nakumelo’s blog

考えたことややってみたことをとにかく書いてみるブログ Twitterアカウント→@EtoileMelimelo

「眩耀の谷」の管武将軍について考えてみた話

2020年一発目の宝塚観劇は星組さんの「眩耀の谷-舞い降りた新星-/Ray-星の光線-」でした。なんと奇跡的にイープラスさんの大劇場貸し切り公演を当てられたのです。

この公演では礼真琴さん・舞空瞳さんの新トップコンビお披露目でもあり、さらに宙組→専科→星組と昨年だけで異例の二度の組替えをした、れいこさんのひとつ前のルキーニである愛月ひかるさん(愛さん)の星組二番手昇格後初の公演でもありました。


「眩耀の谷」は古代中国が舞台で、現代でいうなら「一流大企業に就職できて憧れの上司にも認められたけど、働いているうちに地元民に迷惑かけていて死者まで出ているほどの超ブラック企業って知っちゃったよ!」みたいな内容でした。なかなかキツイ。しかも現代もなお問題となっている「少数民族への迫害」も軸となっていました。これまたキッツイ。

とはいえ新トップコンビお披露目だけあって「新しい道へ行こう」「どんな困難が待ち受けていても希望を持って前を向いていこう」「丹礼真=礼真琴が国=組を引っ張る」みたいなメッセージも満載でした。感動しました。


で、私が一番注目したのが愛さん演じる「管武将軍」。汶族との戦いで勝利を治め、見事亜里を征服した立役者。主人公丹礼真の憧れの人物でもあります。

単純に写真を見たとき「うわ強そう……そしてやはりかっこいい……」と思っていたのですが、開演前にパンフのある一文を見て驚愕。さらにそのあと本公演でそこに触れている部分がありやはり驚愕。かなりパンチがありました……





(ここからはネタバレを含みますので観劇予定の方はお気をつけて)



























ヒロイン・瞳花(舞空瞳ちゃん)を、村の祭りで見初めて妾にして子供生ませてたって……!!しかもその子供を自分が立場ヤバくなったら手にかけるって………!!(゚д゚)


宝塚“歌劇”ならぬ“過激”じゃないかと言いたくなるようなこんな激濃いエピソードがさらっと書いてあり、さらにさすがにそのへんのシーンを公演本編では事細かには演じませんがさらっと言及されています。


しかも瞳花ちゃんのお兄さんは管武将軍が倒した汶族の王・麻蘭。つまり汶族のお姫様が兄の敵でありロリコン野郎であるオッサンに気に入られたが為にセクハラされてしまったのです。その精神的ショックもあり、瞳花ちゃんは失明してしまっているのです。初めて聞いたよ精神的ショックで目が見えなくなるって……相当なトラウマじゃん……


しかも「妾」ってことは本妻いるのよね!?不倫よね!?この時代のある程度の立場の人にはあるあるだったのかもしれないけど……


キッツイわぁ~!!!(゚皿゚)



ただそれは公演本編の5年前の話で、瞳花ちゃんは故郷でもある眩耀の谷に戻り、しかし管武将軍との間の子は将軍が匿っていて……みたいな感じ。瞳花ちゃんと将軍が直接また出会って話してみたいなシーンは公演本編では一度もありませんでした。将軍もそこまで瞳花ちゃんに今は執着してなくて、とにかく眩耀の谷を探し出すことに躍起になっているような……

もしかしたら汶族の最後の砦である眩耀の谷を見つけたら、そこでまた瞳花ちゃんに会えるし手柄を立ててもっと出世したら彼女と今度こそ一緒にいられるとか思ったのかな……

いくら君主にその存在がバレそうになったからって我が子を亡き者にするなんて……と思いましたが、もしかしたら殺したことにしてどこか遠くへ逃がしたのかなとも思います。てか思いたい……不憫すぎるもの。


管武将軍の現在の立場とか守るべき存在を考えたら「何より貫くべきは“利”!!」と丹礼真と自分自身に言い聞かせないとやっていけなかったのかもしれません。だからこそ自分なりの嘘偽りなき真実を探して貫こうとする丹礼真が眩しくもあり疎ましくもあり……って感じなのかな。


ぶっちゃけ管武将軍が最後どうなったのか、どんな風に考えていて感じていたのかなどもう少し描いてほしかった部分はあります。けれどこれはファンへ残した「余白」ということで、ある程度自分で考えて解釈していいのかなと。そしてそれを楽しむためにも何回か通って観て確認してみてね、ルサンクとかも買ってみてねってことなのかな、と……あらやだ東京公演何回行けるかしら←


クズだのロリコンだの言いながらもつい管武将軍が気になってしまうのは、やはり威厳と誇りを持って愛さんが演じておられるから。こんなにも冷徹で厳格そうな人が一生に一度のような強く激しい恋心や執着心を抱いたのが瞳花ちゃんだったのかもしれない……と思うとまた違った見方が出来そうです。


それにしてもれいこさんのルキーニといい、今回の愛さんの管武将軍といい、私はどうもヒロインに屈折した想いを抱えたキャラクターに惹かれてその中の方のファンになってしまう傾向があるようです。これが私の性癖なんだろうか……