ナオトへの愛情が溢れ、涙を流す茂造。そんな夫に寄り添うユリコ。そしてナカジマが「しあわーせーはーくーもーのうーえにー」と続きを歌い始めると、それに続いてヨウスケ・サエキ・アンナ・サチコ・マツダも歌い始めます。みんな泣きながら、茂造とユリコを励ますように歌うのでした。


   茂造とユリコが冷たく突き放してまで、嘘をついてまで、愛するナオトを手放したのは、もう自分達がナオトを守れないと悟っていたから。
  そして、その残酷な運命の瞬間は間もなくやってきました。


   辻本酒造にやって来た二人の刑事。彼らは茂造とユリコの身元を確認すると、それぞれに手錠をかけました。

  フジオカはあのあと事情聴取をされ、騒ぎを起こしたきっかけは茂造とユリコが我が子を無断で連れ去ったことだと供述。そしてそれは、たとえ虐待から守るための行為であったとしても、法のうえではれっきとした「誘拐」という犯罪なのでした。

   抵抗することなく、連行されていく
茂造とユリコ。その二人を呆然と見つめながらも、やはり「上を向いて歩こう」を歌い続ける酒蔵の仲間たち。夫婦は大切な思い出の場所である酒蔵へ一礼し、刑事とともに去っていきました。

 
  「……くらもとぉぉぉ!!!」


  夫婦が去ったあと、酒蔵の仲間たちが悲しくも激しく茂造を呼ぶ声が響くなか、舞台は暗転。

  そしてそのまま、恒例のエンディングとなり、ここでは劇中で茂造とサエキが作ったとされる「絆」がキャスト全員で歌われました。



   2年前の「美しき謎」が父と娘の絆を確認しあい、昨年の「青春時代」が新たな夢のスタートを予感させる終わり方だったのに対し、今回はあまりにも切ないまま終わる、いわゆるバッドエンドでした。

  しかし、だからこそ、考えたり、感じたりするものがありました。


  最後はそういった感想を書いていこうと思います。
  


  

  
  

 


 


 

「茂造の絆」レポ 前編

  今年もやって来ました、新喜劇とはまた違うガチの人情芝居、茂造特別公演シリーズ!

  「茂造の絆」と題された今回の公演は、何年か前に行った茂造シリーズのリメイク版。特に今年は茂しゃんの芸歴30周年のアニバーサリーイヤーなので、気合いが例年より入りまくっているようです。

   
    友人の計らいにより最前センター席で観劇できることになり、「必ず、大きめのタオルを用意してきてね」と前々から言われてきたのでそれをきちんと膝の上に置いて、ドキドキしながら待ち、夜7時いよいよ開幕。

  第一幕はいつも通りの新喜劇。茂造は旅館のスタッフとして、相変わらず鞄を蹴飛ばしたり平気で秘密をばらしたり、借金の取り立てに来たヤクザ森にぃに無茶ぶりしたりとやりたい放題。

  そんな茂造の態度が一変したのは、家族に反対され、さらには夢の達成を目前に、彼女が妊娠してしまい悩んでいるカップルを見たとき。
  それまでヘラヘラしていた笑みは消え、厳しい口調で「お前たち、本当に子供を育てる覚悟はあるのか!?簡単なもんじゃないんだぞ……お前たちになにかあったとき、傷つくのは子供なんだ!!それをわかっているのか!?」と問いかけてきます。

