nakumelo’s blog

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「茂造の青春時代!」レポ&感想

   GW祇園花月恒例行事。茂造の過去へ戻り、そのルーツを探る、普段の新喜劇とは一味違うガチの人情芝居「茂造」シリーズ。8回目の今回は「茂造の青春時代!」

  茂造役である茂しゃん(てこれは私が勝手に呼んでるんだけど)こと辻本茂雄座長さんが、吉本に入社する前はプロの競輪選手を目指しており、わざわざ越境入学をしてまで自転車競技部の強豪・和歌山北高へ入学、キャプテンとして国体出場をしたほどの優秀な選手であったものの、両足に腫瘍が見つかり断念せざるを得なかったというかなり過酷な半生があったのは有名な話ですが、今年はいよいよこの実話にスポットが当たるようでした。実際、ポスターでは茂造が自転車を漕いでいるのですが、その首から下は実際高校生のときインターハイに出たときの茂しゃんの写真と合成したそうです。がっちりした脚はまさにアスリートそのものでした。


  今年は誕生日に合わせて2日目の27日公演へ、前回のようにセンターとはいきませんでしたが最前列で観賞することができました!



  【以下、ネタバレ注意】





  第一幕はお馴染み新喜劇。
茂造が旅館のアルバイト初日から遅刻し、鞄を蹴り飛ばし、階段からお客を滑り落とす。 その旅館では秘密の恋と地上げ屋による脅しなどトラブルが続出し、それを茂造がおちょくりながらも解決していく、というよくある茂造新喜劇の流れ。
  鍵となるのは茂造に旅館アルバイトを紹介したアキさん演じるアキコさんから度々発せられる今は亡き「シュウジ兄ちゃん」というワード。このシュウジ(アキさん二役)は昔、漁師をしながら、夢を追う若者の為に彼らが集う下宿アパート「山茶花荘」を経営していたのですが、そこに住んでいた若者のひとりが、若き日の茂造でした。


  第二幕はそんな茂造が過ごした山茶花荘での仲間たちとの青春時代の思い出を振り返ります。
  ちなみにこの頃の茂造は短ランにボンタン、リーゼントというわかりやすい昭和のヤンキースタイル。高校生とは思えない貫禄を身に付けていました(笑)


   山茶花荘には競輪選手を目指す茂造と、茂造の妹で歌手志望のナオミ(塩島さん)、ダンサー志望のフミエ(たまよさん)やマサコ(ニャンコさん)をはじめとする女の子たち(恵美ちゃん・景子ちゃん・OSAKA翔GANGSの皆さん)、家政婦でみんなのお母さん的存在のエツコ(島居さん)とその息子のリク(詩くん)、そして少女たちのダンス講師をしているニューハーフのアンナ(伊賀さん)がいっしょに住んでいました。

  伊賀さんのニューハーフ役にはひたすら驚愕でした…!!ニューハーフといえば昨年がまさにショーパブを舞台にしたお話でしたが、彼はボーイの役だったので、まさか今年女装に挑戦するとは!  髪をカツラではなくわざわざ金髪に染めたほどのガチの気合いで挑んでいました。また、ナオミ役の塩月さんは二幕冒頭のオーディションシーンではエンダー♪でお馴染みの「I Will Always Love You」を歌う場面があったのですが、元タカラジェンヌということでその歌唱力は抜群!!力強く遠くまで響く美しい歌声を聞かせてくれました。

物語の途中で、シュウジの友人でアンナの元カレであるゲンタ(要冷蔵さん)と、ゲンタの借金の取り立てに来た金融業者のサカガミ(森田さん)が現れます。ひょんなことからアンナとヨリを戻したゲンタと、エツコの凛々しい美しさに惚れたサカガミも、シュウジの元で漁師業をしながら山茶花荘で暮らすことになりました。
 

  賑やかでアットホームな山茶花荘での暮らしですが、夢を追う道のりは険しく、何度もオーディションに落選したり、心無い言葉をかけられたり、ナオミに至っては焦るあまりインチキディレクターに騙されて大金を奪われそうになるほど。仲間が落ち込み、夢を諦めようとするたびに、茂造は力強く励ますのでした。  そして茂造も、仲間たちに支えられながら、新聞配達やシュウジの漁師の手伝いをし、競輪の練習に日夜励んでいました。両親を事故で亡くした茂造にとって、競輪選手になって賞金を稼ぐということは、ナオミの夢のサポートや山茶花荘の仲間への励みになるという意味でも、重要なものでした。


