nakumelo’s blog

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添い遂げる“さくら”の話

「一週間前の今頃、珠さまの退団発表があったなぁ……」とふと思い出した23日の夕方。ある一報が届きました。


月組トップ娘役 美園さくら
珠城りょうと同日退団 」


一週間前の怒濤の発表ラッシュのとき、さくらちゃん主演のミュージックサロンというイベントの開催も決定しており、このミュサロはこれまで退団の決定した娘役トップさんが行っており、まさかとは思っていましたが……時間差でやってきました。


宝塚では様式美のひとつとされているトップコンビの同時退団__「添い遂げ」を、この「たまさく」コンビもするのです。そしてそれは、月組の歴史がまたひとつ変わることも意味していました。


正直、昨年娘役トップデビューしたばかりのさくらちゃんが来年2月で退団というのは早すぎるし惜しい気もします。しかし「やっぱりね」という気もしていました。それぐらい彼女は珠さまを慕っていましたから。


さくらちゃんは前任の月組トップ娘役があの超絶ヒロインのちゃぴちゃん(愛希れいかさん)だけあって、プレッシャーはとんでもなかったと思います。さらに珠さま同様若い学年での抜擢。悲しいことにアンチの声を見かけることもしばしばありました。そのたびにミュートしまくってましたけどね。


けれどさくらちゃんは自分に何が足りないのか、何が得意なのかをちゃんと的確に分析して、補ったり伸ばしたりする努力も精進も欠かしませんでした。その成果が花開いたのがIAFAのエマだと思います。
自らの意思でハリウッドへ向かい、成功し、しかしどこか満たされないなか、故郷で一人の男性と出会い、本来の自由な自分を取り戻す……現代的で等身大の女性であり、強さもいじらしさも兼ね備えたエマは、あのときのさくらちゃんだからこそ演じられました。
ムラで観劇し終わったとき、どこかのおばさまの「まさか美園さくらがあんなすごい子やったとは思わんかったわ」という声が聞こえて、思わずガッツポーズしたこともあります。


私の手元には友人から頂いた2017年のレビューブックと、自分で購入した2019年のレビューブックがあるのですが、この二年でさくらちゃんの印象がガラッと変わっています。2017年はどこかあどけなさとか幼さの方が勝っていた印象ですが、正式にトップ娘役となった2019年では凛とした品の良さの強い印象になっています。やはり責任感は女性を「かわいい」から「きれい」に変えるのか……としみじみ感じたものです。


24日の会見で「珠さまといっしょだからここまで頑張れた」というのがよくわかって、本当に彼女は珠さまと出会えてよかったなと思いました。
珠さまと出会えたこと、一緒に演じて舞い踊れたこと、たくさん話せたこと……すべてが彼女の力の源であり幸せだったんだなと。


ふと近所の公園を覗くと、桜の花がすでに満開で、柔らかくてかわいらしいピンクの花びらが優しく、しかし凛として堂々と咲き誇っていました。いつかは散りゆくけれど、その儚さすら美しく去っていく。その姿は人々の心にずっと残る。


月の光に照らされた美しい園に、短い期間でも愛と誠実さをもって華麗に堂々と咲き誇った「さくら」の花も、私はしっかり見届けたいと、そして忘れたくないと、心から思いました。