 
   これまで見たことの無い茂造の表情に戸惑う一同。
実は茂造には、我が子に関して、過去に、あまりにも切ない出来事があった……


   二幕からは時を遡り、詳しい時代設定は話されませんでしたが、恐らく30~40代くらいの茂造の過去が描かれます。

    茂造は「辻本酒造」という酒蔵を経営しており、そこには父の代から世話になっている棟梁のナカジマ(要 冷蔵さん)をはじめ、ちょっと喧嘩っ早いけど男気溢れるヨウスケ(アキさん)、ニューハーフで弁護士になるための勉強もしているアンナ(伊賀さん)、いつも底抜けに明るいムードメーカーのサチコ(たまよさん)、戦時中のフィリピンでの過酷な体験から今でも軍人口調と背中を見せないためのほふく前進など独特な言動が目立つニノミヤ(平山さん)、訳あって無口だけれどとても真面目な青年マツダ(玉山詩くん)、そして茂造の妻のユリコ(村崎真彩ちゃん)と小1になる息子・ナオト(子役の福冨慶士郎くん)が、寝食を共にしながら、「絆」という名のオリジナルブランドの日本酒の製造に励んでいました。

   途中からサエキ(井路端健一さん)という元愚連隊の新メンバーが加わります。サエキは最初こそ心を閉ざしていましたが、愚連隊時代の仲間が襲撃に来たときも庇ってくれた茂造や酒蔵のメンバーたちのあたたかさに触れ、徐々に心を開いていきます。
 
  このサエキ、実はギター演奏も得意で、それを知った茂造はあることを提案します。

  「実は俺達、毎年地元の音楽コンテスト出てるんだ。お前、今年の伴奏やってくれよ」

  こうして辻本酒造全員でチームとして、サエキのギター演奏と共に「上を向いて歩こう」と、茂造作詞・サエキ作曲のオリジナルソング「絆」で勝負することに。

  「俺だってなにか目立つことやりたい!」と主張するヨウスケに対し、茂造が与えたのは……「ホース」。蛇腹になっていて、掃除機とか洗濯機に使われているアレです。
これをどう使うかというと、片方の端に口をつけ、歌の要所要所で息を吐きながら思いっきり振ると「ピュッ!!」という音が鳴るのです。
 
  カーテンコールでこのホースのことについて触れられ、なんでもこれは幼少時あまり裕福ではなくおもちゃを買ってもらえなかった茂しゃんが廃材から見つけ出して遊んだものだったとか……会場のお客さんの中にも何人かこのホースで遊んだことのある方がいて、さらに帰宅後、私の母も「音を出しはしなくても振り回していた」と話していました。「金がないぶん知恵を使って工夫してたんや」と茂しゃんは自慢げに言っていました。すげーなホースって。

  前半は酒蔵の中で起きるスタッフたちの人間模様が中心に描かれました。

  アンナは前作「青春時代」にも登場しましたが、やはり今回もその記憶力を生かし、サエキの襲撃に来た愚連隊相手にスラスラっと刑法を一言一句間違えず伝え圧倒し、さらにはピカソのやたら長ったらしい本名「パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・ファン・ネポムセーノ・マリーア・デ・ロス・レメディオス・シプリアノ・デ・ラ・サンティシマ・トリニダード (Wikipediaより引用)」まで見事に言ってのけました。 茂しゃん曰く「このせいで移動中伊賀はやたらブツブツ言う時間が増えた(笑)でも彼ならやってくれると思った」とのこと。
 

  サチコは通算50回目のお見合いを成功させるべくみんなでミッションを遂行しますがやはりその「顔面」で断られてしまいます。
しかし実はずっと密かに想いを寄せていたヨウスケがプロポーズ!!その場で熱い抱擁とキス(!!)を交わします。
  今思うとその伏線だったのか、サチコが冒頭で中の人であるたまよさんのお馴染みのギャグ「ペローン!チーン!ドカーン!!」の一連の流れをヨウスケ相手にやっていたのですが、ヨウスケのツッコミがやたらソフトで優しく「刺激が足りないよぉっ!」と言っていました。ヨウスケ、実はまんざらじゃなかったのかも……

  マツダは実は代々医者の家系である親兄弟と確執があり、そのため自分を押し殺して声がでなくなってしまったのです。それでも、この辻本酒造に来たことで、一人前の杜氏になりたいという夢が出来ました。
 
