nakumelo’s blog

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茂造の覚悟!感想 ~全部覚悟で、全部愛~

観終わったあと、三日間くらいはなんだかボーーッとしていました。


頭のなかでは観劇までの一ヶ月間、「エリザベート」の影響があまりにも強すぎていて、「グランデ・アモーレ=偉大なる愛」を求めてナイフを持っていたルキーニがいました。
でもそこへ今回現れた茂造が杖でその手を叩き、ナイフを落としたルキーニが拳でお腹を殴られる……そしてこう言われる画が浮かんでいました。



「『偉大なる愛』とは、『覚悟』のことだ!!覚悟のない愛なんて、まがいものだ!!覚悟がない限り、愛の証明をすることなんか出来ない!!」



立ち上がれず呆然とするルキーニは、そのまま私自身となりました。


愛する存在のために離れる決意をしたチヅルも、守り抜く姿勢を貫いたリョウタも、アカリと出会って芽生えた愛と罪悪感でもう一度立ち直ることにしたコウスケも、「覚悟」を伴った「愛」がありました。


だから、このお話のいちばんの感想は「全部覚悟で、全部愛」なんだと思いました。
これが辻本茂雄と彼が信頼を寄せる仲間たちが証明したかったグランデ・アモーレなのかと、思い知らされました。

エリザベート」が誰とも寄り添えないなかで愛を探す話なら、「茂造の覚悟!」は覚悟を伴った愛をもって、誰もが誰かと寄り添っていたことを再確認する話でした。


今回はその愛の証明のために、茂造自身はあれこれ悩んだり迷ったりはせず、どちらかといえば普段やっていた新喜劇の茂造に近い「ここでそれやる?それ言う?」みたいに場を和ませ盛り上げる役に徹していました。

改めて今回見ると、やはりその盛り上げるための台詞や行動の「間」の取り方が絶妙。「盛り上げる」と「騒がしい」の違いをちゃんとわかっているとでも言うのでしょうか、数打ちゃ当たる戦法ではなく一撃必殺の瞬間をしっかり見極めている感じです。


そして茂しゃんが信頼を寄せ選抜したキャストたち。ほんとうにもう一人一人が素晴らしい。


美しい涙を流すたまよさん。

眼差しまで魂を込めてその心情の変化まで演じ分けた佳さん。


自身も父親ということで強い説得力を持って愛情溢れる父を演じた高井さん。

「両親を早くに亡くして」というタツヤのバックグラウンドを自身のお母様との突然の別れと重ねて丁寧に演じた井路端さん。

かわいらしさだけではなく、親友チヅルに対する優しさも表現した永田ちゃん。


SHOWROOMERのイメージが強かったけれど、その堂々とした立ち姿や綺麗な口跡、さらには流れるように放つ専門用語だらけの長台詞まで披露してくれて、「舞台人」としての姿を見せてくれたきたぽよさん。
(しかも後にわかるのですが、きたぽよさんはミュージカル系のイベントでルキーニ役をやったこともあり、この役が一・二を争うほど好きということも判明!!こんな嬉しい偶然までありました!)

その役名通り「あかり」となる眩しく明るい純粋無垢な笑顔で演じきってくれた苺ちゃん。


挙げればキリがないほど、皆さん全身全霊で演じて、愛と覚悟の証明をしてくれました。


初日のカーテンコールでは、モニターで様子を見ていた安尾さんが涙を流すというハプニングもありました。お話自体はもちろん、新体制で色々なことが変わるなか、不安になる座員さんも多々いると聞き、だからこそ舞台に携われる喜びもあったのかな……とも思いました。



ただ面白おかしいだけではない。観たあとに「笑いあえることがこんなに幸せなことなんだ」とわかってもらえるような舞台が、新喜劇なのだと私は思っています。
それは、宝塚の世界を覗いたからこそなお思います。あちらより45年歴史は浅くとも、劣ることはない。それぞれの良さは必ず観た人の心に響き、遠い日の大切な思い出になるのです。


勇退し、玉座を退いたとしても、辻本茂雄という座員がその志を伝えてくれたら、きっと新喜劇は絶えることはない。100年続くことだって夢ではない。そんな風にだって信じられるほど、笑顔と優しさに溢れた愛を証明してくれました。