nakumelo’s blog

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痴漢“疑惑”案件に遭遇した話

「痴漢」というと、真っ先に思い浮かぶのは、「満員電車で身動き取れない状態でおしりを触られる」というようなシーンだと思います。

  しかし、どうやら、満員状態ではなくむしろガラガラの車内でも、座っていたとしても、起こるときは起こるようです。それも、直接手で触れるのではなく、足や腕などであくまでも「自然に揺れてしまったんですよ」的な様子を醸し出しながら。
  仮にそれがほんとのほんとに「偶然」だったとしても、何度も何度もそんなことが起きたらそら疑われるし何より不快です。知らない人と、ほんの一瞬布越しとはいえ、肌を触れあわせているのですから。

  ここでは、私が遭遇した、そういった「新手の痴漢疑惑」をお伝えしていこうと思います。



  それは、舶来寄席が終わり、新宿駅から地元最寄り駅まで一本で走る某ローカル線で帰宅しようとしたときです。このローカル線、停車駅のひとつで人身事故があり、その影響で10分ほど遅れていました。本数の少ない路線のため、やっと電車が来たときにはぎゅうぎゅう詰めの満員状態でした。

  どうにか乗れて、奥まで追いやられ、チビ故に吊り革に届かないため、ひたすら足を踏ん張って耐えていました。このとき見事に男性に周りを囲まれましたが、なんの不快も感じませんでした。自分がそうだったように、誰もが「とにかく倒れないように」と揺れに必死で耐えていたり、器用な人はスマホをいじったり本を読んだりしていました。私なんか眼中になかったのです。

  ある程度大きな街の駅や乗り換えのある駅で人が降りていき、5駅目ぐらいでやっと座ることができました。その席はその車両の中ではいちばん奥で、すぐ斜め前には隣の車両へ行ける扉のある壁際の席でした。
 
  そこに座ってスマホをいじっていると、ふと私の目の前にグレーのしまのスーツの、50代ぐらいのサラリーマンが立っていました。サラリーマンは私の真上の網棚に荷物を置くと、何故か両手で吊り革を持って、隣の車両へのドアに背中をくっつけて立っていました。このときは「同じ立っているのでも壁にもたれていたほうが楽だからな」とぼんやり思っていました。でも今思うと、なんで空いてきたこの車両で、このポジションを選んでいたのだろうと怪しく感じています。

電車が再び走り出したとき、なんだか様子がおかしくなってきました。電車の揺れより遥かに大袈裟にサラリーマンの体が上下に揺れ、サラリーマンの足と私の足が妙に当たるのです。それも何回も。
  満員状態のときは、遅れを取り戻そうとしてるのか、いつもよりやや速く運転されており、それこそ何度も何度も揺れましたが、このときの速度はかなり落ち着いていました。なのに何故かこのおっさんはやたら揺れて私の方へ体が触れてくるのです。このときの私はキュロットとハイソックスで露出している部分はせいぜい膝小僧くらいでしたが、それでもその膝小僧におっさんのズボン越しに肌が触れてくるとゾゾゾッと不快なしびれを全身に感じました。

  吊り革を持っている腕越しにおっさんの目が見えました。目をつむっているようにも見えますが、薄目をあけてこちらを見ているような気もしました。おっさんと目があったとき私が一瞬感じたのは、小中の頃何度か出会ったいじめっこたちの、ねちっこく人を小馬鹿にしたような、そして「次はどうしてやろうか」とこちらを伺うような、あの視線でした。負けるもんか、と私はその目を反らさずにらみ返しました。

  と、そのとき電車が次の駅に停まり、降りていった人がいたので、私の斜め前の席がひとつ空きました。睨み付けていたのが功を奏したのか、ほんとに単純に疲れていたから休みたかったのか、おっさんは網棚の荷物を残したままその席へ座り、目をつむって寝ているような仕草をしてしました。