  その想いは強く、実家に連れ戻しに来た父親(あいはらたかしさん)に「こんな大したこと無い酒」と罵倒されると顔を真っ赤にして「みんなに謝れ!!このお酒にはみんなの想いが込められているんや!!」と、ずっと封じていた声を解放して怒りをぶちまけ、さらに、杜氏は仲間と共に見つけた自分の夢だから絶対に叶える!!絶対にお父さんにも「美味しい」って心から言ってもらえるお酒を作る!!とまっすぐな瞳で宣言。父親はすぐには認めはしなくても「いつか私を唸らせるほどの酒を作ってみろ。私の舌は肥えているから、なかなか厳しいだろうがな」と、見守ってくれるようになりました。
  茂造の孫オーディションから今や特別公演常連俳優となった詩くん、ついに今回から子役枠から卒業し、本格的な大人の役者の仲間入り。元々茂しゃんが逸材と見抜いた天才児ではありましたが、年々上手くなっていく迫力と臨場感のある表情はまさに精進の賜物。これからもきっともっとすごい役者さんになっていくでしょう。
 

  様々な困難を乗り越え、絆を深めていく辻本酒造。そしてその絆が深まれば深まるほど、彼らが作るお酒の「絆」の味も深く美味しくなっていくようでした。それを支え、見守る茂造の優しくあたたかな笑顔。


しかし後半では、その茂造自身の、「親子の絆」が試される出来事が……


続きます。




 


  


 
 
  

 


 
 


  

エンタメ新喜劇東京公演レポ③

  ここではカーテンコールの様子などを。

  アキさんは久々の相方ケンさんとの共演でしたが、お互いに「こいつには負けたくない!」という思いからのあのアドリブ合戦はさすがだと茂しゃんからお褒めの言葉がありました。また、茂しゃんがケンさんの「あかーんよぉー」を気に入っていたのもほほえましかったです。
  正直、茂しゃんとケンさんがアキさんを巡って火花を散らせやしないかとハラハラしていましたので、そういう雰囲気もなく安心しました(笑)

  また、赤松さんが大阪新喜劇でいうところの森にぃのような「へたれいじられキャラ」化されつつあり、茂しゃん曰く「もう一皮むけると化けそうだよな」とのこと。ぜひまた東京公演があったときは出演してほしいとアンケートに記入しておきました。


  前回のNGK版でも出演した太鼓奏者のえりかちゃんは、出演のきっかけは「私はこういう演奏活動をしています。ぜひエンタメに出演させてください」と自らアキさんの元へ履歴書とパフォーマンスの様子が映っているDVDを送り、それがアキさんの目に止まったのだそうです。だからもしなにかステージング活動をしている人はどんどん応募してみてほしいという話がありました。


   さらにアキさんからは「今回はスケジュールの関係でルミネで一日のみだった。次回やるならぜひ数日間もっと大きい会場でやりたい」、茂しゃんからは「こうやってルミネで新喜劇が出来てうれしい。茂造新喜劇や絆ツアーも、なんとかこちらでもやれるように頑張りたい」とありがたい宣言が!!そのためにもアンケート結果というのがすごく重要らしいので、その場で書けなくてもおうちでゆっくり書いて郵送もアリだと思うので、とにかくなにかしら公演に行かれた方はそこに意見感想要望をガンガン書いて伝えるのが大事だと思います。82円の送料が今後の新喜劇の運命を変える!!

 
  劇中のなかで「楽しいことがないなら環境のせいにせず自分で見つけて作るもの」というようなセリフがありましたが、今回はそれが自分に重なりました。
  新喜劇ファンになって4年ほど経つのですが、最初の頃は「私は小さい頃から新喜劇を観ていない。追い付けない。だから本場の関西に行かないともっとハマれない」と本気で思って、本気で関西への移住すら考えたこともありました。
 
  だけど今、これまで新喜劇不毛地帯だった関東にもようやく花が咲き始めました。ファンも増えてきました。関東で待っているファンがいる、というのもとても大切なことなんだ。ここにいるから出来ることがあるんだ、というのを、今回実感しました。もちろんNGK祇園も好きですが、関東に来てくれたらやはりそれは特別な嬉しさです。

