nakumelo’s blog

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茂造の覚悟!レポ③

メグミが言うには、タツヤとは元々同じ職場だったのが縁で出会ったとのこと。

タツヤは早くに両親を失くし、懸命に働いており、そんな真摯な姿にメグミは惹かれていったそうです。


茂造たちからドリカムの歌で過剰反応したことを聞き、よくデートで聞いていたことを思い出すメグミ。旅館にあった宴会用のキーボードを使い、メグミが「未来予想図Ⅱ」を弾き語り聞かせることに。

サビの「♪きっと何年経っても……」から始まり、歌いだすメグミ。だんだんと記憶が反応してきたのか混乱状態になり苦しみだすタツヤ。そのなかでもなにかが出てきそうな予感。固唾を飲んで見守る周囲の人々。

しかし途中でなぜか茂造が割り込み、「ねこふんじゃった」を引き出したため、タツヤはトランス状態からあっさり解放され、また何もわからない状態に。

そしてそこで、これまで見守っていたチヅルがついに意見します。



「もうこれ以上タツヤさんを苦しめないで!!今のタツヤさんには新しいここでの人生があるの!!」


しかしメグミも諦めません。


「私は必ずタツヤさんに思い出させてみせる!!私との未来を今度こそ作るの!!」



二人のタツヤへの愛ゆえの「執着」が火花を散らしたとき、宅配便が。配達員だという男(入木さん)が愛想よくサインを求めてきますが、本来ならこういう業者さんは裏口から来るのに……と不思議がりながらも荷物を受けとるチヅル。


奥から作業を終えたコウスケが出てきた瞬間、目の色が変わる配達員。そして胸元から出てきたナイフ!!なんとこいつの正体はかつてコウスケが所属していた組と敵対していた組の組員だったのです。
コウスケが関わった組同士の抗争は、最終的に相手側の組も解散に追い込まれており、それを恨んだこの組員が、生き残りであるコウスケの命を奪うことで復讐を果たそうとしたのでした。

対抗しようと拳を振り上げるコウスケでしたが、咄嗟に止めに入るリョウタ。ここでトラブルを起こせば仮釈放の身のコウスケはまた刑務所へ戻り、さらに長い刑期を過ごさなくてはならないのです。

タイミングよく騒ぎを聞き付けた警察もやって来ましたが、今度はチンピラが目をつけたのがチヅル。手を引っ張り彼女にナイフを突き付け、人質に!!



「ちょっとでも動いたり音たてたりしたら、この女殺すぞ!!」


チンピラのこの言葉にすぐ動いたのがメグミ。出しっぱなしになっていたキーボードをバンバン叩き、しかしスイッチが切られていて音が出ないため地声で「じゃーーん!!じゃじゃじゃじゃーーん!!(゚皿゚)」とわめく姿に、さすがのチンピラもドン引き。


「聞いてたか!?ちょっとでも動いたり音たてたらこいつ殺すっってんだよ!!」

「だからよッ!!!そいつ邪魔なのよッ!!!」

「!!??(゚д゚)」


メグミとチンピラのやり取りを尻目に、タツヤがチヅルを助けようと動きますが、気づいたチンピラに押し飛ばされ、気を失ってしまいました。


そしてついに茂造が動きます。


この旅館のロビーには飲み物の自動販売機があり、カンベからせびった100円をその自販機に投入。すると出てきたのは……拾った缶で作ったアイテム!!

ここでは大きなゴムを弾丸がわりにした缶の拳銃が登場。夏休みの工作に提出したら賞のひとつは貰えそうなレベルのクオリティでした。

その銃を構えて臆することなくどんどん前進する茂造。チンピラとの距離は一メートルにも満たないほど縮まります。


「解放しろ」

「するわけねぇだろ!!」

「あぁそうかい!!そんならこれをくらいなッ!!!」


引き金を引いて勢いよく放たれる太いゴムはチンピラの顔面に勢いよくあたり、その痛みに悶えている間にチヅルは逃げ、勝ち目のなくなったチンピラは逃走。慌てて追いかける警官。


メグミが気絶しているタツヤに駆け寄り、声をかけます。すると目覚めたタツヤが発した一言は……


「……あれ?メグミ?なんでお前、ここにいるんだ?」


そしてチヅルや旅館のみんなを見て、さらに……


「あのう………どちら様ですかね……?」



涙を流して喜ぶメグミと、呆然とするチヅル。すぐさまチヅルを抱き締める親友のキャンディ。


あの押し飛ばされた衝撃で記憶が戻り、しかし北代医師が予想した通り、引き換えにここ一年の記憶は無くなってしまったのでした。


タツヤは一年前、メグミとの思い出の場所である岬での夕日の写真を撮ろうと崖のギリギリにまで登り、風にあおられ足元を滑らせそのまま転倒。そのときのショックで記憶喪失になっていたのです。


戻ったのは記憶だけではなくメグミへの愛情も。改めてメグミへプロポーズし、彼女の両親へも許しを請い、再び愛を誓ったタツヤ。これで元通り!ハッピーエンド!と普通のおとぎ話ならなるのでしょうが……


複雑そうな顔で見守るリョウタたち。なんとか涙をこらえているチヅル。



明るくおどけたキャラクターでも、チヅルが抱いていたタツヤへの愛は本気でした。彼を守り愛していく「覚悟」が、ちゃんとあったのです。



そしてそれは、ほんの少しだけ、奇跡を与えてくれました。


去り際、タツヤがチヅルに声をかけます。



「もう僕はあなたのこともここでの出来事も思い出せません……だけど、あなたがくれた優しさやぬくもりは……なんとなくだけど、体が覚えているような気がしてます……大切に接してくださって、本当に、ありがとうございました」



わずかにタツヤの体に残ったその感情が、ささやかでも、確かに、ここでタツヤが生きて、チヅルが彼を愛した、真実でした。
そしてチヅルは、タツヤを引き止めることなく、彼を見送りました。今の彼にはそれがいちばんの幸せだとわかっていたのです。



「これで……よかったんだ、きっと」


リョウタが自分と周りに言い聞かせるように言い、カンベもそれに応えるように「さて、また仕事に戻ろう!」と明るく振る舞います。それが一体何を意味するかわかっているので、みんなは肩を震わせるチヅルをロビーに残し、それぞれの持ち場へ移動します。
キャンディだけが、去り際、一度立ち止まり、親友を静かに慈愛の目で見つめ、やはり持ち場へ向かいました。



一人になったロビーで声をあげ、涙するチヅル。子供のように遠慮も恥もない、そして嘘もないその涙は、愛する存在のためにあえて離れる決断という「覚悟」をした者だからこそ流せるものでした。


私は「い」列の下手側、ちょうどチヅルが泣いているあたりだったのですが、あと一列前で、さらに客席と舞台の標高があと数メートル低かったら、抱きしめたかった。私の胸でよければいくらでも泣かせてあげたかった。それほど美しく切ない涙でした。
それが出来ないから、せめて、「いいんだよチヅルさん、泣いていいんだよ」という気持ちを込めて、チヅルさんの目を見て何度も何度も頷きながら見守りました。


それは他の観客も同じだったのでしょう。暗転した瞬間、一斉に拍手が沸き起こったのです。チヅルの強い覚悟を持った美しい涙と、そんなチヅルを見事に演じきったたまよさんへの最高で最大の賛辞だったと思います。


その後、チヅルはタツヤが着用していたユニフォームを着て、健気に働いていました。

穏やかな日々がまた続くと思われましたが……何事も、予定通りには行かないようです。