nakumelo’s blog

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ひみつの茂造レポ①

  今年のGW茂造特別夜芝居は、記念すべき10周年。そして今年は、これまでのシリーズとは毛色の違う、「すこしふしぎ=SF」なお話。

 
  舞台はとある山奥にある原田繊維工場。
   ここでは原田サツキ(たまよさん)が先代である亡き父の跡を継ぎ、ベテラン作業員のコガ(要冷蔵さん)・力仕事に自信のあるテツロウ(平山さん)・バスケットボール選手も兼任しながら怪我により車イス生活を送っているリョウスケ(井路端さん)・まだ少年らしいあどけなさの残るコウタ(キタノの大冒険さん)・大島さん・サツキの妹のヨウコ(村崎真彩さん)・その彼女の娘で小学4年生のユイ・そしてサツキの夫でユイ(子役の池田羽香ちゃん)の父親であり、さらには原田繊維の専務でもある伊藤カズヤ(鈴木康平さん)と共に力を合わせて切り盛りしていました。


  実はこの伊藤カズヤが、今回のお話のもうひとりの主人公でもあるのです。カズヤは仕事熱心で知識も豊富。従業員たちからの信頼も厚く、愛妻家で娘を溺愛するパパでもありました。


  さて、原田繊維ではこの度新しい従業員を雇うことになりましたが、その従業員が初日からさっそく遅刻というお馴染みの展開。そしてやって来たのは茂造じいさん!!……によく似ているけれど、髪もジャージも赤い「ゲンゾウじいさん」。とはいえ言動はとにかく茂造そっくりです。

  ここからしばらくは茂造新喜劇ではお馴染みの、「アキさん森にぃコンビのカラフルヤクザが借金取りにやって来る」「大島さんが恋人の友梨ちゃんとの結婚を反対される」「その結婚を許してもらうための芝居をみんなで実行するが失敗に終わる」などの一連の流れはきっちり実行。このあとの展開に向けてのウォーミングアップといったところでしょうか。
  ひとまず大島さんは無事友梨ちゃんのお母さんであるサキさんに結婚を承諾され、さらには借金も立て替えてもらえることに。そして結婚を機に退職することになりました。

  

  しかし借金取りとはまた違う、かなり怪しい雰囲気の二人組(cheeさん・入木さん)がやって来ると、運命が少しずつ動き出していきます。
  二人はこの工場の土地が欲しい、そしてこの土地には新しく処分場を作りたいと持ちかけてきました。
  しかし上質な繊維を作るためにはこの山の澄んだ湧き水が必要なこと・亡き父の志を受け継いでみんなで頑張っていること・処分場が作られればこの山の自然破壊に繋がることなどから、サツキとカズヤが先頭に立ち断固として反対。特にカズヤは豊富な知識を生かして専門用語を並べ立て、地上げ屋を圧倒していきます。
  途中ぶちギレた弟分がナイフを振り回し、緊迫した場面もありましたが、カズヤは必死でみんなを守り、ついには追い返します。とはいえ黄色や緑のスーツのヤクザのような陽気さは全くない連中のようなので、今後も注意は必要です。

   そのころゲンゾウじいさんは、とある海辺の墓地に来ていました。そこには「茂造の墓」と文字の彫られた墓が。茂造は、ゲンゾウじいさんの孫であり、たった一人の身内だったのです。
  茂造は仕事熱心な漁師ゆえに嵐の日におじいちゃんの忠告を振りきり漁に出てしまい、結果船は沈没して行方不明となってしまったのです。
  40歳の若さで旅立ってしまった孫を嘆き悲しむゲンゾウじいさんの泣き声が響き渡ります。

  一方、地上げ屋二人はボスである龍神会のヤクザ・カネヒラ(吉田佳さん)に土地買収の失敗を責められ、殴られていました。あの工場の土地はかなりの価値があるため、絶対に買収して処分場を建設し、大金を得たいのでした。
  二人からの話を聞き、どうやらその「弁の立つ専務」が最大の難関だと悟ったカネヒラ。弟分に「その専務が一人のときを狙え。どんな手を使ってもいいから、そいつを消せ」と命令。

  まさか命まで狙われているとは知らないカズヤは、一人事務所でパソコンとにらめっこ。明日にはヨウコとの結婚記念日も控えていて、食事の約束を取り付けていました。

  そこに現れる弟分を見て驚くカズヤ。弟分はすっかり気が動転しており、土下座をしてまで土地の売却を懇願しますが、やはり追い返すカズヤ。そこにやって来たカネヒラ。弟分では手に終えないと判断し、自らの手で始末することに決めたのです。
  カネヒラが胸から取り出したのはビストル。そして響き渡る2発の銃声。一発は窓を突き破り外へ、そしてもう一発は……見事にカズヤの心臓に!!

 
「やっぱりお前は邪魔だ。こうなったら別の方法でこの土地を奪ってやる」

 
  こう言い残しカネヒラが去ると同時に、銃声を聞き付けて作業場から飛び出してくる作業員やヨウコたち。しかし既にカズヤは事切れていました。カズヤの亡き骸を抱き締めて泣き叫ぶヨウコ。
 
  そして実はこの事件には目撃者がいました。それは、二階から一階の事務所を見下ろしていたユイでした。しかしお父さんが殺される現場を目の当たりにしたショックで、記憶が失われてしまいました。

 
   亡くなったカズヤの魂は、肉体を離れ、あの世とこの世の狭間の深い闇の中をさ迷っていました。なんとかしてあのカネヒラからみんなと工場を守りたいカズヤですが、そこに現れた天使(子役の岸田結光ちゃん)曰く、もうかつての肉体にこの魂を宿すことはできないとのこと。
しかし現世に強い未練の残るままでは天国にも行けず、そのまま来世にも生まれ変わることなく永遠にこの闇にさ迷い続けることになるのです。
 
  それでも、たったひとつだけ、現世に戻る方法があります。
それは、「他人の肉体を借りること」。すでに魂が召された空っぽの肉体を使えば、カズヤも別人の姿で現世に戻ることが出来るのです。幸いにも、その空っぽの肉体がひとつあるとのこと。

  みんなを守れるならと、天使と契約するカズヤ。そしてそのカズヤの魂が入ったのは……ゲンゾウじいさんの孫であり、沈没事故で行方不明のまま死亡した茂造の体!!

  
「こんなシャクレの中年太りの体なんか嫌だ!! 」
  「これしか合致する肉体はないのです!我慢しなさい!」


   天使はカズヤを「辻本茂造」として原田繊維工場で住み込みで働けるように事を運び、さらにはサポートをするため近々自分も人間の姿を借りてやって来ると伝えます。

そして「茂造」として生きている間に、自分がかつての「伊藤カズヤ」とバレた場合には、その魂は輪廻転生の流れから外され、来世に生まれ変わることなく永遠に闇をさ迷うことになるという最大の注意事項が。

  かくして茂造のようで茂造ではない男の、人生やり直しミッションがスタート!!


   「どんなことがあっても人が死ぬことはない」という新喜劇の伝統的概念を最初からぶっ壊し、さらには主人公が茂造の姿でありながら中身は違うというこれまでにない超展開!!  レポはまだ続きます!!