  この東京公演を次に繋げていけるよう、アンケートもしっかり書いて郵送しましたよ♪




  

エンタメ新喜劇東京公演レポ②

    ①はこちら→http://nakumelo.hatenablog.com/entry/2017/04/21/102935


  みんなで楽しくおしゃべりしていると、やって来たのはスーツ姿の赤松という男。赤松はどうにかカッコつけて威勢よく振る舞おうとするのですが、緊張して噛みやすくすぐ唇を舐めるような性格をすぐシゲオに見抜かれ、「お前、出てくるところからやり直しや!」とガチめのダメ出しをされる始末。
  そんな赤松はNGK建設の社員で、前々からこの島をリゾート施設にするべく土地の売買交渉をしにやって来ていたのでした。当然、売る気はないとケンじぃが追い返そうとすると、今日は社長も来ているから話だけでも聞いてくれと食い下がります。

  呼ばれてやってきた社長は、白いスーツに青いネクタイ、オールバックという姿の、伊賀さん!すっかり関東でも有名になり、登場時の歓声はアキコさんにもシゲオにも引けを取らないほど!「ハハハ横顔新幹線やーん!!」というお約束のイジりもばっちり行われました。ついでに持っていたバッグが緑色だったため「グリーン車や!」とも言われていました(笑)

  そんな新幹線フェイス伊賀社長も改めてお願いしますが、やはりケンじぃたち島民は断固反対。一旦は引き返すNGK建設ですが、なにか秘策があるようで、不敵な笑みを浮かべていました。これはますます早く島に活気を戻さないと大変なことになりそう。


  翌日、警官の遠藤さんによれば「なんだかやたら黄色い人がフェリーから颯爽と降りてきた」という情報が。黄色い人……?

  さて、堤下大将がせっせと仕込みをしていると、またあのNGK建設の二人がやって来ました。赤松は鉄パイプまで持っていて、なんだか厄介なことになりそう。
  リゾート建設賛成の署名にサインするよう迫ってくる伊賀社長。そんなことは出来ないと断る堤下大将。それなら他の島民に書くよう説得してくれとさらに迫られます。赤松が鉄パイプを持っているあたり、力ずくでも賛成させるようです。
 
  それでも大将が屈せずに追い返そうとすると、用心棒を雇ったらしく、呼び出す伊賀社長。そこに現れたのは天狗のお面を着けた……ケンじぃ!!
  なんでケンじぃが!?と呆然とする堤下大将。三人がかりで迫られ、さすがにパニックになる堤下大将。大ピンチ!なそのとき……


  「まてーーーっ!!」


  ふとどこからか響く声。現れたのは黄色のスーツ、黄色のマント、オールバックにちょび髭というスタイルのヒーロー、キャプテン・イエロー!!フェリーから降りてきた「黄色い人」は彼のことだったようです。
  こちらからやって来たくせに「なんの用だ!俺は忙しいんだ!」と言ってくるこのキャプテン・イエローとケンじぃが向かい合ったらさぁ大変。4文字の言葉をどれだけ言えるか言い合ったりしてなかなか進まない。実はこれ、完全アドリブのやり取りで、本来1分ちょいで終わるところが6分もかかったそうです。さすが、水玉れっぷう隊
 
  そんなやたら長いにらみ合いのあとは、キャプテン・イエローとケンじぃの見事な殺陣!激しく軽やかに動き回り、しかし隙をついてキャプテン・イエローがケンじぃの持っていた剣を払い飛ばします。

  キャプテン・イエローが颯爽と去っていくと、事情を聞き付けた島民が集まってきます。どういうことだよ!!と戸惑い憤る島民たち。うなだれるケンじぃに変わり、伊賀社長が淡々と語ります。
 