  そんな茂造には、ミキという小学生のときからの幼なじみがいました。茂造はミキに想いを寄せており、ミキもまた茂造のことが好きでした。山茶花荘のメンバーにサポートされ、茂造が告白し、恋人同士になったふたり。やがてミキのお腹には、茂造とミキの愛の結晶が……
ミキの父親(あいはらたかしさん)は大激怒・大反対しますが、「競輪選手になって必ずミキを幸せにする」という約束をし、さらに10代でリクを生んだエツコの後押しもあり、とにかくこれからの茂造の態度と行動次第ということに落ち着きました。
ちなみにミキ役の村崎真彩さんは茂しゃんも出ていた「あさが来た」で加野銀行の女子行員・ツル役もしていました!支配人と行員がここでは同級生で恋人同士ってなんだか不思議(笑)

  そんな夏のある日、山茶花荘に大事件が。
エツコの元旦那でリクの父親である男性(入木さん)が山茶花荘へやって来ます。一見物腰柔らかそうですが、実はエツコやリクに暴力をふるっていたDV男。支配されていた記憶が甦り、過呼吸になるエツコ。シュウジをはじめ山茶花荘のメンバーは追い返そうとします。するとDV旦那がぶちギレ、灯油をぶちまけて火をつけようとしたり、鉄パイプを振り回してきます。愛するエツコを守るためサカガミは、元ヤクザでありながら、あえて暴力を使わずにシュウジとともに追い出そうと体を張ります。

その混乱の最中、なんとDV旦那が振り回した鉄パイプが茂造の脚を直撃!!競輪選手の命ともいえる脚に大ダメージを与えられ、その痛みに座り込む茂造。「俺の脚が……!!」
という絶叫と共に舞台が暗くなり、場面は一気に緊迫します。


  ナオミと共に病院へ向かった茂造。検査の結果、幸いにも鉄パイプによるダメージは打撲だけで済み、やがて治るとのこと。しかし、念のため撮ったレントゲンで、衝撃の事実が判明。医師(井路端さん)によりそれが告げられます。

  茂造の両脚にはまだ小さいながらも腫瘍があり、この腫瘍を今のうちに取り除かなければ後々大きな障害となること。腰骨を脚の骨へ移植する大手術が必要なこと。その後、一年先を見越したリハビリが必要なこと。そして、なにより残酷な事実が。

  「日常生活なら問題なく送れますが、手術をした脚はかなり弱まりますし、再発の可能性も充分ある。従って、重い競技用自転車のペダルを漕いでスピードを競うような競輪は………もう、できません」


競輪__茂造にとっては、幼い頃からの大きな夢。青春のすべて。生きる希望。人生の意味そのもの。それが、不可抗力により、出来なくなった。医師にしがみつき、なんとか治してくれと懇願する茂造。首を横に振り続ける医師。ただそれを見守ることしかできないナオミ。やがてがっくりとうなだれ、呆然と立ち尽くす茂造にスポットライトがあたり、その絶望に満ちた表情と重い光を放つ瞳がより明確に映し出されていきました。


季節は夏から冬へ移り変わっていきます。手術を終え、歩けるようになった茂造ですが、競輪が出来なくなったことですっかり堕落し、リハビリや新聞配達をサボって暴走族の仲間に入ってバイクを乗り回すように。茂造とナオミの両親は暴走族のバイクが原因で事故に遭って亡くなったのに同じようなことをするなんて、と怒りに震えるナオミ。その様子を見ていたミキの父も大激怒し、お腹の大きなミキを連れて帰ってしまいました。

  「俺はこれからどうしたらいいんや!?今の俺にはなんにもない……答えを教えてくれよ!!誰か、答えを教えてくれよ!!!」と嘆く茂造。どう声をかけていいかわからない周囲。そのとき、シュウジが静かに語ります。

「俺もダンサーを目指して挫折した過去があるから、気持ちはわかる。でもな、現実を受け入れなきゃいけないんだ。答えは自分で探さなきゃならないんだ。サザンカ花言葉の“困難に打ち勝つ”のように、この山茶花荘にいるお前やみんなにはどんな困難があっても負けずに乗り越えてほしいんだ」
 
ナオミが茂造との思い出の曲「翼をください」を口ずさむと、やがて周りも触発され、全員で茂造へ向かって歌います。それでもなお前を向けずにいる茂造がひとりで佇んでいると、今度はミキがやってきて、茂造の思い出を語ります。

  子供の頃、近所のスポーツサイクルを持っている友達よりも、お母さんのお下がりのママチャリで誰よりも早く走った茂造。そのママチャリで淡路島を一周したこともあるぐらい、自転車が大好きだった茂造。中野浩一さんの三連覇をテレビで見て、それに憧れて本格的に競輪選手を目指した茂造………そして自分が、そんな茂造が大好きであること。ずっと応援しているということ。お腹のなかの赤ちゃんも、そんなお父さんの茂造を応援しているということ……