   怖い。今は離れているけど決して遠くはない距離だし、しかもおっさんの荷物はまだ私の真上の網棚に置きっぱなし。私はもうしばらく乗らなければならないし、これからこの電車はどんどん乗客が減っていく。もしまた目の前に立たれたり、隣に座られたりしたら……そして、さっきよりもっとひどいボティータッチをされたら……そう考えるととにかく怖くて早く安全な場所へ避難せねば!と思い、先ほどまでおっさんがもたれていたドアに手をかけ、車両を移動しました。
  自意識過剰と言われても被害妄想と言われてもいい。もう私はこの人と同じ空間にいて一分一秒関わりたくない。この場合は「逃げるが勝ち」という格言がいちばんぴったりだと思いました。

  こちらの車両も空いていたのですぐ座ることができ、そこでTwitterで先程の出来事を報告。するとフォロワーさんから「私も似たようなのやられたことある!!」や「逃げて大正解!!」といったリプライをいただきました。
  帰宅後に調べてみたところ、「これはわざと?それとも偶然?」というような痴漢疑惑案件はわりと多いようです。「直接触れなければセーフ」という認識のもと行われている痴漢も、ここ最近増加しているとのことでした。

  自分がそのような疑惑案件に遭遇したことで色々考えて出した結論は次の3つでした。


  ①今されている行為が“痴漢か偶然か”の真実より“自分が今不快かどうか”を大事にする

②とにかく早く逃げる

③痴漢は誰でもターゲットになりうる=自分が特別痴漢されやすい=悪い と思わない。堂々としていていい。


①に関しては、物的証拠や記録もないので、残念ながら立証は難しく、また、真っ向勝負で声をあげて訴えたところで相手も何をしてくるかわかりません。それならもう自分がどう感じたかを大事にし、自意識過剰とか被害妄想とか言われようと「直接的であれ間接的であれ体に触れられて自分が不快なら痴漢」と、暴論かもしれませんが考えてもいいのかなと思いました。これが痴漢以外の出来事でも、たとえ悪気がなくても相手に不快を与えたらそれでアウトて場面、たくさんありますもんね。

そして②はシンプル・イズ・ベスト。“真実か偶然か”を争って戦うのではなく“この不快を少しでも減らすにはどうしたらいいか”。それなら簡単です。逃げる。避難です。もちろん満員電車なら難しいかもしれませんが、必ずどこかにチャンスはあります。隣の人へ助けを求めてもいい。とにかく一刻も早く一ミリでも長くそいつから離れましょう。私のようなガラガラ状態でやられてるならなおさらさっさと逃げるべきです。追いかけられたらもうそれは痴漢どころじゃないから鉄道警察へ飛び込みましょう。

  ③に関しては、やはりこういう事案に遭遇すると「自分に隙があったからなのか」「おしゃれをしてフェミニンな格好だったのが悪いのか」「眼鏡をかけていたからおとなしそうに見えていたからか」など色々考えてしまいました。が、これまでこんなことなかったんだから、こちらがなにか狙われやすいことをしていたから悪いということはないはずと思い直しました。
  よく「露出していると痴漢に遭いやすい」だの「いやいや清楚系のほうが大人しそうに見えて危ない」だの様々な意見を目にしますが、たぶん痴漢にしたら「そこにいる女なら誰でもいい」て感じな気がします。やられるときはジャージだろうとすっぴんだろうとやられるんじゃないかなぁ、なんて思ってます。
  それならもう「また遭遇するんじゃないか」なんてビクビクせずに、堂々と乗っていればいいと思うことにしました。おしゃれだってしたいし眼鏡はかけなきゃ何にも見えないぐらい視力悪いし、なにより電車乗らなきゃ新喜劇にもお買い物にも行けないし。

  
  この記事を書くにあたり、男性と女性で意見が真っ向対立して毎日のようにネットで議論が白熱しており、自分もわざわざその中へ入るような話題を書いていいのかどうか炎上や晒しを恐れましたが、自分の気持ちや考えを整理するため、そして、やっぱり嫌なものは嫌だったので、その気持ちを素直に書きました。