  実はこの島の運営はみんなが想像している以上に悪化しており、既に経済破綻寸前という危機的状況でした。このまま景気回復も人工増加も見込めないならと、リゾート建設後に仕事を島民に斡旋してもらうのを条件に、村長であるケンじぃは建設計画承諾の契約書にサインをしたのだそう。賛成署名を集めていたのは、せめてみんなの理解を経てから建設をしたいというせめてものケンじぃの罪滅ぼしの気持ちからでした。

  ワシらにも相談してほしかったと嘆くいそじぃたち。村長として島を守る責任を果たしたかったが、なにも出来なかったと涙を流し土下座するケンじぃ。そんなおじいちゃんに駆け寄って抱きしめるえりかちゃん。すれ違いこそしてしまったものの、生まれ育ったこの島と仲間、家族を想う気持ちは皆同じだったのです。

  それならリゾート建設にみんなで同意しよう、と決意したそのとき、伊賀社長から信じられない一言が。


  「では、契約書にあるように、一千万円、『払ってください』ね?」


  驚いて呆然とする島民たち。どういうことだ!?とケンじぃが契約書を改めて見ると、そこには建設には契約金が一千万円必要で、それはケンじぃ及び島の方で負担する、ということになっていたのです。こんなの詐欺じゃないか!と島民たちは憤りますが、契約書にはしっかりとケンじぃのサインがあるため、裁判を起こせば勝つのはこちらだと強気なNGK建設。もちろん島にそんな大金はありません。


  そのとき高らかな笑い声をあげてやってきたのが、あのバーコードハゲのシゲオ。実はシゲオは大阪府警の刑事で、このNGK建設の実態__つまり、この島のように経営危機に陥っている地域を狙ってリゾート開発を勧め、法外な契約金をふっかけるような詐欺行為を極秘に捜査していたとのこと。結果的に契約金が払えないその土地は破綻し、NGK建設はタダ同然でその土地を買い取れるという仕組みで、これまで何件もの地域が被害に遭っていたのでした。
  もちろん社長と赤松は現行犯逮捕。几帳面なシゲオ刑事にしては珍しく手錠を忘れたらしく、アキコさんの持っていたガムテープで身柄を確保。赤松に至っては息が出来るか出来ないかぐらいまで顔をガムテープで巻かれていたのでさすがに心配になりました。よいこはまねしないでね!!


  ホッと安心したのも束の間、撮影を終え帰ろうとしたエグスから衝撃の事実が。なんとあの「自治体PR動画コンテスト」の締め切りが今日で、しかもあと30分でエントリーを終了するとのこと!! 
  それでも、ここまできたらなんかしかやってみよう!とりあえず送っちゃえばなんとかなる!!とアキコさんの提案で、エグスや国崎さんの力も借り、即興でパフォーマンスをしてみることに。トシくんはよくアキコさんやおじいちゃんズが遊んでいるキーボード(ピアノ)を借り、えりかちゃんは堤下大将から大きな寸胴鍋とその蓋、さらに菜箸などを借り、即席ドラムセットを作ります。おじいちゃんたちもスタンバイし、いよいよ動画撮影スタート!

  トシくんは最初こそぎこちなく一本指で演奏していましたが、やがて壮大に美しい「かえるの歌」を披露。さらには片手でキーボード、もう片方でトランペット演奏という神業を軽々とやってのけます。
  次にえりかちゃんが即席鍋ドラムセットで、見事なパーカッションを披露!!鍋ってあんな軽快な音が出んのか、と驚きました。

  続いて歌が得意なケンじぃとボイパの得意ないそじぃのセッション。おじいちゃんたちお気に入りの「かえるの歌」をポップにアレンジ。会場を盛り上げると、最後はおじいちゃんたちとアキコさんによるパワフルダンス!!島民みんなで力を合わせてかっこいい動画撮影に成功!