  シュウジや山茶花荘のメンバー、そしてミキの力強くあたたかい言葉により、そして、まだ見ぬ赤ちゃんの存在の大きさにより、茂造は少しずつですが前を向き、リハビリにも積極的に取り組むようになりました。  やがて赤ちゃんも無事に生まれ、茂造は病院の待合室で一人静かに語り始めます。

  「俺は競輪が出来なくなって、もう俺にはなにもない、人生もこれで終わりだって思った。死んだほうがましだとも本気で思った。でもそれは違ったんだ。現実をどんなに辛くても受け入れて、前を向いて生きていれば、夢は何回だって見つけられるし、何度だって追いかけられる!!」


  月日が流れ、ナオミとダンサー志望の女の子たちは、チームを組んで「翼をください」を歌とダンスで華麗に表現し、見事オーディションで優勝。そして茂造は………

「どうもー辻本でーす」
「サカガミでーす」
「二人合わせて三角公園USAでーす」

そこにいたのは、お揃いの「USA」と書いてあるTシャツを着て、漫才コンビとして活動する茂造とサカガミ。このときになって私はやっとやっと思い出したのです。茂しゃんが新喜劇入団前に組んでいた漫才コンビ「三角公園USA」の相方さんのお名前が「阪上」さんだったことに……!!!

  新しい夢に向かって頑張る茂造の未来を予感させ、本編は終了。

  見ていて個人的に辛かったのは、やはり競輪選手への夢を断念し、自暴自棄になっていた茂造の姿でした。「競輪をあきらめて吉本入るまでは2年ぐらいブラブラしてたし、酒やタバコも(もちろん20歳になってから)手を出した」とは茂しゃん本人が語っていましたが、その二年の間あんな風に「何が正解なのか・何が間違いなのか・死んだほうがましだったんじゃないか」の自問自答をずっと繰り返していたんだろうな、とあの場面で実感しました。親御さんや学校の期待もすごかっただろうし、普通の高校生が送るであろう遊びや恋などの楽しみをほぼすべて犠牲にしてまで競輪に打ち込んだと聞いていますので。

 
「夢を諦めないで」と言われると「努力したって叶わない夢もあるし、その努力すら出来なくなることだってあるじゃないか。そんな簡単に言わないでよ」と反論する声があがります。
しかしその言葉の本当の意味は「どんなに辛くても現実を受け入れて、もがきながら迷いながら悩みながらも前を向いて、少しでも進めるように努力をしていけばいい。そんな自分を必ず支えて見守ってくれる人がいる。そして生きている限り夢は何度も生まれ変わって追い続けられる」ということなのかな、とこのお芝居を見ていて思いました。特に今回は何度も聞いていた茂しゃんの実際のエピソードが盛り込まれていたので、妙にリアリティーがありました。


  このお話の茂造、ひいては、演じている辻本茂雄さん自身が「前を向いて生きていく限り夢を追い続けられる時間=青春時代は終わらない」と、人生をもって証明し、そしてこれからも挑戦を続け、より確かな証明にしようとしているんだなと思いました。


  今回はさらに二幕に出た伊賀さん・アキさん・森田さんの大きな成長ぶりが著しかったです。このお三方は自身が主催の新幹線・エンタメ・きょうと新喜劇を見事完売させ大成功を納めており、その自信と経験が間違いなく実力へ繋がっているんだなと思えるような、去年からグッと広まった演技の表現と新しい魅力を見せてくれました。
  特に森田さんは、茂しゃんと満席完売を約束しており、ご自身はもちろんファンの方たちも応援動画を作ったりしてその目標達成に一致団結しているのを影ながら見守っていたので、今回のこの役はそのご褒美なのかなとも思いました。なんせ、茂しゃんが見つけた新しい夢の一歩をいっしょに踏み出した方の名前を受け継いだ重要すぎる役でしたので。頼りなさげだけどどこか憎めなくてまっすぐなあのサカガミは、森田さんだからこそ演じられたと思っています。


  そして一幕では、平山さんも出ておられました。雑誌のスクープの件で色々と噂されましたが、元気に頑張っている姿を見てホッと安心しました。真相はわからないし、ご家族とも色々話し合いをしているかと心配な部分はまだまだありますが、私がこれまで見てきた平山さんの頑張りと、これから頑張る平山さんの強さをちゃんと見て自分自身で判断していこうと思いました。

  ホテルに帰ってからも興奮がおさまらず、同じホテルに泊まる友人に部屋に来てもらい、二人でかなりアツく語りました(笑)それぐらい熱い情熱をくれる舞台でした。


  今年もたくさんの感動と希望を思い出に持って帰れました!また来年も、絶対に行きます!茂しゃんが挑戦を続ける限り、私もついていきます!!