  そんな動画を投稿して数日後……


   そこには笑顔で「今日も観光のお客さん、たくさんいらしてますよ!」と告げる遠藤警官と、エプロンをして堤下大将の屋台のお手伝いをするトシくんとえりかちゃん、そしてそれを見守る堤下大将とアキコさんの姿が。
  あのあと、見事動画コンテストで優勝し、一気に島は注目され、連日観光客で賑わうようになったのでした。

  みんなで力を合わせたらどんなことも乗り越えられるのね~とアキコさんが喜んでいると、ケンじぃたちおじいちゃんズはなにやらサングラスをかけてイキッている様子。なんとあの動画をきっかけに某有名事務所からスカウトされ、「30代目ジジィソウルブラザーズ」としてデビューするため東京へ行くとのこと!!

  なに考えてんのよ!とアキコさんに叱られるおじいちゃんズ。「すいませーん!」というおじいちゃんズの謝罪の言葉。ここまで来たら、返ってくるのはもちろんあの言葉。


  「いーいーよぉー♪」


  本編レポはここまでですが、カーテンコールと個人的感想もこのあと書く予定です!


 

 




 

エンタメ新喜劇東京公演レポ①

   エンタメ新喜劇、関東人ファンとして「東京でもやってくだせぇ。絶対ウケますぞ」的なことをアンケートに書き続けていた甲斐があったのか、ついにこのたび新宿のルミネよしもとへ上陸!!しかも茂しゃんと横顔新幹線伊賀さんもいっしょにやって来る!!

  こりゃあ行かなきゃ!!と思っていたのですが、日本一のキャパを誇るお笑い劇場NGKでの数日公演にすっかり慣れていたため、キャパ160~200ほどのルミネでの一日限定公演は、見事に激戦。先行にはハズれ、一般発売は開始から1分経つか経たないかで完売。呆然としていると、ひとりのフォロワーさんが「私、入金せず流しましたよ!」と仰り、さらに別のフォロワーさんがその流れてきた席を見事ゲットしてくださり、譲ってくださるミラクル発生!無事行けることになりました。

  そんなわけで、その譲ってくださったフォロワーさんや諸事情で行けなかった方たちのためにも、いつも以上にしっかり集中して見てレポしなければ……と、電車からルミネにたどり着くまでの間、頭の中では「ミッション・イン・ポッシブル」のテーマが流れるほど、開演が近づくにつれ緊張が高まってきました。


  そしていよいよ開演。幕が開くとやって来たのはチアリーダーのお姉さんたち。そしてその中央にいるのは……先月NGKでのエンタメで初登場したちあきちゃん!!なんと東京にも降臨いたしました!!
  このちあきちゃん、前回公演で多くの人の心をキャッチしたのか、登場した途端沸き上がる歓声!私の近くにいたちびっ子も「ちあきちゃーーん!!」と声援を送っていました。

  みんなで楽しく踊っていると、どの公演や会場にもやっぱりひとりはいるんですね、「とりあえず付き添いで来ました」みたいな感じのおっさんが。
そんなシラケた態度のおっさんを、ちあきちゃんは見逃しません。「みんなで盛り上げようっていうのに、なにしてんのよ!!」と舞台へ引っ張りあげます。
  
このおっさん、いきなり舞台にあげられてキョドるあまり落ち着きないわチアリーダーのお姉さんに話しかけるわで世話しない。
「アンタね!この舞台めったに立てないんだよ!どれだけ芸人がここ目指してがんばってると思ってんのよ……おいこっち見ろよー!!よそ見すんなよ!!……なんだお前てっぺんハゲてんじゃねーか!ザビってんじゃねぇよ!!」とちあきちゃんもぶちギレ気味www 
ザビってる=ザビエルみたいな髪型してるは本公演では森にぃいじりの代名詞。今回も出てほしかったなぁ~(森にぃはチーム内場祇園公演に出ているためこの公演には欠席していました)


  そんな大騒ぎのOPのあとはいよいよ本格的にお話がスタート。舞台となるのは日本の南のほうにある小さな小さな離島。本土と島を繋ぐフェリーは一日一便なうえ、目玉であったサンゴの減少により観光客も激減。ただでさえ少ない島民も高齢化が進み、すっかり過疎化しています。
 
それでも旅館スタッフ(兼ここでも単3電池販売)をしているアキコさんをはじめ、屋台を営む堤下大将や村長のケンじぃ、ケンじぃの友達のいそじぃたち、警官の遠藤さんや教師の西島さんなど、島民はみんなでどうにかまた島に活気を戻そうとがんばっていますが、ケンじぃの孫のえりかちゃんやその同級生のトシくんは「学校を卒業したらこんななんにもおもしろいことのない島を飛び出して東京へ行くんだ!」と島に見切りをつけようとしている模様。
 
  そんなえりかちゃんとトシくんにアキコさんが「楽しいことは環境のせいにするのではなく自分で見つけて作るんだよ」という例えで、ケンじぃのことを話す場面がありました。ケンじぃは年に一度だけ本土へ赴き、パチンコ屋で遊んだら、島へ帰ってきたらそのときの記憶を頼りに脳内で妄想パチンコをするのが得意だそうです。でも大抵その脳内でも負けていて「ここんとこ毎日3万ずつ負けてる」そうな。妄想でよかった……現実だったらとんでもない金額になっちゃうもんね。

 
  そんな島でもたまーにその美しい海と静かな環境を求めてやってくる観光客もいます。この日やって来たのはYouTubeで爆発的な再生数を叩き出すダンス動画をアップしているエグスプロージョンのふたりと、そのマネージャーである国崎さんが新作動画の撮影へやって来ました。
  
  エグスはおろかYouTubeの存在すら知らない島民たち(どんだけ田舎なんだ)のために、エグスのふたりはダンスを披露。代表作「本能寺の変」と島の海をバックに撮影される新作「小野妹子」をキレッキレで踊ってくれました。ちなみに小野妹子は「女じゃないのよ私」とやたら強調している歌詞でした。パッと見たら女の子みたいな名前だよねイモコって。小6で習ったとき私も女だと思っていました。

  カリスマユーチューバーのエグスに、なにか島が盛り上がる方法ないですかね?と尋ねるアキコさん。すると「自治体PR動画コンテスト」なるものをオススメされました。
  最近は動画で地元の名産や観光地、有名人などを紹介する動画投稿も流行っていて、動画が話題になりそれがそのまま街の活性化に繋がった自治体もたくさんあるとか。特にこのコンテストは注目度も高いので、入賞すればかなりいい効果が期待できるとのことでした。

   いいアイデアをもらったアキコさんとおじいちゃんたちは、そのまま堤下大将の屋台でキーボード(ピアノ)を使ったリクリエーションで大盛りあがり。すると、警官の遠藤さんがお財布の落とし物があったとやって来ます。誰のかなぁ?とみんなでざわざわしていると……

   「えらいこっちゃーー!!」


  響き渡るこの声のあと、現れたのは、バーコードハゲのおっさん……シゲオ!!茂しゃんでした!!いつもは茂造で出ていたので、油断していました (゚ヽ゚)そうきたか!
   エグスが忘れていった鞄をお約束通り蹴り飛ばし、見事屋台の屋根を飛び越えていきました(笑)
  そしてこれまたお約束、「もう!そんなことしちゃだめでしょ!!」とアキコさんがたしなめると、すかさず中学高校の運動部並みのデカイ発声で「すいませーーん!!」とシゲオが謝罪、そしてその返事はもちほん「いーいーよぉー!!」 このお馴染みの流れに観客からは拍手と歓声に溢れました!!

  しばらくおじいちゃんたちに混ざって談笑するシゲオ。実はケンじぃには明らかに「いーいーよぉー」を意識しているであろう「あかーんよぉー」という持ちギャグがあり、それを目立たせようと必死。それを見たシゲオ、どうもこのギャグを気に入ったらしく、ケンじぃと二人で「せーの」と調子を合わせて「あかーんよぉー」を披露! 「いーいーよぉー」の立て役者茂しゃんに気に入られたので、このギャグも流行りそうな予感です!!

  そんな和気あいあいと楽しい毎日を送る島民に、危機が……?


  つづきまーす